ギガベース日誌 ほのぼの閑話納涼編「Uninformed」

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再す誕ふ者ん🍜🍬 @hfsm_ABIDING

「……うちの艦娘の装備を?」 「あぁ。実物の回収はできなかったがな。ガキ共がスキャンした結果もある」 傭兵バリー・ブルは、BIGBOXにおける戦闘の顛末をDfJに報告していた。 「コジマ技術の採用に……深海棲艦化による再生強化処置だと?マジで言ってるのか?」 #ギガベース日誌

2019-03-05 01:27:40
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「今回の依頼……名目上は、企業側からの依頼だった。あの叢雲に企業の首輪がついていたという事は、奴らは深海棲艦技術のコントロールを既に確立しているという事だ。それに、那珂と春雨に似た棲姫級深海棲艦の乱入……」 「黒いねえ」 #ギガベース日誌

2019-03-05 01:33:02
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「まぁ、深海棲艦の発生に企業が関わってるなんていう説は昔から言われてるが、これで裏が取れたわけだ。おっさんもう外歩けないな」 「足を突っ込むつもりは無かったんだがな。ただの傭兵として生きるのも難しくなったもんだ」 #ギガベース日誌

2019-03-05 01:35:52
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「それより問題なのはうちの艤装が流用されていたことだ。この叢雲が装備していたとかいうコジマランスは龍田が沈んだ時に喪失したし、熊野用の瑞雲も奴ごとアイアンボトムサウンドに沈んだ」 「深海棲艦に拾われたとかか?」 「さあな。あるいは設計データだけどっかから漏れたか」  #ギガベース日誌

2019-03-05 01:40:17
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「深海棲艦についての企業の公式見解は、旧大戦の犠牲者の怨念とかだったか?」 2人の真横でカレーライスを無言で食していた長門の急な質問に、DfJは怪訝な怪訝な顔で返す。 「確かそうだが……急にどうした?」 「いや、別に。企業が公式にお化けの存在を認めているのかと、な」  #ギガベース日誌

2019-03-05 01:44:01
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「妖精なんてものがいるぐらいだからな。ていうか艦娘も幽霊みたいなものだろうが」 「英霊って言え。そっちのほうがかっこいいだろう」 「俺は今でも少し眉唾物と捉えてるがね。深海連中はともかく、艦娘がもってる記憶とやらは」 「そう疑われてもな。私は正真正銘の長門だし」  #ギガベース日誌

2019-03-05 01:47:55
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長門のカレー皿の前にはタブレット型端末が横向きに設置され、女性の断末魔を決して小さくはない音量でスピーカーから響かせている。 「自分の乗ってた船が飯食いながらスナッフ観る気狂いに成り果てたとなっちゃ、乗組員の皆様も化けて出るかもな」 #ギガベース日誌

2019-03-05 01:50:28
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「部屋だとな、陸奥が文句を言うのだ。ビーハイヴが出してたシリーズを大晦日に処分されてしまってからは、バリー管理のオンラインストアで楽しませて貰っている」 「他人の金で観るスナッフはどうだ?」 「最高だ」 #ギガベース日誌

2019-03-05 01:53:07
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「長門は御得意様だからな。プラチナプランの追加会費と端末のレンタル料は俺の奢りだ」 「……」 木曾という前例がある反面強く言えず、道端に転がった野生動物の死体を見るような目つきで長門を眺めるDfJの腕を卯月が突いた。 「司令は幽霊とか信じてるぴょん?」 #ギガベース日誌

2019-03-05 01:57:27
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「信じてるわけがないだろう。見たこともない」 「10億殺したお前が見たことが無いってことは、つまり幽霊なんかいないっていう事なんだろうな」 「憎まれっ子世に憚るってやつ~!うーちゃんももっと憎まれるように頑張るっぴょ~ん!」  #ギガベース日誌

2019-03-05 02:04:26
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「お前はウザがられてるだけだ。さて」 DfJは呆れた様子の返答の後に席を立つ。 「BIGBOXの件については、トーラスや財団にも確認を取っておく。居候の件については、部屋を用意したから好きに使え。ただ、アンタとナイチンゲールの分しか無い」 「名取は廊下でいい。恩に着る」  #ギガベース日誌

2019-03-05 02:08:17
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「今日も絶好の戦争日和」 海原と共に朝日に包まれる甲板の上。高圧洗浄機の噴射を浴び陽光を幻想的に照らし返す愛機の姿に、DfJは得も言われない充実感を得ていた。 「司令官が出張らずとも、私がやっておきますのに」 「こういうのは自分でやるもんだ」  #ギガベース日誌

2019-03-05 02:14:25
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清掃と衛生管理担当艦である白雪もまた、DfJの真横で主任の乗機であるハングドマンの清掃に勤しんでいた。 「朝5時から呼びつけてすまないな」 「清掃は好きですから。それに、昨晩はまともに眠れなかったので」 「那珂……いや、利根か?」 #ギガベース日誌

2019-03-05 02:18:55
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「いえ。昨日騒いでいたのは19さんですね」 「19が?珍しいな」 「ちょうど1時頃、潜水艦の方々が銀蝿を行ったみたいで……那智さんが食糧庫に保管していたお酒を狙っての犯行だったようです。なんでも、その最中に19さんが幽霊を見たとか」 「幽霊だぁ?」  #ギガベース日誌

2019-03-05 02:23:54
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「はい。それで大声を出した結果、間宮さんに捕まり、私の安眠が妨害されたと」 「どうせ58あたりがふざけて捕虜用の薬を流したんだろう。全く迷惑な話だ」 DfJは、呆れながら機体の清掃を再開する。 足元の船の中を這い回る、不穏の萌芽に気づくこともなく。  #ギガベース日誌

2019-03-05 02:28:19

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「……あの、提督」 執務机を挟んでDfJと向かい合う大淀。トーラスからギガベースに譲渡されて以来、その完璧な艦隊指揮と事務処理によってDfJの覚えを良くし続けていた大淀だが、今その額には冷や汗が伝っている。 「何だ」 「ええと、報告の内容について、何か……」 #ギガベース日誌

2019-03-06 01:46:28
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「何か、だと?これに?俺の口から、何かしらの意見を述べろと?」 DfJの態度は苛立っているというよりも困惑に近く、大淀はこの反応を予測できたが故に報告の是非を悩み続け、ついに覚悟を決め執務室のドアを叩いたのだ。 「お怒りはごもっともです。ですが……」 #ギガベース日誌

2019-03-06 01:50:07
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「別にお前に対してキレてるわけじゃない。こんな報告を大真面目に纏めざるを得ない状況に対して真面目な意見など吐く気になれないだけだ」 一週間前に起きた潜水艦による銀蝿事件。その日から相次いで報告される、艦内における怪奇現象の発生。 #ギガベース日誌

2019-03-06 01:55:15
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「横を歩いていた子日がすれ違った直後に消滅した」 「配管から水音に交じって女の声が響いた」 「突き当りの廊下を何かが横切った」 「深夜の甲板に大量の人影が並び立っていた」 「自室で就寝中に部屋の鍵が開く音がした」 #ギガベース日誌

2019-03-06 02:01:53
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「こんなもん真に受けてわざわざ報告するお前の生真面目さは評価するが、お前が本当にやらなくちゃいけないのは捕虜用の薬を他の艦に横流ししてる犯人の特定だ。これ以上の艦内の薬物汚染は看過できないぞ」 「無論その線を疑い調査済みです」 #ギガベース日誌

2019-03-06 02:05:10
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「ですが、艦内における薬物の蔓延と、それによって引き起こされた集団幻覚の根拠となる物証は確認できませんでした。それに……」 「それに?」 「……非常に申し上げにくいのですが、見たのです。私も」 #ギガベース日誌

2019-03-06 02:07:36
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「見っ……ええぇ?」 「昨晩深夜、食堂の前を歩いていた際に、突き当りの通路を何かが横切るのを見ました。すぐに追いかけたのですが、通路にその姿は無く……」 「対象の様相は」 「黒い汚れ……重油に塗れた人間を連想させる容姿でした」 #ギガベース日誌

2019-03-06 02:12:03
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