心に火を着けること、驚くこと

教えることは、しばしば無力。しかし、だからといって教師や指導者の役割は失われない。子どもの学習意欲に火をつけ、持続するのを助ける「触媒」が重要だからだ。
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shinshinohara @ShinShinohara

「教えることは学力向上につながらない」同意。「だから教師は子どもの学力を上げることはできない」という主張には不同意。 その主張は、教師の権能が「教えること」だけだと見なしてるのだろう。しかし指導者は、「教えない」ことによって子どもの好奇心に火をつけることができる。

2019-02-21 09:21:11
shinshinohara @ShinShinohara

子どもは、人から教えてもらったことには興味を示さない。むしろ興味を失う。クライマックスをバラされた映画のように。犯人をバラされた推理小説のように。 しかし、誰からも教わらずに、自分で発見したことにはワクワクする。ますますやってみたくなる。教師は指導者の役割は、その触媒になること。

2019-02-21 09:24:18
shinshinohara @ShinShinohara

「アルプスの少女」ハイジは、アルファベットさえ覚えられず、家庭教師にさじを投げられていた。ハイジも「私はおばかさんなんですわ」としょげていた。 そんなとき、クララのおばあさんは、きれいな挿し絵のある本をハイジにプレゼントした。大好きなアルプスの山々に似た、挿し絵。

2019-02-21 09:26:55
shinshinohara @ShinShinohara

ハイジは、その本に何が書いてあるのか知りたくなった。いつかアルプスに戻ったら、目の見えないペーターのおばあさんに本を読んであげたいと思った。 それからは、突如として、家庭教師が目をみはるほど学力が向上。本を次から次へと読破していった。

2019-02-21 09:29:45
shinshinohara @ShinShinohara

クララのおばあさんは、ハイジに何も教えていない。ただ、ハイジの心に火を着けただけ。大好きなアルプスの山々に似た挿し絵のその本に、何が書かれているのか知りたい、という好奇心。その駆動力でハイジは学び始めた。どれだけ教えても学力は根づかなかったのに。

2019-02-21 09:32:11
shinshinohara @ShinShinohara

教師や指導者は、教えようとしなくてよい。ただひたすら、「クララのおばあさん」を目指せばよい。子どもの心に火をともせば、子どもは勝手に学び出す。 そしてもう一つ。ともした火が消えないよう、燃え続けるようアシストする必要がある。「驚く」ことだ。

2019-02-21 09:35:23
shinshinohara @ShinShinohara

「もうそんなことも覚えたの?」「そんなこともできるようになったの?」と驚いてみせると、子どもはもう大興奮。やった!驚かせることができた!もっとできることを増やして、もっと驚かせてやろう!学ぶことにますます意欲を燃やす。

2019-02-21 09:38:49
shinshinohara @ShinShinohara

「教える」ことのまずさは、驚けなくなることだ。覚えたか、じゃあ次ね。できるようになったか、じゃあ次ね。覚えたこと、できるようになったことが増えても、驚かない。これでは子どもはつまらない。成長しても驚かすことができないのだから。

2019-02-21 09:40:50
shinshinohara @ShinShinohara

子どもはどこかで覚えている。初めて立ったとき、お母さんお父さんが手放しで驚き、喜んでくれたことを。初めて言葉を話したときも、ものすごく驚いてくれたことを。子どもはその時の喜びを知り、学ぶ意欲にドライブをかける。

2019-02-21 09:43:31
shinshinohara @ShinShinohara

子どもが話せるようになると、大人はだんだん驚いてくれなくなる。むしろ、もっと早くあれを憶えろ、これができるようになれと急かし出す。それができるようになってもまた、次。一向に驚いてくれない。つまらない。

2019-02-21 09:50:31
shinshinohara @ShinShinohara

驚こう。驚くために、「教えない」ようにしよう。教えてないのにできるようになれば、当然驚かずにいられないから。「教えてないのによくできたね!」子どもは得意満面になる。もっと驚かせようと、学習意欲にドライブがかかる。

2019-02-21 09:52:37
shinshinohara @ShinShinohara

興味関心が湧くよう、「火を着ける」こと、「驚く」こと。子どもは自然に学び出す。まさに驚くべき勢いで。教師や指導者は、その二つの機能を果たす触媒になればよい。そういう意味では、教師や指導者は、やはり子どもの成長に欠かせない存在なのだ。

2019-02-21 09:55:00