茂木健一郎(@kenichiromogi)さんが語る「日本の課題」

脳科学者・茂木健一郎さんの5月6日朝の連続ツイート。 明治維新の時代と比較して現代の日本の課題について述べています。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

課題(1)昨年は大河ドラマの影響もあって空前の幕末ブームだった。しかし、現実の日本は、なかなか変わらなかった。時間的に遠いものとなった明治維新の「成功」の物語が、「ファンタジー」として消費されてそれで終わっていたという側面もあるのだろう。

2011-05-06 06:23:43
茂木健一郎 @kenichiromogi

課題(2)今年になって、もはや明治維新のことを言っていても仕方がないという気分が広がっていたと思う。「今、ここ」の日本の課題に具体的、現実的にどう取り組むか? そんなことを日本人が考え始めていた時に、大震災が起こった。

2011-05-06 06:24:41
茂木健一郎 @kenichiromogi

課題(3)当然のことながら、幕末と現在では日本が直面している課題は異なる。維新においては、当時の先端的なヨーロッパ、アメリカの文明に追いつくことが最大の課題だった。帝国主義的状況の中、植民地になることをいかに避けるかが、日本にとっての最優先のテーマであった。

2011-05-06 06:26:23
茂木健一郎 @kenichiromogi

課題(4)明治新政府のとった諸政策は、欧米に追いつくという文脈の元では合理的であった。時代が変わり、グローバル化、情報ネットワークの時代となって、日本にとっての課題も、すっかり様変わりしてしまっている。明治の成功物語は、もはや有効ではない。

2011-05-06 06:27:50
茂木健一郎 @kenichiromogi

課題(5)日本では、ある文脈の下で構成された制度やシステムが、その文脈が意味を持たなくなった後も、延々と受け継がれるという傾向がある。「文明の配電盤」としての「大学」のあり方も一つ。翻訳を前提にした言語政策では、もはや立ちゆかない。

2011-05-06 06:29:32
茂木健一郎 @kenichiromogi

課題(6)日本の停滞の大きな要因は、悪意や怠慢ではなく、直面すべき時代の課題についての無理解や、知性的基盤の欠如に起因していると考える。やらないのではない。やりたくてもできないのである。要するに私たちは賢くならなければならない。そして、今回はわかりやすい「手本」はない。

2011-05-06 06:31:43
茂木健一郎 @kenichiromogi

課題(7)日本をもっとPRすべきだ、大学やメディアを、よりオープンなシステムにすべきだ、ガラパゴス化を避けるべきだ。そういう「課題」はきっと判っているが、能力的に出来ない。悪意や怠慢でやらないのではない。単純に、できないのである。

2011-05-06 06:33:29
茂木健一郎 @kenichiromogi

課題(8)私たち日本人がより賢くなるためには、どうすればいいか。初等教育以来の、ペーパーテスト偏重の能力観を変えなければ、世界のリヴァイアサンたちに太刀打ちできない。化石のような大学入試を変えなければできない。しかし、それが日本人に「できる」のか?

2011-05-06 06:34:57
茂木健一郎 @kenichiromogi

課題(9)さまざまな分野における日本の問題点が、悪意や怠慢ではなく能力不足に起因するのだと認識すること。他人を揶揄したり批判していてばかりでは仕方がない。批判された人たちだって、「できない」のだから。一人ひとり、時代の課題に適応した能力を上げていくしか、道はない。

2011-05-06 06:37:07
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、日本の「課題」についての、連続ツイートでした。

2011-05-06 06:37:20