リサとオタマがお互いに凄まじい力を放ち戦闘姿勢を構えるブラックリーチに開いた大穴から、最早激しい稲妻が飛び交う空が見える。その空の向こうから、アカトシュは苦悶した。「何故だ! 何故逆らう! 私がお前の親だ!親の私に逆らうつもりか!?私を愛するなら何故私に従わぬ!」1
2019-02-10 22:42:05「簡単だ。お前は親じゃない」どこからか声が聞こえた。アカトシュは振り向いた。謎めいた右手と左手のみが具体化する超自然の存在がそこにあった。「そもそもお前はアカトシュじゃない。お前はオタマが考えた架空のリサの創造者だ。お前はオタマの勘違いの産物だ」2
2019-02-10 22:44:41その存在はそう答えながら両手を合わせ、名乗った。「俺はイアスヤットだ。オタマを止めに来た。あいつは色々と迷惑を掛けた。俺は放任主義だが、少々アイツを好きにさせすぎてしまったようだ。こんな世界を作ってリサちゃんを支配しようとはなぁ。だからまずは、とりあえずお前に消えてもらうわ」3
2019-02-10 22:49:06「貴様ァ!」アカトシュはシャウトを放とうとするが、イアスヤットは右手を【人】の形に作り、左手を【剣】の形にして、右手に持たせ、アカトシュを切り裂いた。「ア、アアアア……!」アカトシュの存在は一瞬で消え失せた。「所詮偽者だな。本物ならそもそも俺ごときは触れることすらできん」4
2019-02-10 22:51:33イアスヤットは地上を見た。スカイリムの大地を穿つ大穴の下で、オタマとリサが向かい合っている。「さてリサちゃんに謝って、オタマを連れ戻さないといけないが、どうしたものか……」イアスヤットの周囲に名状し難き触手が伸びている。5
2019-02-10 22:54:09ハルメアス・モラ。しかもアカトシュとは違う。この存在には微かに”本物”の気配がする。おそらく全ての知識を得るために、ムンダスに介入した存在全てに植えつけられたモラの因子であろう。「さて、元から総出で謝るつもりだったんだ。早速だが出動してもらうとするか……ムンッ!」6
2019-02-10 22:58:03イアスヤットは両手の10本の指に力を込め、球を覆うような形になるように互いに向き合わせた。指先からバチバチとシナプスの電撃が走り、それは一箇所に収縮し、中心で一つの形となった。それは猫の耳の様な角と、長い龍の尾を持つ、長い白髪の老人であった。7
2019-02-10 23:02:04その存在の名は【ショロバ】。イアスヤットが住む世界の時間に於いて23年前、未だ幼く言葉も曖昧であったイアスヤットが創始した最古の神である。「おい、久々に荒事に担ぎ出したと思えば異空の神と戦えと? お前はガキの頃から神使いが荒いのう」ショロバは不快そうにイアスヤットを見た。8
2019-02-10 23:08:18「すまんなショロバ。だが今回はテシナプスの7大神が全力出さないと勝てない相手だ。何しろほんの一部といってもあのハルメアス・モラが相手だからな」「まあ良かろう。それより早く次のを出してくれんか。向こうさんは待ってくれんようじゃ」ショロバが言うとおり、モラの触手が襲い掛かった!9
2019-02-10 23:11:22無数のモラの触手がショロバとイアスヤットに迫る!「ぬうんッ!」ショロバは両手を広げ、一回転すると、”時の狭間”を作りあげ、イアスヤットと自身を覆った! 狭間に触れた触手の時は停止し、二者の行動を妨げる事は無い!「早くしろ!狭間とて長くは持たんぞ!」ショロバはイアスヤットを急かす!10
2019-02-10 23:19:59「わかっとるわ!ぬうう……!」イアスヤットは両手に再び力を込め、また新たな神を召喚した。今度は黄金に輝く男神と、白銀に輝く女神が現れた。【オツハ】と【コウリン】である。11
2019-02-10 23:21:45「おいマジかよ。オレ達が出張らなきゃいけないのかよぉ」オツハは面倒そうな声を出して、自身と同じく金色に輝く長剣を担ぐ。「しょうがないでしょ。あたし達の世界の神が、違う世界の子に迷惑かけてる。謝らなきゃいけないでしょうが」コウリンは銀色の大鎚を振り回しながらオツハを諭す。12
2019-02-10 23:26:59そして更に新たな神がイアスヤットの手から現れる。今度は数百メートルの長さを持ち、虹色の翼を持つ巨大な水蛇、【ヲルド】。その背には全身が燃える大狼、【リキ】だ。「あら、あのハルメアス・モラっての、強そうじゃない。ゾクゾクするわぁ」ヲルドが艶かしい男の声を出す。13
2019-02-10 23:29:56「何であろうと構わぬ。全て滅すのみ……」リキは燃え盛る尻尾をふりふりとさせながら呟いた。そしてまた新たな神。強靭な四肢と巨大な翼を持つ古龍【ムカ】、そして白く長い角を生やした、長い髪も肌も白い少女の姿をした神【エルマ】である。14
2019-02-10 23:34:30「ああ、何故こんな事になってしまったのか……オタマとやらは何を考えてこのような暴挙を」髭を生やした老ドラゴンがその皺を更に深くして嘆く。その肌をエルマは優しく撫でる。「おじいさん。起きてしまったものは仕方ないではありませんか。だからこそ、私達がそれを正さなければ」14
2019-02-10 23:43:23そしてイアスヤットは最後に、ヲルドに負けぬほどの長さを持つ巨大な蛇と、これまでとは打って変わり、青色のパーカーとミニスカートを着、メガネを掛けたおさげ髪の女を召喚した。オタマの父親である大蛇【ヘルビラ】と、オタマの友人である【すくよ】である。15
2019-02-10 23:46:58「こんな大事になるとか冗談じゃねえよ全く。アイツ何やってんだ?」すくよが呆れた顔をする一方で、ヘルビラの顔は焦燥気味だ。「うう、お、オタマが、こんな、こんな事をするなんて、う、うう……」「ヘルビラさん落ち着いてください。こんなだからこそ、あたしらで止めなきゃならんでしょうよ」16
2019-02-10 23:53:07こうしてイアスヤットが創始した神々の内、7柱の偉大な神々と、オタマの関係者達が揃った。ハルメアス・モラは時の狭間を突き崩し、これら神々を飲み込もうと襲い掛かった!「かかれイッ!」イアスヤットは負けじと号令を発し、神々は一斉にハルメアス・モラに向かっていった! 17
2019-02-10 23:56:40