日本語文法の一番の骨格は学校文法では教えられていません

「簡単な文ですら説明できていないのです。」
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yhkondo @yhkondo

私の本業は日本語文法研究者なので、すごく正直に言いますが、日本語文法の一番の骨格は学校文法では教えられていません。すごく簡単な文ですら説明できていないのです。簡単な例をあげます。「これを読めば仕組みがわかるよ」と言うとすると、この文の主語は何でしょうか。仕組み?私?あなた?我々?

2019-02-14 19:40:48
yhkondo @yhkondo

では、もうすこし複雑にします。「誰でもこれを読めば仕組みがわかるよ」。主語は「誰でも」でしょうか?さらに複雑にします。「大学生なら、誰でも、これを読めば、仕組みがわかるよ。」この主語は「大学生」でしょうか?確かに、意味的には「大学生・・わかる」です。

2019-02-14 19:40:48
yhkondo @yhkondo

このように、いわゆる接続助詞の「なら」が「は」のように使われたり、「で」格が主語っぽく使われたり、「が」が対象に使われたり、。これらは全部学校文法の守備範囲外です。実は、研究レベルでもまだ意見の統一がないというのが実態ですが。ですので、以上の責任は日本語学者にあります。

2019-02-14 19:40:48
yhkondo @yhkondo

この、条件節に何かがくっついたような表現は、日本語に頻出します。「見るとわかるように」とか「拾ったら、お札だった」とか。多くの場合、表層に主語を補うことが極めて困難なのです。(「私が拾ったらお札だった」などとは言えない。)まずは、こういう簡単な文を説明できる必要があります。

2019-02-14 19:40:48
yhkondo @yhkondo

言語学的には、ゼロ代名詞の照応問題ということになりますが、決定的答えはまだ出ていません。「(ゼロ)吹けば飛ぶような将棋の駒に、かけた命を(ゼロ)笑わば笑え」

2019-02-14 20:07:17
yhkondo @yhkondo

条件節を含む文の主語がわかりにくい現象に興味を持っていただきありがとうございます。ひとつ補足します。これは口語体の問題ではなく、日本語の基本構造です。「国境の長いトンネルを抜けると雪国だった」(川端康成)「1と3を足すと、4になります」(数学)

2019-02-15 10:17:41
yhkondo @yhkondo

数学の例などは「(私が)1と3を足すと、4になります」などと「私が」を補うと、じゃ、他の人が足すとどうなるの?とツッコミたくなります。普通に使う日本語では、この部分に適切な主語を補うことはできません。(理論的には、一般的なゼロ代名詞等の存在を仮定することは可能でしょうけど。)

2019-02-15 10:39:33
yhkondo @yhkondo

これは、条件節を、主題文(「は」を中核とした文)に変えるともっとよくわかります。「1足す3は、4です。」この「足す」の品詞はわかりにくいですが、「足す」の主語がどうでもいいことは明らかです。「トンネル通過後は、雪国だった。」笑

2019-02-15 10:54:05