茂木健一郎（@kenichiromogi）さんが語る 「田森」

茂木健一郎 @kenichiromogi

田森（１）理化学研究所時代からの畏友、田森佳秀（@Poyo_F）が「成田今」とツイートしていたので、しめしめと、「おい、来いよ！」と送ったら来た。ちょうど、ゼミのお昼ごはん。変人奇人ぶりに、学生たちが何かを学ぶことをいつものように期待したのである。

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田森（２）「眠い。眠れなかった」というから、「どうした？」と聞いたら、「飛行機の座席がこわれていた」と田森がいう。「リクライニングできないから、言ったら、男のアテンダントまでみんなで来てうんうん押したけれども、直らなかった」。

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田森（３）「それで、眠っていたら、ついつい通路に頭が出てしまって、何度もゴツンと当たった。みんな、意外と強く当たってくるんだよ。それで何回も目が覚めてしまって、眠れなかった」と田森佳秀。

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田森（４）「何で逆側に頭を寄せなかったんだ？」「いや、すごい太った人が乗っていて、汗をかいて暑そうだったんで、つい反対側に頭がいった。ひょっとしたら、そっちに頭がいって、押し返されたのかもしれない。」

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田森（５）田森の災難はそれだけではなかった。「行きの飛行機、乗り遅れた。」「どうして？」「ウィーンの空港で、１００ボルトから２００ボルトの変圧器を探していて、乗り遅れた。」「何に使うんだ？」「ガイガー・カウンター。」

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田森（６）「ヘリウムやアルゴンが手に入れば、もっと低い電圧でいいんだけど、ちょっと足りなかったんだよ。だから、１００ボルトを２００ボルトに昇圧すれば、ガイガー・カウンターが作れると思って」と田森。

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田森（７）田森佳秀の話を聞いて、学生たちが目を丸くし、頷き、そして激しく笑っている。単位時間あたりの、意外な話、入り混んだ話の密度が異常に高い。まさに、サヴァン的な天才、田森佳秀。そして、バランスがきわめて悪い。前のめりでつんのめっている。それがまたいいんだな、これが。

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田森（８）ごはんを食べ終わった後、田森佳秀はゼミに来て、ヴォルテラの方程式について熱く語り、帰っていった。最寄り駅までの道すがらは、田森佳秀が最近凝っているという、弱電ではなく強電で働く半導体のつくりかたについて、ひたすら喋り続けた。

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田森（９）田森が帰ったあと、箆伊智充（ @tomoherai ）に、「面白かったな」と言ったら、箆伊が激しくうなづいていた。科学的内容はもちろん、この世界にこんな変人奇人がいるんだという「メタ」な意味で面白く、教育的。本当にありがとう、田森佳秀くん！

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本当の変人は、「お前変わっているな」と言ってもよろこんだりせず、「オレは普通だ」と言い張る。「夕方に計算を始めて、気付いたら朝だったというのは、普通のことだ。最近も月に一度くらいはあるし」と言う田森佳秀（@Poyo_F)についての連続ツイートでした。

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田森佳秀変人伝その１　「入試でも漢字を書かない男の実在について」　　http://bit.ly/ddMnps

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田森佳秀変人伝その２　「田森のシンデレラ」http://bit.ly/dB1m4v

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田森佳秀変人伝その３　「ひとさし指でツンツン」 http://bit.ly/bkyxvT