尾上先生の勉強風景(16) ヴォルフ『地中生命の驚異』

ダーウィンのフォースが尾上先生とともにあられんことを
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尾上正人 @9w9w9w92

Wolfe, David W. (2001) Tales from the Underground: A Natural History of Subterranean Life, Perseus. =2016 長野敬・赤松眞紀訳『地中生命の驚異ーー秘められた自然誌(新装版)』青土社 とある事情から(笑)調べてみようと思ったのだが、これ原書の発刊年はだいぶ前だなあ

2019-02-23 14:24:05
尾上正人 @9w9w9w92

レオナルド・ダヴィンチ「我々は足元の土地についてよりも、天体の運行について多くのことを知っている」11頁

2019-02-23 14:28:45
尾上正人 @9w9w9w92

「生物学の古い観念は、ひっくり返りつつある。この惑星上の生命についての近視眼的な見方がどれほど『地表贔屓』のものかということ、地下の生物については、もっとも目立つもの以外何も見ていなかったこと……我々の足の下にいる生命の総量は、地上で観察する全部よりはるかに多いらしい」13頁

2019-02-23 14:33:49
尾上正人 @9w9w9w92

「若い地球は戦場さながらで、もっとも安全な場所といえば地下に潜ることだった。地下を生命のゆりかごとすることは、20世紀の大部分にわたって普及していた考え、つまり水分が蒸発して生命出現に適する『原初のスープ』…で生命が始まったとする考えに反していた」33頁

2019-02-23 17:52:39
尾上正人 @9w9w9w92

「聖書の物語によるとエデンの園に住んだ最初の人間の名はアダムだった。これは土とか粘土を意味するヘブライ語のアダマadamaがもとになっている。…[ラテン語の]homoは、『土の』と訳せるhumus[いまの英語ではこのままの形で〈腐植土〉]という語からきている」41-2頁

2019-02-23 18:07:51
尾上正人 @9w9w9w92

「さらに過激な説によると、粘土の結晶自体が地球で最初の自己複製型の『ローテク遺伝子』だったという。…この結晶の一部のものが、その構造にアミノ酸または核酸を取り込むことによって生き残り、複製ができるようになったのかもしれない」42頁

2019-02-23 18:13:11
尾上正人 @9w9w9w92

「粘土の表面積は、重量に比べて信じがたいほど大きい。一つまみ、一グラムの粉末粘土の表面積は、何と野球の内野と同じ大きさがある」44頁

2019-02-23 19:52:00
尾上正人 @9w9w9w92

「化学者グレーアム・ケアンズ=スミスは…粘土が粗製の酵素触媒としての役割を果たしただけでなく、今日の遺伝子の前駆体でもあったというのだ」46頁

2019-02-23 19:55:50
尾上正人 @9w9w9w92

「最後にはRNAが完全に『遺伝子乗っ取り』を完遂して、基質だった粘土は大きさも重要性も減じ、ついに完全に姿を消してしまう。自分の利益のために核酸を取り込んだ粘土結晶は、結局自分の破滅の種を蒔いたことになった…ケアンズ=スミス説は、粘土結晶が最初の真の遺伝子の進化における足場」49-50頁

2019-02-23 20:04:45
尾上正人 @9w9w9w92

「今日の地球で最も住みにくそうな地下の環境で生きている多種多様の珍しい微生物が、最も原始的な祖先生物を代表して今日まで生きているものであることが明らかになった。『極限環境生物』[extramophile=極限愛好者]」51頁

2019-02-23 20:10:33
尾上正人 @9w9w9w92

「トマス・ゴールドは…地下で生物が生きられる限界を深さ約5kmと推定した。…その上で、この層の土と岩の全間隙のわずか1%だけに生物が生きていると推測したのだ。これをもとにして、彼は地下の生物量を200兆トンと算出した。この推測値は、我々が想定する地表の全動植物量よりも確かに大きい」63頁

2019-02-23 20:35:22
尾上正人 @9w9w9w92

「古細菌には沸点を上回る高温で生育できるものがあるのに対して、細菌ではそのようなものは発見されていない」65頁

2019-02-23 20:40:01
尾上正人 @9w9w9w92

「極限環境微生物の中でも驚異的なのは無機栄養生物と呼ばれる岩を食べる微生物である。…もしも玄武岩と水から水素が生ずる反応によって、ある微生物集団を全部維持するエネルギーが供給できることが立証されれば、地下の生態系には『土地エネルギー源』…が広範囲に存在することになる」71-2頁

2019-02-23 21:07:28
尾上正人 @9w9w9w92

「今までの宇宙探査は、ことごとく間違った場所で生命を探し求めてきた。真の活動は奥深いところ、ことによると何マイルもの深さに存在するかもしれないのに、高価で洗練された宇宙探査機は文字通り表面を引っ掻いているにすぎなかったのだ」74頁

2019-02-23 21:10:46
尾上正人 @9w9w9w92

グールド「我々は誰でも正直のところ時折は、細菌が地球を支配していると感じることがある。それならば、宇宙も支配しているというのを否定する理由があるだろうか」75頁

2019-02-23 21:17:34
尾上正人 @9w9w9w92

「我々が慣れ親しんできた太陽に温められた地表は、生命がそれぞれ独自のお祭りを開いている舞台のうちで、1つのものにすぎない……宇宙全体のなかでの生命を考えるとき、太陽エネルギーを利用する地球の表面は中心的な舞台ではなく、取るに足りない一部分にすぎないかもしれないのだ」75頁

2019-02-23 21:20:33
尾上正人 @9w9w9w92

「『ウーズ革命』以前の系統樹は、基本的には目で見た通りの現実を表すものだった。主として生物がどのように見えるか、化石記録から推定した先祖がどのように見えるかにもとづいていたのだ。その系統樹は古代ギリシアの時代以来、驚くほど進歩していなかった」87頁

2019-02-24 04:43:39
尾上正人 @9w9w9w92

「原核生物が、今では地球の遺伝学的な多様性の3分の2にあたる古細菌と(真性)細菌のドメインを占めるに至っているのだ。カール・ウーズが発見した古細菌という新ドメインの中には、動植物や菌類を全部合わせたよりも桁違いに大きい違いが、その多様性と進化的距離に見られるのだ」94頁

2019-02-24 04:49:06
尾上正人 @9w9w9w92

「進化における窒素固定の『発明』は光合成(炭素固定)に匹敵する地球の生命史の要になる出来事だった。…この2つの生物過程によって、他の方法では利用できない資源の封を開いて地球の積載能力を大幅に増大させることができる」109頁

2019-02-24 05:03:44
尾上正人 @9w9w9w92

「自然界の壊れやすいバランスを心配する人は、この貴重な酵素が全地球に数キログラムしか存在しないことを知ったらかなり不安に駆られるかもしれない。全世界のニトロゲナーゼを集めても、たった1個のビーカーやバケツに入ってしまう量にすぎないのだ。これを失うと今日の地球の生命は停止」110頁

2019-02-24 05:11:17
尾上正人 @9w9w9w92

「リゾビウムとマメ科植物の共生では、酸素を吸収する巨大分子レグヘモグロビン…が生産されてバクテロイドを浸し…『レグヘモ』の部分がリゾビウムの遺伝子、そして『グロビン』の部分は植物遺伝子に支配…異なるドメインに属する2種類の生物が、複雑な巨大分子を合成するノウハウと労働を共有」117

2019-02-24 05:26:07
尾上正人 @9w9w9w92

「今日地球規模で見ると人間がハーバー法で固定する窒素量は、土壌に生息する窒素固定細菌全部が固定する窒素を上回っている。…どの時期をとっても、人口の最低3分の1はハーバー法で食物を与えられていると考えられる」125頁

2019-02-24 05:50:32
尾上正人 @9w9w9w92

「菌類と根の関係は、ギリシャ語のミコス(菌類、mykos)とリザ(根、rhiza)にちなんでミコリザ(マイコライザ、菌根)と呼ばれる」131頁

2019-02-24 08:50:04
尾上正人 @9w9w9w92

「根を持たない初期の緑藻と菌類の共生から植物の根が進化した可能性を推測する古生物学者もいる。…しかし植物の根には細菌の遺伝物質の痕跡はまだ発見されておらず、根が菌類から進化したと考える植物学者は少ない」138頁

2019-02-24 08:52:38
尾上正人 @9w9w9w92

「菌根菌と植物の関係においてある種の場合には、植物の根は付着した菌をもっと深い部分に運ぶ乗り物の役割を果たす以上のことはあまりしていないのではないかと考えている分析家もある」140頁

2019-02-24 08:54:34