茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第2187回「ジュリアン・アサンジさんが投げかけた問題」

2
茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート2187回をお届けします。文章はその場で即興で書いています。本日は、「ジュリアン・アサンジさん」について。

2019-04-12 05:07:21
茂木健一郎 @kenichiromogi

ロンドンのエクアドル大使館に7年間にわたって滞在していたウィキリークス創始者のジュリアン・アサンジさんが逮捕された。BBCのニュースは、Julian Assange, あるいはMr. Julian Assangeと報じていた。横並び、思考停止で「アサンジ容疑者」と報じる日本のメディアの愚かさが際立つ。

2019-04-12 05:09:45
茂木健一郎 @kenichiromogi

ジュリアン・アサンジさんが、ウィキリークスを通して公表した情報、とりわけ、イラクにおける米軍による民間人への攻撃の映像はすぐれた公益性があった。民主的に選ばれた政府でも、時に間違えることは当然であり、そのチェックに、真実の情報は欠かせない。この点を支持する人は多い。

2019-04-12 05:11:22
茂木健一郎 @kenichiromogi

一方で、ジュリアン・アサンジさんを批判する人もいて、アサンジさんは「論争的」存在である。今回の逮捕で、政府と、その批判者の間の解かれぬ難問が照射されている。つまり、政府を批判するものにとって、この地上に安全な場所はあるのかという問題である。

2019-04-12 05:12:48
茂木健一郎 @kenichiromogi

アサンジさんは、米国や英国の政府からは追われる立場になったが、その際に保護を求めたのは、エクアドルという別の政府の大使館だった。同様に内部告発者となったエドワード・スノーデンさんは、ロシアのどこかに滞在しているとされる。政府の批判をするものは、別の政府の庇護の下に行くしかない。

2019-04-12 05:13:58
茂木健一郎 @kenichiromogi

ある政府の庇護を受けなくてはならないことで、内部告発者、批判者の「中立性」は危うくなる。エクアドルに比べて、ロシアに滞在しているスノーデンさんには、米国とロシアの対立の構造の中で、中立性においてより疑義が生じやすい。政府と無関係な安全な場所がない以上、仕方がない事態である。

2019-04-12 05:15:24
茂木健一郎 @kenichiromogi

ウィキリークスによる情報のリリースの中立性は、ヒラリー・クリントンさんの陣営の電子メールの開示ではより危ういものとなった。ロシアによる大統領選への介入の疑惑と絡んで、ロシア寄りと解釈されても仕方がない。ウィキリークスのような存在の公共性をどう考えるか、難しい論点だ。

2019-04-12 05:16:50
茂木健一郎 @kenichiromogi

アサンジさんが滞在していたエクアドル大使館は、百貨店ハロッズの裏にあり、私はこの数年ロンドンに行く度に横を歩いて様子を見てきた。最初は多くいた支持者、抗議者や、たくさん貼られていたポスターも、最近は見かけなくなって、あたりは静かな様子だった。

2019-04-12 05:18:32
茂木健一郎 @kenichiromogi

ウィキリークスが登場した時代から、トランプ大統領やイギリスのEU離脱、中国における電子国家主義の台頭などで、世界の風景はさらに変わっている。ジュリアン・アサンジさんがその行動を通して指摘した国家と人間、統制と自由、掟破りと正義の間の難問は、まだ私たちの前にある。

2019-04-12 05:20:11
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート2187回、「ジュリアン・アサンジさんが投げかけた問題」をテーマに、8つのツイートをお届けしました。

2019-04-12 05:21:05