レポート指導で内容の評価よりも正しい書式と文章表現の指導を優先する方針についての補足説明

あくまで私が担当する実習(高専3年,4年時点でのロボット等の製作)における最終報告書の評価(指導)に限定した話です.
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【本文】
T.Shirai(ほぼ個人)もたまに呟く @tatsuva
さて、三年生のロボット製作の授業を担当していて、その最終報告書の評定を結構な労力(一人当たり15分から30分)掛けて行っている。四年生になると半年強で同等の課題を仕上げる。いずれもMoodleの課題の機能を使い、ルーブリックで評価し、一つ一つに長文のコメントを付する。
T.Shirai(ほぼ個人)もたまに呟く @tatsuva
ルーブリックの重みは、書式を守っているかが30点、効果的に十分な量の図を用いているかが10点、1から5章が十分に記述されているかが各章10点ずつで50点、提出期限と貢献度等で10点、計100点。コメントの大半は書式(見栄え)に関する指摘。 pic.twitter.com/mGakuiQ3Vl
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T.Shirai(ほぼ個人)もたまに呟く @tatsuva
内容ではなく文章表現で採点する、と批判されたので説明しよう。この三年生の段階で「文章表現の正しさ」に重点を置くのは、最終的にまともな卒論を書けるようにする為です。残念ながら1,2年生では卒論を書き上げられるようなライティングの技能を習得する機会が設けられていない。
T.Shirai(ほぼ個人)もたまに呟く @tatsuva
提出される最終報告書のクオリティは大半が極めて低く、それは致し方ないものと思う。指導される機会が無かったのですから。なお、以前は手書きで提出して貰っていたのですが、五年生の段階で十分にワープロを使いこなせていないことに危機感を感じて数年前からWordでの提出に変更。
T.Shirai(ほぼ個人)もたまに呟く @tatsuva
(TeXじゃないの!?という声は無視します)  すると不思議な現象が発生。 1) 段落頭の字下げがない 2) 図(イラスト)の極端な減少 この二点は顕著でした。  ともかく読むことが困難なものが多くなった。書いた自分でも読むのが苦痛なのではないだろうか。
T.Shirai(ほぼ個人)もたまに呟く @tatsuva
書式について:  句読点は全角の「,.」。その良し悪しはともかくとして「、。」以外の句読点を要求されることが今後あるので慣れて貰う為です。  "全角の"と指示しているのに半角の「,.」で書かれていると、もうとても読めたものではありません。気力が保たない。全置換して貰う為に再提出。
T.Shirai(ほぼ個人)もたまに呟く @tatsuva
段落を使いこなせない者が半数以上。一文ごとに段落を変える、全く段落を変えないという極端な者がその中の半数弱。  段落をまぁまぁ使いこなしていても、段落頭の字下げが全くない、二文字下げるなど。段落字下げがない文章ですが、これは予想以上に読みにくい。斜めにザッと読むことが不可能。
T.Shirai(ほぼ個人)もたまに呟く @tatsuva
LINE、Twitter、SMS、(携帯端末の狭い画面で入力するさして長くない)電子メールでは、段落を意識することがありませんので仕方ないですね。電子掲示板やPCでの長文の電子メールでのやり取りを経験しないと難しい。多分、この「段落を使えない」問題は大学でも発生していると思います。
T.Shirai(ほぼ個人)もたまに呟く @tatsuva
フォント。章や節のタイトルはゴシック体、本文は明朝体を指示しています。雛形のファイル(章タイトルと節タイトルは入力済み)を配布しています。「見出し1」、「見出し2」、「標準」でスタイルを設定してある。それなのにタイトルが明朝体に途中から変わったり、本文がゴシック体になったり。
T.Shirai(ほぼ個人)もたまに呟く @tatsuva
特に本文がゴシック体はきつい。目がチカチカしてモニター上ですら読むのが苦痛です。印刷すると明朝体とゴシック体の違いはさらに顕著になる。提出前に印刷して確認してから提出するように指示していますので、それを守っていれば気付くはずです。
T.Shirai(ほぼ個人)もたまに呟く @tatsuva
図番号と図のキャプション。我流の表現が多い。  図1:ほにゃらら  (図1)ほにゃらら  写真1 ほにゃらら  図1(キャプションなし) など。写真も図です。  この図番号とキャプションが図の上にあることも稀にある。本文中で参照されていない、「ほにゃららてある(図1)。」のような表現など。
T.Shirai(ほぼ個人)もたまに呟く @tatsuva
語尾。教科書のような「である調」の指示だが、「です。」、「だ。」、「モーターで駆動。」のように省略、「巻き上げるである」のように全てにである、など。
T.Shirai(ほぼ個人)もたまに呟く @tatsuva
図のレイアウトと余白。本文中で参照される箇所の真横に配置しようとする。これは指示し忘れ。基本はページ右下。  余白が異様に広い、図とキャプションが離れ過ぎ、ページ余白へのハミ出しなど。  一段組なので小さな図の場合は流れ込みさせるのですが、
T.Shirai(ほぼ個人)もたまに呟く @tatsuva
レイアウト枠やテキストボックスを使わない(例示してある)ため、スペースを確保する為に改行を乱打。
T.Shirai(ほぼ個人)もたまに呟く @tatsuva
節と節の間は一行空行、章の変わり目は改ページ。改ページするのに改行乱打。
T.Shirai(ほぼ個人)もたまに呟く @tatsuva
図について。ともかく巨大な図(印刷すれば分かる)、縦横比を変えてしまった写真、トリミングが適当で無駄な部分の多い写真、何が描いてあるのか意味不明なイラスト、デフォルトの青線、青塗り潰しのイラスト、本文フォントサイズよりも大きなフォントサイズで書かれた図中の文字。
T.Shirai(ほぼ個人)もたまに呟く @tatsuva
これらの書式を直してやっと中身の文章が読める、かと思いきやまだまた道半ば。  不要な接続詞がやたらと多い。「しかし、また、そして、したがって」、さらに「なので」。その大半は無くても通じるし、無くても通じるように文章を推敲すれば、とても論理的で読みやすい流れの文章になる。
T.Shirai(ほぼ個人)もたまに呟く @tatsuva
この接続詞を多用する文体は、多分、中学校で指導された結果ではないかと予想される。論理性のない文章を多少なりとも三段論法的な、論理的な構造の文章に変えるには、初期段階で必要な措置であったでしょう。その次のステップに上げる必要がある。
T.Shirai(ほぼ個人)もたまに呟く @tatsuva
特に、段落が変わった最初の一文が「また、」で始まるのは無駄です。段落が変わったのですから話題が変わったのは自明です。
T.Shirai(ほぼ個人)もたまに呟く @tatsuva
無駄といえば、例えば、 2.1 ロボットの構成  まずロボットの構成を説明する。 節のタイトルがロボットの構成なのですから、デフォルトでロボットの構成の話が始まるのは当然ですので無駄な一文です。これを各節の頭に必ず書く者がいて、これも過去の指導の影響でしょうか。
T.Shirai(ほぼ個人)もたまに呟く @tatsuva
流れが逆な説明について。  ある機構の説明を行う際に、その機構はどのような機構かが文章の一番最後に書いてある。前の方にはその機構を採用するに至った経緯が書き連ねられている。そして最後に、「この機構の構造を図5に示す」。流れが完全に逆です。いわゆる後出しです。外連味のある演出は不要。
T.Shirai(ほぼ個人)もたまに呟く @tatsuva
その他にも沢山の、中身を(著者ではない第三者が)読めるようにするための問題点が沢山あります。これら文章表現上の問題点を全てクリアすることが最大の課題です。読めるレベルに達した次の評価は「分量」です。無駄な文章がなく、論理的な構成で、完結かつ誤解を生まない詳細な表現で記述した上で、
T.Shirai(ほぼ個人)もたまに呟く @tatsuva
一定のボリュームに達している場合、その内容に間違いさえなければ大半は「良い内容」です。特に優れている物は斜めにザッと読むだけで一目で分かります。
T.Shirai(ほぼ個人)もたまに呟く @tatsuva
まとめます。テクニカルライティングの訓練を受けていないのですから、まともな文章が書けないのは仕方ありません。ほぼ毎日、そのお手本となる専門書を教科書として用いていても、書く訓練をしないで読んでも技術は身に付きません。それは仕方のないことです。教養科目の国語ではなく、
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コメント

さどはらめぐる @M__Sadohara 12日前
今は、技術書や取説を作成することに特化したライティング会社が存在してますからねえ。現場の人が自分で作ったものの説明を第三者にできない、ということが既に顕在化している悲しい現実。
T.Shirai(ほぼ個人)もたまに呟く @tatsuva 12日前
M__Sadohara うーん、今と昔という話ではないと思いますよ。マニュアルに期待される質と量が増えた、人員減らしてアウトソーシングといった流れではないでしょうか。なお、30年前に私が一太郎Ver.3で書いた卒論初稿は、私が指摘するように「全ての文で改段する代物」で指導教官に呆れられたという情報を追加しておきます(笑)。
ニコニコ星 @nikonikoboshi 12日前
ここまでちゃんとした指導ってなかなか受けられない。いい先生だと思う。生徒に配布しているフォーマットをぜひ一般にも配布してほしい。
ねこかんむり @pS2RhvnX 11日前
書式を守ることの大事さはなかなか分かってもらえないのよねえ
sk @sk_exe 11日前
「Word形式で提出させる」という前提だと、段落書式、スタイル、アウトラインレベルなどの文書構造の定義に関わる機能の使い方を教える必要があるように思う。例えば、段落の字下げ/ぶら下げを表現しようとして「行頭に全角スペースを挿入」しまくっている(書式が統一されているようでされていない)Word文書は、企業内でもよく見かける。
T.Shirai(ほぼ個人)もたまに呟く @tatsuva 11日前
sk_exe 段落の頭に余計な全角空白が入っているのはそのパターンですね。前の段落が字下げされていると、自動的に次の段落の頭は字下げされるのに、そこにさらに加えて全角スペースを入れてしまう…というパターン。
節穴 @fsansn 11日前
この課題はあくまで文章表現法を問う物だよと、予め学生さんと認識を共有出来ているなら良いことではないでしょうか
さとうあきひろ @akihirosato1975 11日前
句読点を「,.」で提出するってのはあれどっから来た文化なんですかね。理系の学会だと情報処理学会なんかがその方式なのは知ってますが、一方でJIS Z 8301は「,。」を使うって定めてるし(附属書G.4「記述符号」)。
やましろ・やまじろう @yamajirou1964 10日前
理科系の作文術という名著がありまして、大変お世話になりました。
団扇仙人 @uchiwamaster 9日前
「他者に理解されるように自分が考えた内容を書くこと」ってのは、社会で生きていく上ではどこまで行ってもつきまとう大事な要素なんですよね
Tsuyoshi CHO @tsuyoshi_cho 8日前
まあ、実質がテクニカルライティングの授業なのだ、というならいいか...。ただ、本来は別に時間を設ける+学習内容を明示して目的意識をもつのも大事なんだけどな、という気にならないでもない。(本来力を入れたいところと違うところで評価が低いと、意欲低下が凄いと思うので...)、時間的にも内容的にもしょうがないはあるとは思うので、だめとは思わないが。
ソフトヒッター99 @softhitter99 6日前
小学校の作文の時間を思い出してよ~という話なのだけどね。
T.Shirai(ほぼ個人)もたまに呟く @tatsuva 3日前
fsansn そこが難しい所ですね。学生がこれでオッケーと考えているレベルとこちらが期待する最低限のレベルとの差の広さをどう伝えるか。必死に伝えているつもりでも通じていません。まずは体裁を整えさせるだけで時間切れとなることが多い。勿論、きちんとした体裁で最初から書ける学生も少なくなく、その場合は内容に踏み込んだコメントを返しています。
T.Shirai(ほぼ個人)もたまに呟く @tatsuva 3日前
tsuyoshi_cho 来年度は、こちらの期待する最低限のレベルを示すために、2年前の学生の協力を得て、いくつか例として示そうと思います。最初の悪い状態と、それが回数を重ねて改善された結果とを。最初から体裁が整っていれば、内容に踏み込んだアドバイスができますからね。
T.Shirai(ほぼ個人)もたまに呟く @tatsuva 3日前
レポートの内容の評価とは何だろう?と皆さんも一緒に考えて見て下さい。5人くらいの班員で一年掛けてアイデア検討、設計、製作した一台のロボットに関する報告書であり、そのロボットが優れているかどうかは別の指標で評価されるので、レポートの評価には含まれないとします。
T.Shirai(ほぼ個人)もたまに呟く @tatsuva 3日前
そのロボットについて知らない相手に対して、簡潔かつ詳細な文章で論理的にそのロボットのアイデア、主要な仕組み、動作、戦略を説明できているか。文章だけでなく必要なイラストや写真を効果的に用いているか。説明に不足はないか。要約すると「伝わり易く書かれているか」だと思います。
ひろ@猫もふ欠乏症 @hiro_h 1日前
テクニカルライティングは、情報とくっつけて教養でやるべきだと常々思ってる。English101の日本版を作って、教養課程のうちに書かせられないものかしら? 今教養でやろうにも、添削の人件費が大変だろうけど。
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