ア・デッカーガン・イズ・マイ・パスポート ＃７
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
（いいか。気ィつけろよ）シンゴが囁く。（どう考えてもこの人形どものどれかが動く。デッカーの勘が告げてやがる）（僕もデッカーです。だいぶ年季も）（動いた人形に俺が触られたら……わかってるな）ンズ・デイにハッカーが遠隔アクセスし、そしてシンゴの義手を奪った。あれは接触感染だった。0
2019-04-02 21:16:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
（ダイジョブです。容赦はしません）（いや、容赦はしろ。なるべく俺を殺すな）（ダイジョブです。最後の手段ですよ）彼らは素体と、ボンサイの鉢植えの間を進んだ。このタイプの工場建物に関し、タキが事前に確認したところ、二階へ上がる手段は、専用エレベーターと……。 0
2019-04-02 21:17:33
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
KABOOOOM！ 屋内であっても鼓膜を震わせるほどの落雷音！ 相当近くに落ちた！ 薄暗い工場が窓越しに照らされ、その光を吸ったかのように、ぼんやりとビヨンボ・パーティションが発光を始めた！ シンゴとタバタは背中合わせに銃を構える！ 何かが来る！ 心臓が鳴る……！「アブナイ！」 0
2019-04-02 21:18:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「グワーッ！」悲鳴が二度続いた。シンゴは強く押され、床に手をついた。そしてタバタは肩を押さえて呻いていた。裂けている。ナムサン、闇ゆえにその傷の程度はわからぬが、鋭利なもので切り裂かれているのがわかる！「タバタ！オイ！」「傷は浅いです！それより……！」闇に浮かぶ……ボンサイ！ 1
2019-04-02 21:22:33
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
ナムサン！だがそれは厳密にはボンサイそのものではない！立体的ではあるが、平面の図像！それは屈強な胴体に施されたボンサイのホロ刺青なのである！裸の胸板、鎖骨、その上には……おお、コワイ……バケツをハンマーで叩いて顔めいて丸みをつけたような金属に覆われた顔がある。金属に穴が八つ！ 2
2019-04-02 21:25:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
その者は２メートル超の巨体である。「シュルルル、フゴッ、フゴゴ……フゴーッ！」両腕を掲げると、それぞれの手の甲に沿って巨大な剪定ハサミの片刃がサイバネ接合されている！その目的は自明だ。今やライトアップされるのはオイランドロイド素体の間に配置されたボンサイ群。これをハサミで！？ 3
2019-04-02 21:28:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
BLAM！BLAM！BLAM！タバタがデッカーガンで撃った。闇を照らすマズル光！KILLIN！KILLIN！怪人は腕のサイバネ刃で容易く銃弾を弾いた。「ンーッ！」怪人が唸った。その動きは比較的鈍重であり、ニンジャとは思えないが……なんらかのニューロン改造を受けている事は間違いない。刃が襲い来る！ 4
2019-04-02 21:32:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「どいてろ！」シンゴがタックルをかけた！タックル時、彼の左上腕にはサイバネ盾が展開し、衝突力を高める！「グワーッ！」弾き飛ばされた怪人はオイランドロイド素体を薙ぎ倒し、ゴロゴロと床を転がった。シンゴは膝をつき、展開させた盾の先端を床に突き刺すようにしてタバタを守った。「やれ」 5
2019-04-02 21:35:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
BLAM！BLAM！BLAM！BLAM！タバタはシンゴの盾でカバーリングしながらデッカーガンを撃ち込んだ。不気味な発光ビヨンボの明かりとボンサイのライトアップに限られた照明の中で、タバタは正確無比に怪人に銃弾を当てた。「ピガッ。ピガッ」しかしスモトリめいた屈強な男は撃たれながら後退するばかり。6
2019-04-02 21:38:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「こいつ」タバタは顔をしかめる。銃創まわりの皮膚が裂け、金属質が覗いていた。「どこまで人間だ？」「シュルルル……！」怪人が痙攣した。すると、ナムサン……フルヘルメットの八つの穴から金属の枝が伸び、緑の発光ホロの松葉を照射した。ボンサイである。だが、ただただ悪夢的であった。 7
2019-04-02 21:40:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「畜生」シンゴは毒づいた。「なんで俺らがコイツの受け持ちなんだ」「どっちにせよ、コイツを片付けて、早いとこノボセ＝サンに加勢しないといけませんしね」「そうだ、手間は二倍」「何をゴチャゴチャ喋っている」怪人がスピーカーボイスを発した。「お前達の飛び出した部分を剪定して整えてやる」8
2019-04-02 21:45:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
BLAM！BLAM！BLAM！BLAM！タバタは撃ちまくった。怪人は確固たる足取りで二人に接近してくる。「まだか、オイ。まだか……」シンゴは慄いた。「まだ殺せねェか……クソッ！」「AAAAARGH！」怪人が到達！振るわれる刃！二人のデッカーは左右に転がって回避する！「AAAAARGH！」振り回す刃！ 9
2019-04-02 21:48:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
カチカチ、タバタのデッカーガンがアウト・オブ・アモーした。シンゴは舌打ちし、自身の銃を向けた。「こっちだサイコ野郎！来るなら来やがれ」BLAM！BLAM！「AAARGH！」シンゴは横に倒れる！危うく胴体切断回避！斜めに切り裂かれる背後のボンサイ！タバタがリロードを終え、後ろから撃つ！BLAM！ 10
2019-04-02 21:52:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「ピガッ！」「今度はこっちだ。サイコ野郎」タバタは緊張にひきつった笑みを浮かべ、後ずさった。「シュルルルル……」怪人が苛立ち、刃を床に引きずりながら振り返る。シンゴはじっとその様を見守りながら再び膝をつき、左腕を手の甲を下側に向けて、まっすぐ伸ばした。そこに右手で銃を当てた。 11
2019-04-02 21:55:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「化け物め」シンゴはタバタに向かってゆく怪人を睨み、呟いた。そして付け加えた。「だが少しわかるぜ。俺も化け物っちゃァ、化け物だ。だが……」ガゴン。キュイイイ。シンゴの左腕がシャツを引き裂き、外殻が開いた。展開した外殻はシンゴが押し付けたデッカーガンを巻き込み、組み合わさった。 12
2019-04-02 21:58:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
シンゴは銃のグリップを引き抜く。左腕の肘先がシンゴから分離した。シンゴは片腕になったが、右手で構えたデッカーガンは恐ろしく大きな武器となった。「なァ、年甲斐もねえサイバネだ。だが、化け物とデッカー、比率で言うとな、後者のほうが少し多いんだ、この俺は……！」 13
2019-04-02 22:00:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「AAAARGH！」怪人の斬撃を避けようとして、タバタが床に倒れ込んだ。怪人は刃を下向け、タバタを突き刺そうとする！シンゴは「フォースキャノン」を構えた。左のサイバネアイに「エネミ」「可能」の文字が映る。キャノンが圧縮空気を後ろへ吐き、髪を靡かせる。シンゴは引き金を引いた。BOOOM！ 14
2019-04-02 22:05:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
タバタは床に伏せた状態で頭を守った。その頭上を、重い質量が吹き飛ばされて通過した。ガゴン！ゴン！ガゴン……。およそ人間が転がる音とは思えぬ鈍重な金属音を伴い、怪人が床に倒れた。その腹筋から上は消失していた。ジャンクと化して、この工場の奥のどこかでひしゃげているだろう。 15
2019-04-02 22:08:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「自分で立て」シンゴがタバタを見下ろした。「手が貸せねェ」「なんでそんな武器にしたんですかね」「こんな時の為だ。感謝しろ」「勿論です」タバタは起き上がった。シンゴは遠い目になる。「思い出すぜ。十年以上昔。俺はニンジャをこの手にかけた。武器を仕込むとなりゃ当然ああいうやつを……」16
2019-04-02 22:12:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「話、盛ってません？」「いや、しっかり覚えてら。ニンジャをな、実際にな……疑うのか？」「いえ」「敵がニンジャだからってお前、遠慮していられねえ。ましてニンジャでもないイカレ野郎相手にビビっていられるか。デッカーガンの持ち主が」「デスネ」「人形相手じゃ、尚更だ。後ろに来い」 17
2019-04-02 22:14:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
タバタは素直に従った。シンゴはフォースキャノンの二発目を準備した。ギギ、ギギギギ……。彼らの目の前で、オイランドロイド素体が数体、痙攣しながらマリオネットじみて動き始めている。ビヨンボのホロライトに「ご歓迎な：ト・キコ」の文字が流れた。BOOOOM！シンゴは撃った。 18
2019-04-02 22:16:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「きた、キタキタ！」ブガー！ブガー！ブガー！景気づけの警報音を鳴り響かせながら、ト・キコは鏡台UNIXを展開させ、溢れ出す冷気と共に現れた。彼女は見たところ人間であったが、鎖骨から下を当然のごとくオイランドロイドのボディに置換している。レザースーツの胸元のファスナーを締める。 20
2019-04-02 22:23:03