140ssログ1月~2月

石かり、薬宗、髭膝、くにちょぎログ
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やまたに @mw_snc

次の任務では梅を取れと言うらしい。兄者の花だなぁと微笑む弟に、髭切もにこりと笑う。梅もいいけれど、蛤も相応しいと思わないかい。何故、と弟が問う顔をしたから。あれはねぇ、対の貝殻以外と決して噛み合わないんだよ。この世でたった一つだけの、二つ。ほら、僕らみたい。(髭膝)

2019-01-08 18:48:23
やまたに @mw_snc

つめたい雨が降っている。あいつは雨が嫌いだろう。薬研は彼を訪れる。よう、ご機嫌はどんな角度だ。言えば、宗三は少し悩んで。上機嫌から三百六十くらいでしょうか。それじゃ回って戻ってきちまう。そうですねぇ、微笑むひとは薬研に言わない。雨は、あなたがきてくれる日に変わったのだと。(薬宗)

2019-01-13 09:49:25
やまたに @mw_snc

かたなの性か、と腹に入る短刀に思う。それでは、僕は鞘になってしまうか。それは嫌だなぁ、と宗三はふわふわと笑う。余裕だな、悔しそうな顔が目の前にあって。塞がれる唇はもう腫れぼったい。余裕だろうか。なにを、なにか、考えていたことも忘れて行くのに。薬研のことしか、考えてませんよ。(薬宗)

2019-01-13 10:03:38
やまたに @mw_snc

まふゆはふたり、布団へ籠る。随分楽な籠の鳥だ。あなたこそ、布団ではなく冷たい薬研が待っていますよ。くだらないことを言い合って、けれど体は触れあって。そろそろ、歌仙の旦那に起こられるか。怒られるのは今さらでしょう。別にいいですよ、と擦り寄れば、もう太陽は空の真上。(薬宗)

2019-01-13 10:19:21
やまたに @mw_snc

でぐちはなかった。織田は言うに及ばず。兄も弟も懐柔されて。主すら、薬研は頼れるな、と笑って。外に出れば粟田口の包囲網。ああ、僕は籠の鳥だ。抱き締められる腕に嘆く。それを見て、魔王の懐刀は生き写しの笑みを浮かべるのだ。捕まえた。それはまるで蜘蛛の糸だ。僕は、忘れたかったのに。(薬宗)

2019-01-13 12:21:52
やまたに @mw_snc

だあれもいないところへ行きたいな。ぽつり溢した長義の手を国広は掴む。俺は一緒に行くぞ。そんな宣言に、長義は笑って。いいよ、お前と俺だけだ。そう言って、口付けをひとつ。最初から、お前と行く気だった、とは教えてやらない。他の雑音が入らない場所へ行きたかっただけなんて。(くにちょぎ)

2019-01-16 06:59:41
やまたに @mw_snc

山姥切、と声がする。それは誰だ。長義は考える。山姥切さん、主が呼んでるよ。山姥切、次の作戦だが。山姥切、山姥切。うるさい、と立ち竦むと。山姥切、ここにいたのか。聞こえた声にすがりつく。ああ、お前のせいなのに。抱き留める腕は陽だまりのように暖かい。お前だけが、俺を呼ぶ。(くにちょぎ)

2019-01-16 07:10:34
やまたに @mw_snc

髭切さん、と振り返られて、膝丸は戸惑う。振り向いた前田も、きょとんとして。失礼しました、膝丸さんでした。それはいいが、理由は気になる。短刀に間違われるほど、兄者と俺は似ていたか。いえ、と彼は少し口ごもり。髭切さんの匂いがして、あと、いつもより歩調が。聞かなければよかった。(髭膝)

2019-01-16 07:27:09
やまたに @mw_snc

今年はちゃんと対策したよ、と自信満々に布へ覆われた手を見せられた。ああ、うん、暖かそうだね。おざなりの返事に、青江は不満そうで。君が、冷たい冷たいってうるさいからつけたのに。拗ねた顔をされても、こちらこそ拗ねたいのだ。そんなもの、こうする言い訳じゃないか。手を、握る。(石かり)

2019-01-16 07:36:25
やまたに @mw_snc

国広と呼ぶと口を開ける。そこに赤茄子を放り込んだ。美味しいかな。うまい。では次は人参の煮物を。そして青魚。長義くん、嫌いなものを食べさせないの。祖が怒るが気にせずに。国広、全部食べたら甘味をあげよう。それで、お互い利が出るはずだ。甘い口付けを贈る予定の唇に、また人参。(くにちょぎ)

2019-01-17 18:40:34
やまたに @mw_snc

長義は俺を行使する。肩を揉めだの、夜食を作れだの。それを横暴だと言うものも、拒否しないのが情けないというものも、色々で。けれど、と国広は思うのだ。有能で、澄まして、慈悲深い刀が、自分にだけくれるものが愛しいと。だから俺は、実は色々と彼からもらっているのだ。(くにちょぎ)

2019-01-17 18:50:53
やまたに @mw_snc

真っ直ぐな瞳が苦手だ。長義は負けじと見つめ返すけれど、揺らがない翡翠の瞳が本当に苦手だった。好きだ。ああ、そう。愛しい。俺は全然。長義。偽物くんなんて。長義、顔が赤い。指摘に、顔を逸らしてしまった。長義、長義、可愛いな。うるさい。翡翠の瞳は、決して逸れない。(くにちょぎ)

2019-01-18 07:32:48
やまたに @mw_snc

つん、と後ろ髪を引かれる。痛いほどでなく、気にならないほどでもなく。なんだい、と青江が振り返って見上げれば、悪戯っ子の顔をした大太刀がいて。ついでに、唇に悪戯されて。不意討ちは好きじゃないな。予告したよ。そう言って髪をまた引く。やめてくれ、次に振り向くのが恥ずかしくなる。(石かり)

2019-02-06 17:44:58
やまたに @mw_snc

兄が酒を飲んでいる。俺以外と輪を作って、と膝丸は盃を置いてふらふらと近寄った。兄者、俺は帰る。飲み過ぎた、と口にすれば察した兄は、けれど気付かぬ顔で。僕も一緒に戻るよ。立ち上がった兄が腰に手を回す。近付いた唇が、悪い子と囁いた。ああ、蛇はうわばみ。兄者は知っているだろう。(髭膝)

2019-02-06 21:02:13
やまたに @mw_snc

ひっさつわざ、を藤四郎くんに聞いた。と、髭切は早速弟へ実践した。上目遣いで見つめてから、小首を傾げ。赤い顔で狼狽えるのは、効いているのか。僕も同じことをやられたら効くだろうけれど。そんな無理そうな願いは置いて、仕上げを。お願い、膝丸。な、なんなりと。さ、なにをさせようか。(髭膝)

2019-02-06 21:10:55
やまたに @mw_snc

寒いから、と炬燵へ入れられた。膝丸は大人しく兄の意向に従って、熱々のココアを飲む。着せられた半纏も暖かい。ただ、とまだ物足りない寒さを感じて、兄を呼ぶ。おかわりかい。火鉢の様子を見ていた兄が近付くから、抱きついて。これがないと、寒い。いくらだってあげようね。体温に包まれる。(髭膝)

2019-02-09 07:11:20
やまたに @mw_snc

パチリ、と爪を切る。長さは如何程に。尋ねる弟へ、引っ掻けないように、と。その願いに弟はわからないと顔に描くから、お前を傷つけたくないからね、と返す。赤い顔が黙ったまま、パチリパチリと繰り返して。ありがとう、次は僕が切ろう。長さはと尋ねれば、背中に傷を残さぬほどに、と小さく。(髭膝)

2019-02-13 21:37:40
やまたに @mw_snc

ばかなことを、と自分に思う。男が、物が、武器が、催事に乗ったお菓子作りだなんて、と青江は思う。一方で小麦粉を量る手は止めず。砂糖も次に量らなくては。何故、こんなにやる気を出してしまったんだろう。そんなことは、決まっていて。青江の手作りが食べてみたいな。願う、大太刀が悪い。(石かり)

2019-02-14 06:22:43
やまたに @mw_snc

れんしゅうと称された菓子を南泉はかじる。それを目敏く見つけた写しが羨ましいと顔に描く。練習作の残飯処理だにゃ。だから睨むなと返せば、練習なら俺にくれてもいいのに、と拗ねるからこいつらは面倒だ。練習なら、本番はどこへ行くのか。南泉はそこまで言ってやらない。また、かじる。(くにちょぎ)

2019-02-14 07:00:37
やまたに @mw_snc

たくさんの箱を宗三は開く。これが老舗の名店で。こちらは有名な菓子職人の。買ってきたというそれは、甘い匂いを漂わせるけれど、と薬研はチョコレートではなくその手を取った。で、一番俺が欲しいのはどこやった。絆創膏の巻かれた指に問う。厨にいたのも知っているんだからな。(薬宗)

2019-02-14 07:06:04
やまたに @mw_snc

いんうつな顔を見せる弟は珍しい。一体どうしたって言うのさ。本来なら、赤い顔で僕にちょことやらをくれるはずなのに。と、小さな声が。失敗したのだ。そういうことか。嘆くでもなく、髭切はその体を抱きしめて。この一等美味しそうなのをくれたら許すよ。本当は、許すもなにもないけれど。(髭膝)

2019-02-14 23:57:12
やまたに @mw_snc

兄者、兄者と世話を焼く膝丸の姿は見慣れたもので。けれど、と歌仙は起きてこない二振りに握り飯を作っておく。ごめんねぇ、弟の朝ごはんになるものあるかな。寝癖だらけの頭が昼前に覗いた。全く風流ではないね、と言いわれて受け取る髭切は、これから弟を世話するのだろう。(髭膝)

2019-02-17 07:24:49
やまたに @mw_snc

ちゅ、と口付ける。それだけで、ぽぽぽと頬を染める弟は、いつまで経っても慣れないのだ。好きだよ。囁く言葉に瞳が蕩けて。抱き締めると戸惑い勝ちに抱き返して。そうすると、いつまで経っても変わらず嬉しいと、幸せだと何度でも思ってしまう僕も、ちっとも慣れないのだ。(髭膝)

2019-02-17 07:29:45
やまたに @mw_snc

かまってください、と今剣が抱きついて。たまには朝まで飲まんか、と岩融に呼ばれて。膝丸は上機嫌で誘いに乗る。旧交を暖めるのは楽しい。それに、と愛しい兄を思って。鬼を切る刀が鬼になるのも。うすみどり、とってもわるいかおをしています。ああ、俺はとても悪い弟なのだ。(髭膝)

2019-02-17 07:37:02
やまたに @mw_snc

梅の花が咲く。兄者に似合いの季節だ、と膝丸が一枝部屋に活ければ、もうお前の季節なんだねと兄は微笑んで。触れる指先が、薄緑の髪を撫でて膝丸はその意味を知る。雪解け、春告げ、春の芽吹きの兄弟は、お揃いだな、と微笑みあった。(髭膝)

2019-02-17 08:26:14
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