源氏物語はエロ本??津田梅子はポルノだからと校正を断った??
- gekijounouTa
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定期的に以下の画像がバズりますが・・・
>津田梅子は英訳された『源氏物語』の校正を依頼された際、「文学的価値が全く認められない、わいせつなポルノ小説」と云って拒絶した >アメリカ帰りのフェミニストには日本文学が理解できなかったのだろう いやいや1000年後の人間ですらドン引きさせる光源氏のポテンシャルを舐めてるだろお前 pic.twitter.com/m1nhFHGxVw
2019-04-14 19:56:33それに対する指摘
例によって「現代のオタクの妄想(エロ本の展開)と変わらねえ!日本人は昔からhentaiですごい!先駆けである紫式部もすごい!」みたいな持てはやし方が成されておりますが、こういう楽しみ方しかできないのは本当は貧しいことなんですけどね
2019-02-06 14:15:35具体的に指摘していこう。 「さすがに何かの病気なんじゃないかと思い」→「何かの病気」じゃなくて「わらはやみ」という病気だと原文に書いてあります。これはマラリアの一種と考えられています。頭がおかしいという意味での病気ではない。
2019-02-06 14:23:39「泣きじゃくる小学生を見てロリコンとして覚醒するも、それを押し止めるため年上の義母を求める」→順序が逆で完全に誤読と言わざるを得ない。源氏が幼い紫の上を気に入ったのは、思いを寄せる藤壺(義母)に似たところがあったからである(紫の上は藤壺の姪だった)。
2019-02-06 14:32:46原文には紫の上にたいして「限りなう心をつくしきこゆる人にいとようにたてまつりれるが、まもらるるなりけり」とある。源氏がどうしようもなく慕っている人(藤壺のこと)にとてもよく似ているので目が離せない、ということです。
2019-02-06 14:36:27だからこそ源氏は紫の上を将来の妻にしたいと考えるわけですが、あくまでそれは「かの人(藤壺)の御かはり」としてであり、それは正式の妻でもなくこのあたりに彼女の悲劇がなのです。
2019-02-06 14:57:34「初潮前の方がかえって安心」→そしてこれもそんなことは当たり前ですが書いてない。実際に源氏が紫の上を強引に連れ去ったあとでも手は出してない。むしろ源氏は紫の上が幼すぎることを気にしている。最初に紫の上を見た源氏は「ねびゆかむさまゆかしき人」と思っている。
2019-02-06 14:59:00これは「美しく成長するのが楽しみだ」ということです。さらってくる際にも「いかにせまし、聞こえありてすきがましきやうなるべきこと。人のほどだにものを思ひしり、女の心かはしけることと、推しはかられぬべくは世の常なり。…」と悩んでいます。
2019-02-06 15:10:29つまり「紫の上は男女のことがわかるような年齢ではないから、さらうのも格好がつかないよな」ということです。逆にいうと、前から言い寄っているそのような年齢の女ならば、強引に連れてくるのは「世の常」というのが平安貴族の世界なのです。だから今日ハイエースというほどのヤバさではない。
2019-02-06 15:12:58こう考えてみると、真にヤバいのは平安貴族の世界であり、源氏や紫式部ではないというべきでしょう。しかしそのヤバさも単に今日の常識から見ての話であり、当時はそれこそが「世の常」だったのです。これのどこが「日本人のヤバさは昔から変わんねーw」ってことになるんじゃコラ。いい加減にしろ。
2019-02-06 15:18:01そして源氏が実際に「手を出す」のは何年か経ってから(葵巻)であり、その時の紫の上は14歳くらいだと考えられています。これも現在の基準で考えれば立派なロリコンでしょうが、当時としては異常な早婚ではなかったはず。この巻で源氏は「久しかりかりつるほどに、いとこよなうこそ大人びたまひにけれ」
2019-02-06 15:23:24と、「しばらく会わないうちに、とっても大人っぽくなりましたね」と語りかける。源氏は紫の上が「女」になるのを待ってたんですよ。これのどこが「幼女なら妊娠しないから安心と思うロリコン」なのか。逆だ逆。そして源氏物語がすごいのは、「常識的に考えて、もうそういうことをしてもいいだろう」
2019-02-06 15:34:05と思う源氏に対して、紫の上は「(それと匂わすようなことを)聞こえこころみたまへど、見も知らぬ気色」――実際はまだ何もわかってない、けどいつまでも避けてるわけにもいかないでしょとセックスしてしまう。そしてそれに対して紫の上が傷つくということまでも完全に描いてしまうところなのです。
2019-02-06 15:35:12なお源氏物語はエロ本かと言われればあまりエロくないです。たとえばこの場面では「いかがありけむ(どういうことがあったのか)」の一言で済まされ、源氏は朝早く起きてきたのに紫の上は起きてこず、何か傷ついているという描写が後に続くので何が起きたのかわかるだけです(これでもわかりやすい方)
2019-02-06 15:51:46↑の「男君はとく起きたまひて、女君はさらに起きたまはぬ朝あり。」の部分
平安の貴族というのは一般に雅やかというイメージで捉えられ、光源氏のように男も女のようになよやかで美しい姿が理想とされており、それは特に否定しないが一面では野趣にあふれた存在でもある。源氏物語だと、女を強引に連れ去るとかとか、今日からするとレイプと言われても仕方ないような行為などが
2019-02-06 20:31:27割と普通のこととして描かれてくるくらいだが、彼らは暴力的なのは女に対してだけではない。歴史を見ると若い貴族は殴り合いの喧嘩もするし、身分の低い相手なら気まぐれに殺してしまうことすらあった。貴族が合戦の指揮を執ったこともある。
2019-02-06 20:33:44今日の人間が平安の文学だけ読んでるとあんまりわからないが、平安貴族の世界はそういうものでもある。当時の人々には自明のことなので、それをテーマにしないならば物語には描かれないというだけである。
2019-02-06 20:35:59