裁判所は、逃亡の恐れも罪証隠滅の恐れもクリアしたとして自らが保釈した人を、特捜部の捜査のために勾留するんだろうか? →ゴーン被告再逮捕 東京地検特捜部 オマーン資金流用疑い(産経新聞) - Yahoo!ニュース headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190404-…
2019-04-04 09:32:12逃亡のおそれ等は当該被疑事実ごとの判断ですから。 窃盗被疑事件ではおそれがなくても、別の強盗被疑事件ではおそれありとなりえます。 ゴーンさんに限らず、刑事事件では日常的にありうることです。 twitter.com/amneris84/stat…
2019-04-04 10:05:12①今回のゴーン氏の逮捕を考えるに際して皆さんに知っておいて欲しいことは、法律上決まっている、逮捕の要件です。 逮捕は、「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」があるときにすることができます。 つまり、捜査機関が逮捕状を請求し、裁判所がこの2つがあると判断したときに逮捕状は発付されます。(続
2019-04-04 10:23:55②「逮捕の理由」とは、罪を犯したと疑うに足る相当の理由があること」であり、「逮捕の必要性」とは、「逃亡のおそれ」と「罪証隠滅のおそれ」があることです。 つまり、ある程度罪を犯したことが疑わしく、かつ、逮捕しないと逃げたり証拠を隠すかもしれない、というときに逮捕状が発付されます(続
2019-04-04 10:27:50③さて、ここで一番知っていて欲しいことは、「取調べをする必要性」は、「逮捕の必要性」にはなっていないということです。 つまり、事件の内容について本人から話を聞くために取り調べる必要があっても、それで逮捕できるわけではありません。 建前上は。(続
2019-04-04 10:32:34④さて、ゴーン氏は、今回、新たな罪に関する疑いで逮捕されました。これについてある程度の疑いがあるということで、特捜部としては取り調べをする必要があるのでしょう。 でも、取り調べの必要性があっても逮捕の必要性にはならないので、逃亡のおそれか罪証隠滅のおそれがなければいけません(続
2019-04-04 10:36:47④さて、ゴーン氏は、今回、新たな罪に関する疑いで逮捕されました。これについてある程度の疑いがあるということで、特捜部としては取り調べをする必要があるのでしょう。 でも、取り調べの必要性があっても逮捕の必要性にはならないので、逃亡のおそれか罪証隠滅のおそれがなければいけません(続
2019-04-04 10:36:47⑤ところで、ゴーン氏は今、厳しい保釈条件の下で、保釈をされています。この保釈は、当然、逃亡のおそれがないこと(建前上は保釈の要件ではなく保釈金の金額の決定要素)や、罪証隠滅のおそれを検討した上のものです。 もちろん、建前上は、すでに起訴されている2つの事実についてのみ、ですが(続
2019-04-04 10:41:54⑥先のツイートの最後で述べたとおり、裁判所は逃亡もしないし証拠隠滅の可能性もまあなかろう、という判断で保釈をしているわけです。 そうすると、現状において、逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれという「逮捕の必要性」の要件は、果たして満たせるのか、ということを考えてみて下さい。(続
2019-04-04 10:46:07⑦ありうるとすれば、「先の2つの起訴事実については逃亡しないが、今回の件については先の2つの保釈が取り消されて保釈金が没取されてでも逃げる可能性がある」とか「先の2つの事実についての証拠は隠滅できなくても今回の分は隠滅できる」という場合でしょう。(続
2019-04-04 10:49:32⑧現実的にありうるのは後者だと思いますが、この時点で立件可能と特捜部が判断したということは、ゴーン氏保釈中も捜査を進めて必要な証拠はほぼ揃ったということですから、ゴーン氏の身柄が拘束されてなくても捜査は可能だったし、必要な証拠も集めることができた、ということになります。(続
2019-04-04 10:54:59⑨他方、ゴーン氏は、すでに特捜部が必要な証拠を確保しているならば、もう隠滅できる証拠はないということになりますし、他方、ゴーン氏に今回の件の疑いがあることはすでに広く知れていることですから、ゴーン氏に罪証隠滅のつもりがあってそれが可能なら、保釈されてすぐにさっさとやるでしょう(続
2019-04-04 10:57:38⑩すると、法律上の逮捕の要件の存在は疑問で、やはり「外堀の証拠は揃ったから、あとはゴーン氏本人を拘束して手元で好き放題調べる必要性」から特捜部は逮捕状を請求したし、令状を発付した裁判官も実質的にこれを考慮したのではないかと考えざるをえないをえないわけです。 これが人質司法です(続
2019-04-04 11:06:22⑪今回のゴーン氏の被疑事実が本当かどうかは,現時点では全くわかりません。したがって,有罪・無罪を論評できる段階にはありません。 他方で,今回の逮捕がどうなのか,という点は,最終的な有罪・無罪とは切り離して,現時点での逮捕の要件の有無のみで検討できますので,そこを考えてみて下さい。
2019-04-04 12:13:24⑫なお,実務家的感覚からすると,「法律上の逮捕の要件の存在には疑問符を付けざるをえないが,でも検察は請求するだろうし,まあ裁判所は要件ありとして逮捕状を出しちゃうんだろうな。」という感覚があり,今回の件も「やっぱりね」という感じです。 なかば諦めに近いあきれのようなものです。
2019-04-04 12:29:39⑬逮捕前・逮捕後における弘中先生のコメントの論調からも,この感覚がにじんでいるように思います。だから,このスレッドに書いた一連の「形式論」「建前論」に基づいた逮捕の違法性ではなく,真っ先に「身柄をとる意味がわからない」という実質的批判をされているのでしょう。
2019-04-04 12:33:47⑭なお,本論と関係ない豆知識として,逮捕状を出すのは「裁判『所』」ではなく「裁判『官』」(スレッドの①では予測変換による誤入力で「裁判『所』」になってます。ほんとごめんなさい。)であり,令状は「発『布』」するのではなく「発『付』」するものです。 知らない人に自慢してみようw
2019-04-04 12:40:16⑮あと,要件ゆるゆるで令状(俗称「切符」)を出しまくる裁判官・裁判所のことを指して「自動券売機」「全自動発券機」などと呼ぶのも豆知識として自慢してみようw
2019-04-04 12:43:29⑯さきほど,⑭で,①の「裁判所」は「裁判官」の誤記だと書きましたが,じゃあ⑥に書いてある「裁判所」はどうなんだというと,今回保釈したのは「裁判『所』」なので,これは裁判所が正しい,ということになります。ややこしいですね。
2019-04-04 13:00:50勾留についてはどうなるのかなぁという感じ(要するに、形式的には勾留要件を充足するとは思えないけども、いつもの調子だと・・・という感じ)なのだが、仮に勾留請求が却下されたとしたら、逮捕状を出した裁判官は72時間だけの身柄拘束を認めて一体なにをさせたかったのって話だよね。結果論だが。
2019-04-04 13:19:15