5月3日から、さまざまな思いが去来している。それらを書いていたら、恐らくたちまち数万字になってしまうだろう。しかし、5月2日以来の寝不足を漸く取り返すように8時間ほど寝て、今日、最初に書きたいことは、ある映画の事である。
2011-05-06 19:54:44本来は、今年の秋か暮れに公開予定だったそうだが、今回の福島原発の事故によって、原発への関心が高まっているので、急遽予定を繰り上げての4月2日からアップリンクで公開が始まったものである。
2011-05-06 19:57:17フィンランドが原発に伴う放射性廃棄物の最終処分場として、自国の島にある18億年も変わっていないという岩盤を発破によって堀りぬき、そこに約100年間溜めた放射性廃棄物を入れてから完璧に埋めるというプロジェクトをスタートさせた事を描いたものである。
2011-05-06 19:59:12こうした解説を聞くと、当然反原発・脱原発の映画のように思えるが、映画を観ていくうちに、そうした思いよりも人類の歴史と、果たして今後、何万年も、人類は存続するのだろうか?という壮大すぎる空想が心中に拡がってくる。
2011-05-06 20:00:44何しろフィンランドのオルキルトで、オンカロ(フィンランド語で隠れ場所のこと)と名づけられた放射性廃棄物の永久処分場は、10万年先まで、その廃棄物を保管するという目的で現在、造られているからである。
2011-05-06 20:01:52人類の歴史で、10万年前といえば、現生人類につながる人類が、果たしてどのような形で存在していたかさえ定かではないほど、途方もない年数である。
2011-05-06 20:03:13そのため、この映画の中で詳しく描かれているが、この危険物が埋められているという事を、将来の人類の子孫に果たしてどのような方法で知らせるかという、まるでSFのような話が真顔で語られている。
2011-05-06 20:04:20しかし、そうすると宝物かと思って掘る者もいるかもしれないので、一切そうした警告の類は残さない方がいいという意見まで、様々に紹介されている。
2011-05-06 20:05:46何しろ10万年の彼方ということで、すべての文明が滅びて、又原始的な人類が発生しているかもしれない、といった事まで考えているのだから…。
2011-05-06 20:07:03そのため、この映画を観ていると、原発の問題の深刻さを描いている作品なのに、何かそうした目前の危機感を忘れさせる不思議な気分にさせられる。
2011-05-06 20:08:02しかし、観終わって、1日か2日経って、あらためて考えると、18億年も変化していないという地層を持たない日本で54基もの原発を抱え、日々増え続ける放射性廃棄物をどうするのか、というのは非常に悩ましい問題であることに気づくと思う。
2011-05-06 20:11:11とにかく人間が生きているという事をあらためて考える上で、この映画は滅多にない「問いかける力」を持っている。全国50以上の館で上映されるとの事。多くの方に御覧いただきたい。http://p.tl/3D3R
2011-05-06 20:12:23