ギガベース日誌 ほのぼの閑話「木曾の性癖」リメイク

再す誕ふ者ん🍜🍬 @hfsm_ABIDING

ほのぼの閑話　#ギガベース日誌

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フィリア（philia） ギリシャ語で「愛」の意 また、人や物などの性的嗜好・倒錯を示す単語の接尾辞　#ギガベース日誌

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ギガベース鎮守府、食堂。 発足当時はただの広間としてしか機能していなかったこのエリアは、給糧艦間宮の参入とほぼ同時期に大規模改装を受け、高性能かつ大規模の調理施設を備えた艦内人気スポットへと生まれ変わった。　#ギガベース日誌

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そもそも艦娘は人間のように生存を目的とした栄養の経口摂取を必要としないが、海軍にしろ企業にしろ、艦娘に人間と同じ食事を与えている場合が殆どである。 彼女達の人間らしさの尊重か、守護者と換言した手駒達へのせめてもの慰めかは定かではない。　#ギガベース日誌

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発足当時のギガベースの食糧事情は深刻であった。 艦娘達はGA製の保存用菓子、口内の水気を冬の空気の如く吸い尽くすブラウニーやクッキーしか与えられず、ついには半ば反逆に近い形でDfJを説得する。この一件は、横須賀第2軍港から間宮を拉致する一大作戦の芽出となった。　#ギガベース日誌

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その参入の経緯から間宮の抵抗や反発が懸念されていた時期もあったが、彼女はすぐギガベースの空気に順応した。 艦娘達は人間らしい食事の楽しみを獲得し、間宮は過度に必要とされる事で満足感を得る。一種のギブアンドテイクの関係がそこにはあった。　#ギガベース日誌

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「よう、間宮」 「あら、提督。お疲れ様です」 時刻は昼過ぎ。ギガベースの食堂が最も混む時間帯である。 普段の素行からは考えられないような落ち着きで大人しく順番を待つ艦娘達の中に、DfJも混じり昼食の受け取りを待っていた。　#ギガベース日誌

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間宮の食糧生産・補給性能は通常の人間の処理速度を上回ってはいるものの、ピークタイムともなると1隻で処理するのが困難になり始める。 DfJが受け取り口から調理場を覗くと、工廠から派遣された技術妖精達が間宮の手伝いをしている様子が見えた。　#ギガベース日誌

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「どうぞ、ピザまんとタバスコです」 「ありがとう。なぁ間宮。今ちょっと時間取れるか？相談したい事があるんだが」 「もう少しお時間を頂ければ……妖精さん達に手伝ってもらっているとはいえ、私が外れるわけにもいかないので。申し訳ありません」　#ギガベース日誌

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「そうか。わかった。艦が減ったらまた来る」 DfJは潔く立ち去り、受け取り口に一番近い席に腰を下ろした。 受け取ったタバスコの瓶をピザまんに対して執拗に振った後、彼は無表情で過剰な赤に染められたそれを口に運んだ。　#ギガベース日誌

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1時間後。 2分で食事を終えてからトーラス製品のカタログを眺めて時間を潰していたDfJは、機を見計らって再び受け取り口に足を運んだ。 「あぁ、提督。もう大丈夫です。今そちらに」 「悪いな。忙しい時に」　#ギガベース日誌

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調理場側面の扉を開け食堂に入った間宮は、そのままDfJと共に彼が座っていた席に腰を下ろした。 「それで、間宮にご相談とは……？」 「2件ほど。まずはこれだな」 DfJは足元に転がしていた円筒状のキャリーケースを机に置き、上面のパネルにパスコードを入力する。　#ギガベース日誌

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白煙を漏らしながら展開するケース。内部から現れたのは、人間の背骨を模した金属製の構造体に、折り畳み式のアームユニットが接続されたような禍々しい機械だった。 「これは……！」 「財団に依頼してた調理用補助アームユニット。今朝届いた」　#ギガベース日誌

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「桂剥きからジャガイモの芽の除去まであらゆる状況に対応可能な精密マニピュレーター搭載サブアームユニットが合計8本。神経接続によるシームレスかつ直感的な動作性を備え、更にコジマブレードやヒートマシンガンといった緊急用の武装を……おい何やってる」　#ギガベース日誌

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DfJが説明書から顔をあげると、割烹着とシャツを脱いだ間宮が下着のホックに手をかけているところだった。 「すぐ試してみようかと！」 「工廠でやれ馬鹿が。心待ちにしていたのはわかるがこんなところでストリップを始めるな」　#ギガベース日誌

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「……そうですよね。すみません、嬉しくてつい」 「とまあ、これが届いたから工廠で装着して正常に動作するか確認して欲しい、というのが一つ目だ。本題は次だ」 間宮が服を着直すのを待ちつつ、DfJは周囲に他の艦娘がいない事を確認する。　#ギガベース日誌

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DfJは間宮の耳に顔を寄せ、普段よりも低くかすれるような声で告げる。 「どうも、銀蝿をしている輩がいるらしい」 「えっ」 「左船体側の保管庫に、お前が来る前に主食にしていた保存用の菓子類がある。食堂が完成してからは欲しがる艦がいなかったんで放置してたんだが……」　#ギガベース日誌

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「昨日見てみたら殆ど無くなってた。別に盗まれても困る者じゃないんだが、あんなしょうもない菓子に手出すならこっちの食糧保管庫も、と思ってな。心当たりは無いか？」 「いえ……保管庫の在庫は毎日3回確認していますが、今までに不審な増減は一度も」 「本当か？意外だな」　　#ギガベース日誌

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「まあ、もしそんな事があったらお前はすぐに報告するか。ではこちらの保管庫に盗みは入っていないという事になるな」 「だと思います。というか、皆さん決まって3食というわけでもなく、何も食べない日もあれば5回ほど来られたりもします」　　#ギガベース日誌

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「私としても特に回数の制限などは設けていないので、盗みをしてまでお腹を満たそうとする艦がいるかというと……」 「そうだろうな。だとすると、食用以外の用途で使ったのか、ただの悪戯か……まあ、今考えてもわかるわけもないか」　　#ギガベース日誌

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「ところで、よく食堂に来る艦ってわかったりするか？」 「大和さんと武蔵さんが一番見かけますかね。お二人とも流石によく食べます。あとは夕立さんや卯月さんとか。長門さんは自室を追い出されてよく食堂に……」 大和と武蔵以外馬鹿ばかりじゃないか。DfJは内心そう考えていた。　　#ギガベース日誌

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犯人を絞るならば、よく食堂に顔を出す、つまり食い意地が張った艦が適当だと考えていたが、先程の間宮の指摘もありDfJはこの線を半分放棄した。 「あとは球磨さんが最近よくいらっしゃいますね。木曽さんと一緒に食事を採っているのを見かけます」 「ふーん……」　　#ギガベース日誌

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「まあ、保管庫に被害が無ければ現状そこまで深刻に考える事も無いか。サブアームの事も含めて、何かあったら知らせてくれ」 「わかりました。それでは……」 提督も、いつでもいらしてくださいね。 立ち去るDfJにかけようとしたその言葉を、間宮はすんでのところで呑み込んだ。　　#ギガベース日誌

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早朝。 ギガベース鎮守府食堂は艦内時間で午前6時から開かれている。 ほとんどの日において、開放と同時に訪れるのは加賀のみだが、この日においてはもう一隻、というよりもう一人が6時になると同時に食堂に足を踏み入れた。　#ギガベース日誌