尾上先生の勉強風景 (18) ボイヤー『神はなぜいるのか』

尾上先生がダーウィンのフォース(略)
1
尾上正人 @9w9w9w92

Boyer, Pascal. (2002) Religion Explained: The Human Instincts That Fashion Gods, Spirits and Ancestors, Vintage. =2008 鈴木光太郎・中村潔訳『神はなぜいるのか?』NTT出版 パスカル・ボイヤー、もう一丁! ボイヤー、出てこイヤー!(©髙田延彦)

2019-03-04 12:32:44
尾上正人 @9w9w9w92

フランス語版の原題は、Et l'homme créa les dieux(そしてヒトが神々を創造した)…「神はなぜいるのか?」よりこっちの方がしっくり来るかも。訳者あとがきによると、邦訳を勧めたのは長谷川眞理子氏とな

2019-03-04 12:47:28
尾上正人 @9w9w9w92

ダン・スペルベル以外に、進化心理学の創設者コスミデス&トゥービーにも謝辞。2頁

2019-03-04 13:18:59
尾上正人 @9w9w9w92

この本は「叢書コムニス」の中の1冊なんだが、同じ叢書の中に、空母みたいな髪形の今は亡き「軍事評論家の江畑さん」の本(『情報と戦争』)も入っていて、凄く懐かしい気持ちになった

2019-03-04 13:47:26
尾上正人 @9w9w9w92

しかし軍事評論家の江畑さんとパスカル・ボイヤーが同じ叢書に入ってるというのも凄いな(笑)

2019-03-04 17:40:01
尾上正人 @9w9w9w92

「とくに明らかなのは、私たちの心が、『文化のなかにある』どんな種類の概念も獲得可能なようにできているわけではない、ということである。…すべての『ありもしない幻』が人々の心のなかに居場所を見つけるわけではない」8-9頁

2019-03-05 02:18:43
尾上正人 @9w9w9w92

「人々が宗教にあたる特別な語をもっていないからといって、実際に彼らが宗教をもたないということにはならない。…あるものをもつために、それを示す語がある必要はない」14-5頁

2019-03-05 02:29:01
尾上正人 @9w9w9w92

「宗教的説明は多くの場合、これ[通常の説明]とは逆に、複雑さを減らすどころか、それをますます複雑なものにしてしまう。人類学者のダン・スペルベルが指摘するように、宗教は、出来事を単純に説明するのではなく、むしろ『ふさわしい謎』を作り出す」21頁

2019-03-05 02:45:11
尾上正人 @9w9w9w92

「その後[カント以降]、『説明としての宗教』というテーマは、主知主義と呼ばれる人類学の学派によって発展させられた。これは、19世紀に、エドワード・バーネット・タイラー、ジェームズ・フレイザーなどの学者が始めたもので、現在もなお影響力をもち続けている」22頁

2019-03-05 02:50:42
尾上正人 @9w9w9w92

「主知主義の間違いは、説明したいという一般的な衝動に人間の心が突き動かされていると仮定したことである」23頁

2019-03-05 02:52:49
尾上正人 @9w9w9w92

「説明を生み出す…どのプロセスも、『好みがある』…心はたえずすべてのことを説明しようとしているわけではないし、なにかを説明するために使える情報ならなんでも使うというわけでもない…力学的な出来事には物理的原因を、成長や衰弱には生物学的原因を、感情や行動には心理学的原因を…考える」24

2019-03-05 02:58:37
尾上正人 @9w9w9w92

「宗教的観念は、異常なもののように見えるが、それらもまた…推論システムを使っている。…私たちの平凡な推論システムのはたらきは、宗教的思考を含む思考の大部分を説明する。…脳の推論システムは、(それと気づかずに)説明を生み出しているが、おそらく宗教的概念もその影響を受けている」25-7頁

2019-03-05 03:06:25
尾上正人 @9w9w9w92

「宗教的概念は人間の情動システムに結びついており、このシステムは、生命を脅かす状況と関連する。別の角度から見るとーー私たちの情動プログラムは、私たちの進化的遺産のひとつの側面であり、この側面は、いかにしてそれらのプログラムが宗教的概念に影響を与えるかを説明する」32頁

2019-03-05 06:56:44
尾上正人 @9w9w9w92

「もしかすると、宗教と道徳の結びつきは、心理学や人類学で言う合理化なのかもしれない。つまり、ほんとうは宗教とは無関係なはずの道徳的要請を、場当たり的に説明したものである可能性である。同じことは、社会秩序と宗教の関係についても言える」34頁 十戒の板がなぜ2枚に分かれていたのか問題な

2019-03-05 13:30:34
尾上正人 @9w9w9w92

「機能主義は、進化生物学において自由文な試練を受けている説明方法である。…一般に『リヴァース・エンジニアリング(逆行分析)』と呼ばれている方略である。…リヴァース・エンジニアリングは正しい答えを得るための十分条件ではなくて、必要条件だ」36頁

2019-03-05 13:39:15
尾上正人 @9w9w9w92

「ヴォルテールの見解——『神は便利だ。なぜなら人々は神を畏れて行動するから』——は、まったくの誤りだということである。神や霊の概念をもつことは、実際には、道徳規則に従わざるをえないようにするのではなく、時としてそれらをよりわかりやすいものにするのだ」38頁

2019-03-05 13:50:53
尾上正人 @9w9w9w92

「私たちは、社会を機能させるために神をもつのではない。私たちが神をもつのは、部分的には、私たちが、社会を可能にする心的装備をもっているからである」38頁

2019-03-05 13:53:40
尾上正人 @9w9w9w92

「宗教は、社会をまとめる必要性や、道徳性を維持する必要性の点から説明することはできない。なぜなら、これらの必要性は、制度を作らないからだ」38頁

2019-03-05 13:56:03
尾上正人 @9w9w9w92

「宗教とは、どんな奇妙な信念も生じる可能性があって、それが世代から世代へと伝達されうるという、なんでもありの世界なのではない。逆に…超自然的信念としてありうるものの種類はごく限られている。…なぜ人々が自分たちの主張にこれほど選択的なのかも説明する必要がある」40-1頁

2019-03-05 14:12:17
尾上正人 @9w9w9w92

「人々が信念をもつのは、まずともかくも信念の受け入れが可能な状態に自分の心をし、次に信念のための素材を得るから、なのではない。ある信念をもつのは、獲得したすべての素材のうちのあるものがこれら特定の効果を引き起こしたからである」42頁

2019-03-05 14:17:19
尾上正人 @9w9w9w92

「私たちの知る多くの形態の宗教を歴史的多様化の結果ではなく、たえざる縮減の結果として理解することもできるし、またそう理解すべきである。私たちが目にする宗教的概念は、数々のさまざまな観念が淘汰され、相対的にうまくいった概念である」44頁 カンブリア爆発のグールドみたいなこと言うとるな

2019-03-05 14:42:37
尾上正人 @9w9w9w92

「私たちの心はたえず数多くの変種を生み出すが、実際にほかの人々へと伝達されて社会のなかで安定したものになるのは、それよりもはるかに少数である。…たくさんの潜在的な『宗教的なもの』につねに直面している人間の心が、どのようにして、それらをより少数のものへと減らすのか」44頁

2019-03-05 14:46:15
尾上正人 @9w9w9w92

「概念と記憶の淘汰から、どのように宗教が出現する…のか…いつでも、そしてこれまでも、さまざまな形の無数の宗教的考えが個々の人間の心のなかで形成されたし、いまも形成されつつある…私たちが文化現象と呼ぶものは、つねに、そしていたるところで起こっている淘汰の結果なのだ」45頁

2019-03-05 15:00:15
尾上正人 @9w9w9w92

「文化とは、ある類似性のことである。なにかが『文化』だと言う時に私たちが意味しているのは、それが、私たちが問題にしている特定の集団のほかのメンバーにあるものとほぼ似ていて、別の集団のメンバーにあるものと似ていない、ということである」48頁

2019-03-05 15:22:07
尾上正人 @9w9w9w92

「文化的伝達の量的モデル[ミーム論のような]は、『広まっているものを吸収する(空気中にあるものを吸い込む)』といった類の神話的な考え方を、具体的で測定可能な伝達のプロセスにおきかえた」50頁

2019-03-05 15:31:40
1 ・・ 5 次へ