さるカフェ 2019.2.17

ちりぬるをわか @IrhnIhht

「ねぇろろ、また深夜営業、しよっか？」「るる、つかれてないの？」「うーん、ちょっとだけなら！」「するー！」 #さるカフェ

ちりぬるをわか @IrhnIhht

「はーさむさむ」店の前の掃き掃除を終えて背中を丸めながら小走りに店内に戻ると。「るるーこーひー！」ろろがいつものマグカップを用意して私を呼ぶ。開店前の一杯。ろろはこの時間がお気に入り。 #さるカフェ

ちりぬるをわか @IrhnIhht

「きょう、かふぇもか」珍しくろろが甘い飲み物を飲むと言う。「あら珍しいね」「あまいものほしい」疲れてるのかしら。手のひらをピトッとおでこに付けてみる。うん、熱はないみたい。「さむいとあまいもの、おいしい」あぁそっか。それわかるわー。私もカフェモカにしようっと。 #さるカフェ

ちりぬるをわか @IrhnIhht

熱く淹れたカフェモカを2人ですすり、ほうっと2人で息をつく。確かに、寒い時は甘いものが幸せ。お客様もそうかしら。自家製のキャラメルシロップの残りが少なくなかったか確認しておこう。あとはチョコレートね。生クリームは…うん、あったはず。ろろがうーんと声を出して伸びをする。#さるカフェ

ちりぬるをわか @IrhnIhht

開店したものの、誰も来ない。まぁ、こんな日もあるわ。だって外に出たら寒いもの。でもろろは平気みたい。以前一度、仕事中に上着を着ても大丈夫だょと言ったら、寒くないと言った。眠る時は私の布団に潜り込んでくる寒がりなのに、起きてる間は平気みたい。#さるカフェ

ちりぬるをわか @IrhnIhht

鳥さんって代謝が物凄くいいのかしら。でも普段からお肉をよく食べる子だし、体温維持は得意なのかもしれない。私は暑くても寒くてもすぐ体温が持ってかれるから、あやかりたいくらいだわ。 それにしても、暇ねぇ。#さるカフェ

うらはら @ura_saraha

@IrhnIhht 花の目覚めを狙ったのだけど、来るのが少し早すぎたらしい。勘がにぶったかな、と原料屋窓也はひとり苦く笑った。いつもの書生に和柄の面で、冬の夜空の下をふらふら歩く。「小腹が減ったなあ」ふと顔を上げれば、あたたかな灯り。「こんばんは。まだやってるかい？」　#さるカフェ　#原料屋

ちりぬるをわか @IrhnIhht

@ura_saraha あっ！やっとドアベルが鳴った！顔を上げれば、一気に記憶がよみがえってくる。久々と言うにはあまりにも久々な、神出鬼没な仕入先。「いらっしゃいませ！随分お久しぶりだこと。何かいい原料はあるかしら？」ちょっといたずらっぽく笑ってみる。#さるカフェ #原料屋

うらはら @ura_saraha

@IrhnIhht 「おっと」一言目からお茶目な笑顔。「随分と久しぶりなのに、覚えていてくれて光栄だな。もちろん、俺はいい原料しか取り扱わない主義でね」意趣返しを込めて首を傾げてみせる。「少しばかり空腹なんだ。どうか美味しい食事を饗してもらえれば、俺も同等の原料でお答えするぜ」　#さるカフェ　#原料屋

ちりぬるをわか @IrhnIhht

@ura_saraha うふふ、もちろんよ。あの花、とっても色々使ったし、美味しかったもの。私の目に狂いはないわ。お仕事の話はお腹が満たされてからゆっくりね。「ろろー！お水とおしぼりおねがーい」すぐにろろが飛んでくる。「紹介するわ。私の相棒なの。」「ろろです！よろしくおねがいします」#さるカフェ #原料屋

うらはら @ura_saraha

@IrhnIhht 「ああ、こんばんは。どうぞよろしく」呼ばれてとんできたのは、利発そうな顔をした少年…の姿の鳥だった。水を受け取りながらカウンターに座る。「新顔かい。この街はいい街だから、君らには随分住みやすいだろう」　#さるカフェ　#原料屋

ちりぬるをわか @IrhnIhht

@ura_saraha 「みんな、やさしい」ろろがニコッと答える。「そうね、みんなに可愛がってもらってるね。お酒も強いし。」#さるカフェ あ、お腹空いてるのよね。話長引いてごめんなさい。何が食べたいかしら。#原料屋

ちりぬるをわか @IrhnIhht

ろろがいつも通り首尾よく挨拶をする。いらっしゃいませ、ありがとうございます、るる、ごちゅうもん、などなど。ろろが最初の方に覚えた言葉のひとつ。私がお客様みんなに紹介するとお客様の方から「よろしくね」と言ってくれて、自然と覚えた。お客様に恵まれてるなぁ。#さるカフェ

うらはら @ura_saraha

@IrhnIhht 「へえ、いけるクチかい。将来有望だな」小さく笑って、窓也は店主へ顔を向けた。「ここに来る前に平原の民族のバラックに寄ってさ。ラムや乳製品を嫌ってほど食べてきたばかりなんだ。少し気分の変わる、あたたかいものを頼むよ」　#さるカフェ　原料屋#

ちりぬるをわか @IrhnIhht

@ura_saraha わぁ、それは私の知らない世界だわ。乳製品から気分を変えて…そうね、それじゃぁアクアパッツァなんてどうかしら。ちょうどいいのがあるわ。『空の恩恵』のアクアパッツァ。味付けは少しのコンソメと塩だけで。パンにする？ご飯にする？ #さるカフェ #原料屋

うらはら @ura_saraha

@IrhnIhht 「色んな人と場所の恩恵にあずかる身分の職業としては、心の踊る響きだな。米で頼むよ」足元のつづらの中身を思い浮かべながら深皿を受け取って、静かに息を吸い込む。「ああ、いい匂いだ。いただきます」　#さるカフェ　#原料屋

ちりぬるをわか @IrhnIhht

@ura_saraha お米ね、了解。今日のお米は『いつでも初恋』を少し固めに炊いたもの。少し考えて、和野菜を使ったピクルスを添える。だってアクアパッツァにお新香は合わないし、ピクルスはお米に合わないし。自分用に漬けたメニューにはないものだけど、原料屋さんだもの。いいわ、つけちゃう。#さるカフェ #原料屋

ちりぬるをわか @IrhnIhht

@ura_saraha お客様って言うより仲間みたいなもんだし。ものの良し悪しで商売してる人だもの。美味しいものなら通じる。何より美味しいもの出せばいい原料が手に入る！#さるカフェ #原料屋 下心をちょっと持ちつつ、お米を渡す。「はい、『いつでも初恋』の固め炊き。」仕事は初心が大事ょね。#さるカフェ #原料屋

うらはら @ura_saraha

@IrhnIhht 魚介のスープと米、ピクルスが絶妙。「ここしばらく、こういうきちんとした食事にありつく機会が無くてさ」がっつかない程度に頬張りながら食事を楽しんで。「はあ、美味かった。期待通りの食事を頂いたからには、こっちも相応のもので返さなきゃな。何か原料の希望はあるかい」　#さるカフェ　#原料屋

ちりぬるをわか @IrhnIhht

@ura_saraha 期待に応えられて嬉しい。根を下ろして商売をしてる身として、色んな所を回るバイタリティは尊敬しちゃう。#原料屋 「そうね…色んな使い方の出来る物だと嬉しいわ。あと保存ができるのなら、やり方教えて？」仲間だと思うと欲が出る。特にこの人は会える機会が少ないから知れるものは知りたくなる。→

ちりぬるをわか @IrhnIhht

@ura_saraha →あと…頼みたいことがあったんだった。ちょっと勇気を出して言ってしまおう！「あの、“原料屋さん”じゃなくて“窓也さん”って呼んでもいいかしら？私のことも“るる”で構わないわ」#原料屋 #さるカフェ 言った！ろろが驚いて私を見て「るる…珍しい」って呟く。

うらはら @ura_saraha

@IrhnIhht 色んな使い方…っと考えていた思考が、思わぬ申し出に止まる。「驚いた。いや、もちろんダメだって意味じゃないぜ」ひらひら、と手をふってにやりと笑う。「子どもじゃあるまいし、商売相手くらい好きに呼べばいい。俺も、随分可愛らしい店主さんの名前を呼ばせてもらうからさ」　#さるカフェ　#原料屋

ちりぬるをわか @IrhnIhht

@ura_saraha あっ！窓也さん私の名前知らなかったのか！もう街のみんなは知ってるから忘れてたけど、このキラキラネームもどきの名前が久しぶりに恥ずかしい！「う、うん、ありがと」同様と照れが顔に出てしまう。「るる…ほんと、珍しい」と、ろろ。#原料屋 #さるカフェ ひえー。

うらはら @ura_saraha

@IrhnIhht 「さて、るるさん？照れるのはそれくらいにして、支払いといこうか。今の手持ちなら……牛と山羊のあいのこ、口当たりの良さが特徴だ。小さいこれは蜜胡桃。硬く小さいが齧ると蜜の風味が広がる。ハーブの束は数種類。双葉風船なんかは、軽やかで使いやすいんじゃないかな」　#さるカフェ　#原料屋

ちりぬるをわか @IrhnIhht

@ura_saraha わっ、どれも魅力的…。お肉はろろが好きだし、燻製やハムにすればなんとでもなる。蜜胡桃はほんと何でも使えそうだし、ハーブなんていくらあってもいい。双葉風船は知らないけど新しいものはワクワクしちゃう。うわー迷うなぁ…#さるカフェ 私のセコさが顔を出す。#原料屋 →