「幕府」という概念、その定義と実情~亀田俊和氏の、東島誠氏論文評を軸に
これまでのあらすじと解説
という井沢元彦・呉座勇一両氏の議論があったのですが、それに関連して亀田俊和氏も、井沢氏への批判的なツイートをされていました。
そして、今回のまとめですが、直接のテーマはまた別の話です。ただ、冒頭部分のツイートは、(まとめ人の解釈では)基本的には井沢氏への批判だが、別の人との議論となる、今回のテーマにもつながっている…と、そういう複雑な構造です。
そういうつもりで読み始めてください。
南北朝期室町幕府の政治史・制度史を中心に研究しています。おいもの形に似た南の島でのんびり暮らしています。リサーチマップはこちら→researchmap.jp/read0066419原則として、歴史ファンの方にフォローしていただいたら、こちらからもフォロー返しする方針です。
そもそも「歴史学界は史料絶対主義に毒されている」ってのも、実際にその学界に一応所属している身としては意外にそうでもねえよ適当だよって感じもしますね。じゃあ何で直義毒殺説が通説としてここまで根強いんだよとか…。
2019-04-05 09:48:00@kamedatoshitaka 実は専門家による「歴史書」でも、後世の軍記や近現代の歴史小説の解釈を無批判に取り入れちゃっているの、意外とありますしねw
2019-04-05 09:50:58もっともこれも程度問題で、時と場合にもよります。例えば「鎌倉幕府を捨象した鎌倉時代政治史」の報告を聴かされたときは、「ドラえもんの出てこないドラえもん」を読まされた気分になりました。
2019-04-05 10:09:06@1059kanri @kamedatoshitaka ふうむ、だとするとI氏のいう「義満暗殺説」「甲陽軍鑑は偽書でない説」「首都移動時代と首都固定時代に分かれる説」などの各種の議論と、一応歴史学界でも「根強い通説」となっている直義毒殺説をわかつものはなんなのだろう? twitter.com/kamedatoshitak…
2019-04-05 11:10:27@1059kanri @kamedatoshitaka そもそも「〇〇を毒で暗殺した」なんて史料にそうそう残るもんじゃないよな。 島津斉彬暗殺説は、海音寺潮五郎がはじめは疑っていたけど後に暗殺を確信したことが有名だけど「歴史学」ではどう扱っているのだろう。また海音寺氏自身はそれを「歴史学」に位置付けたのだろうか twitter.com/kamedatoshitak…
2019-04-05 11:13:04私もよくわかりませんが、敢えて推察すれば、前者が比較的近年に登場した目立ちやすい「異説」であるのに対し、後者が当時からささやかれていた噂で、長年何となくイメージで受容されてきた違いはあるのかなと…。歴史学者と言えども先入観から逃れるのは容易ではありません。 twitter.com/bookroad1/stat…
2019-04-05 11:20:03@kamedatoshitaka 平泉澄がアジールのことをやってた影響で、忌避された時期とか有ったんですか?
2019-04-05 12:27:17@urots427 私もよく知りませんが、戦後の一時期マルクス主義的歴史学が流行って、「歴史は社会経済研究がすべて」みたいな風潮だったのは確かなんでしょうね。しかし、その中から網野善彦や黒田俊雄が現れ、そうした風潮は比較的短期間で終息したのではないでしょうか?
2019-04-05 12:50:32@kamedatoshitaka 私が聞いたのも網野氏が平泉のアジール論を批判的に継承してる的な話でしたので、宗教軽視って、いつの話やねん感はありますね。
2019-04-05 12:53:29さて、このへんから本論ですが…
「幕府」論のための基礎概念序説 東島 誠
立命館文学 660, 28-51 2019/02
という論文がある、ということを前提として、話が進んでいます。そういう意識で読んでください
東島誠「「幕府」論のための基礎概念序説」(『立命館文学』660、2019・2)ritsumei.ac.jp/acd/cg/lt/rb/6… (PDF注意)。これまた強烈な論考が…。要熟読。
2019-04-05 19:24:12後半部分は「歴史学におけるヴェーバー受容の可能性」と題しているが、手厳しい指摘も。「研究史の混迷はおそらく、現今の中世史研究者の大方が、〈理念型〉分析というものを解していないことに起因する事態なのではないか。ただそうなると、学問の根幹を揺るがす問題、ということになりかねない」
2019-04-05 19:36:41「佐藤が今日いかに誤読されているか、を糸口に、一九六〇年代初頭において石母田と佐藤が共有する問題意識の基底にあるのがヴェーバーの支配の正当性の問題であったこと、またその水脈が古代史研究においては継承され、中世史研究ではほとんど見失われてしまっている現状を論じた」
2019-04-05 19:38:06「そしていま、社会構築主義が斜陽となるのと並行して起きているのが、実在論の大らかな肯定であり、あたかもそれに連動するかのような〈軌範〉なき歴史学の蔓延であって、その中核にあるのが、室町幕府を中心とする中世史ブームなのである」
2019-04-05 19:39:15読みました。脊髄反射的な感想で申し訳ありませんが、まあ、現在解明されている実証的な史実が、果たして「例外」で済ますことができるレベルなのかとは思いましたね。私は到底そうではないと思います。 >RT
2019-04-05 20:59:16例外、と言うより私は「反証」に近いと思っていますが、それを指摘すること自体その説が有効であることを示している(意訳)というのは、私にはよくわかりません。実証的史実が反していれば理論が崩壊するというのは、それこを「学問に携わる者の基本事項」なのではないですかね?
2019-04-05 21:02:32「であるはずの」云々に至っては、言いがかりと言うか言葉の揚げ足を取られたという感じです。執権が統治権的支配権の執行者であると定義されているのは、別に私に限らず大昔からの共通理解なのではないでしょうか?
2019-04-05 21:04:11@goza_u1 まあ今までは完全に無視されてましたからね。多くの大家と並べてここまで言及していただいたことに感謝すべきなんでしょうね。
2019-04-05 21:06:10・日本史学界は宗教を無視している。 ・いや、◯◯氏も◯◯氏も重視していたはず。 ・それはそうだろうというほかないレベルの例外にすぎないね。そもそも例外の指摘が可能である時点でこの説は理念として成功している。だいたい「はず」と言ったのはお前だろう? 置き換えてみると(文字数
2019-04-05 21:48:13