「幕府」という概念、その定義と実情~亀田俊和氏の、東島誠氏論文評を軸に

面白い話だとは思うのだけど、テーマは一般受けしないかな…歴史における「概念」の意味と妥当性、みたいな大きな意味合いで考えてもらうとまた興味深いかな。とりあえず。論文そのものはhttp://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/lt/rb/660/660PDF/higashijima.pdf で読めます
幕府 歴史 亀田俊和 日本史 すんすけ 法制史 東島進 中世史
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これまでのあらすじと解説

ツイートまとめ 呉座勇一vs井沢元彦、直接全面戦争ハジマタ 呉座勇一氏が、百田尚樹氏の「日本国紀」を、批判する際に、同書の史観の多くが、元は井沢元彦氏のものである、と指摘。そのため、必然的に同書を挟んで「呉座氏による井沢氏批判」となっていたわけです。それに対して、井沢氏は3月4日発売の週刊ポスト「逆説の日本史」で、本格的な反論を開始!したらしいのです。 元からの因縁の開始も含めて、資料や反響を集めたいと思います な.. 59114 pv 570 196 users 163

ツイートまとめ 井沢元彦氏、呉座勇一氏に再反論(及び議論の打ち切り)〜【追記】さらに呉座氏が再反論 https://togetter.com/li/1325230 https://togetter.com/li/1330194 と続いて、最後の話も、一応作っておこう…と義務感も兼ねて作成しました。※そこからさらに続きがあって追加 と同時に、最後のツイートから主人公が変わり、また新しい物語が始まるのです…(マジ) 10234 pv 31 4 users 38

という井沢元彦・呉座勇一両氏の議論があったのですが、それに関連して亀田俊和氏も、井沢氏への批判的なツイートをされていました。

ツイートまとめ 呉座勇一氏、井沢元彦氏に反論(週刊ポスト 2019年3月29日号)〜その反響/一方「呉座―本郷和人」論争の気配…? https://togetter.com/li/1325230 からの続編…の筈だったのだけど、まとめているうちにタイトル後半に関するツイートも散見されましたので2テーマを追ってみる。 23227 pv 92 9 users 13

そして、今回のまとめですが、直接のテーマはまた別の話です。ただ、冒頭部分のツイートは、(まとめ人の解釈では)基本的には井沢氏への批判だが、別の人との議論となる、今回のテーマにもつながっている…と、そういう複雑な構造です。
そういうつもりで読み始めてください。

亀田 俊和 @kamedatoshitaka

南北朝期室町幕府の政治史・制度史を中心に研究しています。おいもの形に似た南の島でのんびり暮らしています。リサーチマップはこちら→https://t.co/ZF6I30QXmc原則として、歴史ファンの方にフォローしていただいたら、こちらからもフォロー返しする方針です。

亀田 俊和 @kamedatoshitaka
そもそも「歴史学界は史料絶対主義に毒されている」ってのも、実際にその学界に一応所属している身としては意外にそうでもねえよ適当だよって感じもしますね。じゃあ何で直義毒殺説が通説としてここまで根強いんだよとか…。
まとめ管理人 @1059kanri
@kamedatoshitaka 実は専門家による「歴史書」でも、後世の軍記や近現代の歴史小説の解釈を無批判に取り入れちゃっているの、意外とありますしねw
亀田 俊和 @kamedatoshitaka
「日本史学界は宗教を無視している」も、少なくとも現代の中世史ではまったく当てはまりません。
亀田 俊和 @kamedatoshitaka
「◯◯を捨象する歴史学はダメだ」系の言説(◯◯には「宗教」「経済」などが入る)は、基本的に糞だと思っています。
亀田 俊和 @kamedatoshitaka
もっともこれも程度問題で、時と場合にもよります。例えば「鎌倉幕府を捨象した鎌倉時代政治史」の報告を聴かされたときは、「ドラえもんの出てこないドラえもん」を読まされた気分になりました。
bookroad @bookroad1
@1059kanri @kamedatoshitaka ふうむ、だとするとI氏のいう「義満暗殺説」「甲陽軍鑑は偽書でない説」「首都移動時代と首都固定時代に分かれる説」などの各種の議論と、一応歴史学界でも「根強い通説」となっている直義毒殺説をわかつものはなんなのだろう? twitter.com/kamedatoshitak…
bookroad @bookroad1
@1059kanri @kamedatoshitaka そもそも「〇〇を毒で暗殺した」なんて史料にそうそう残るもんじゃないよな。 島津斉彬暗殺説は、海音寺潮五郎がはじめは疑っていたけど後に暗殺を確信したことが有名だけど「歴史学」ではどう扱っているのだろう。また海音寺氏自身はそれを「歴史学」に位置付けたのだろうか twitter.com/kamedatoshitak…
亀田 俊和 @kamedatoshitaka
私もよくわかりませんが、敢えて推察すれば、前者が比較的近年に登場した目立ちやすい「異説」であるのに対し、後者が当時からささやかれていた噂で、長年何となくイメージで受容されてきた違いはあるのかなと…。歴史学者と言えども先入観から逃れるのは容易ではありません。 twitter.com/bookroad1/stat…
bunkansyo @shinko11jp
@kamedatoshitaka 黒田俊雄とか読んでないでしょうね。
うろっつ @urots427
@kamedatoshitaka 平泉澄がアジールのことをやってた影響で、忌避された時期とか有ったんですか?
亀田 俊和 @kamedatoshitaka
@urots427 私もよく知りませんが、戦後の一時期マルクス主義的歴史学が流行って、「歴史は社会経済研究がすべて」みたいな風潮だったのは確かなんでしょうね。しかし、その中から網野善彦や黒田俊雄が現れ、そうした風潮は比較的短期間で終息したのではないでしょうか?
うろっつ @urots427
@kamedatoshitaka 私が聞いたのも網野氏が平泉のアジール論を批判的に継承してる的な話でしたので、宗教軽視って、いつの話やねん感はありますね。

さて、このへんから本論ですが…

「幕府」論のための基礎概念序説 東島 誠 立命館文学 660, 28-51 2019/02

という論文がある、ということを前提として、話が進んでいます。そういう意識で読んでください

ナタネ油 @nknatane
東島誠「「幕府」論のための基礎概念序説」(『立命館文学』660、2019・2)ritsumei.ac.jp/acd/cg/lt/rb/6… (PDF注意)。これまた強烈な論考が…。要熟読。
ナタネ油 @nknatane
後半部分は「歴史学におけるヴェーバー受容の可能性」と題しているが、手厳しい指摘も。「研究史の混迷はおそらく、現今の中世史研究者の大方が、〈理念型〉分析というものを解していないことに起因する事態なのではないか。ただそうなると、学問の根幹を揺るがす問題、ということになりかねない」
ナタネ油 @nknatane
「佐藤が今日いかに誤読されているか、を糸口に、一九六〇年代初頭において石母田と佐藤が共有する問題意識の基底にあるのがヴェーバーの支配の正当性の問題であったこと、またその水脈が古代史研究においては継承され、中世史研究ではほとんど見失われてしまっている現状を論じた」
ナタネ油 @nknatane
「そしていま、社会構築主義が斜陽となるのと並行して起きているのが、実在論の大らかな肯定であり、あたかもそれに連動するかのような〈軌範〉なき歴史学の蔓延であって、その中核にあるのが、室町幕府を中心とする中世史ブームなのである」
亀田 俊和 @kamedatoshitaka
読みました。脊髄反射的な感想で申し訳ありませんが、まあ、現在解明されている実証的な史実が、果たして「例外」で済ますことができるレベルなのかとは思いましたね。私は到底そうではないと思います。 >RT
亀田 俊和 @kamedatoshitaka
例外、と言うより私は「反証」に近いと思っていますが、それを指摘すること自体その説が有効であることを示している(意訳)というのは、私にはよくわかりません。実証的史実が反していれば理論が崩壊するというのは、それこを「学問に携わる者の基本事項」なのではないですかね?
亀田 俊和 @kamedatoshitaka
「であるはずの」云々に至っては、言いがかりと言うか言葉の揚げ足を取られたという感じです。執権が統治権的支配権の執行者であると定義されているのは、別に私に限らず大昔からの共通理解なのではないでしょうか?
亀田 俊和 @kamedatoshitaka
@goza_u1 まあ今までは完全に無視されてましたからね。多くの大家と並べてここまで言及していただいたことに感謝すべきなんでしょうね。
亀田 俊和 @kamedatoshitaka
・日本史学界は宗教を無視している。 ・いや、◯◯氏も◯◯氏も重視していたはず。 ・それはそうだろうというほかないレベルの例外にすぎないね。そもそも例外の指摘が可能である時点でこの説は理念として成功している。だいたい「はず」と言ったのはお前だろう? 置き換えてみると(文字数
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コメント

OOEDO @OOEDO4 2019年4月7日
亀田俊和氏 @kamedatoshitaka のツイートを中心にまとめましたが、東島氏の論文の中身そのものやツイートはtwitter上では無いので、勢い片方からの視点が増えてしまいます。そういう構造であることは、読者もお含みおきください。
OOEDO @OOEDO4 2019年4月7日
実はこの途中で、氏の専門である足利尊氏・直義兄弟や「観応の擾乱」について、興味深いやり取りが並行して続いてたんだけど、まとめの流れとは関係ないので収録しなかった。よく考えたら、それ本末転倒ですやん…そっちのほうこそ残すべきだったんじゃないか…?
MUNEGASHI Isako @isako134 2019年4月7日
すみません、勝手ながら発端のまとめのリンクが重複していたので編集しました。
創作文芸サークル時の輪@通販受付中 @Kamimura_Maki 2019年4月7日
いわゆる「幕府」の成立が「征夷大将軍への就任」を要件としないなら、「織田幕府」や「豊臣幕府」あたりはそういう言い回しがあってもいいと思う(「足利幕府」「徳川幕府」的なニュアンスで)。特に豊臣は完全に「全国統一した武家政権」な訳で、「豊臣幕府」という呼び方はありうると思うなあ。
OOEDO @OOEDO4 2019年4月8日
isako134 何か失敗してたとしたらすいません、ありがとうございます。/議論は亀田先生を含めて、いま現在も伸びているけど、既に収録ツイート数はヤバイ数なので追加収録し難いなぁ(笑)。「続いていますよ」という報告のみ。
アリステロス @maboroshi840 2019年4月9日
幕府に関する新奇な乱立する呼称っつーのは、具体的にはどういうものがあるんです?
すんすけ @tyuusyo 2019年4月26日
Kamimura_Maki 既に指摘されている事実だけで言うと、征夷大将軍=幕府というのは江戸末期の水戸学者が言い出したことで中世ではかなり怪しい概念。中世では鎮守府将軍や近衛大将を幕府or将軍ということもあった、というところでしょうかね。
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