和田洋一『灰色のユーモア』(人文書院)読書メモ

2018年の読書メモ。
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座散乱木 [zazaragi] @zazaragi

上原隆『君たちはどう生きるかの哲学』(幻冬舎新書)と和田洋一『灰色のユーモア』(人文書院)を併読中。それにしても『君たちは〜』の出版は1937年8月、和田が関わった反ファシズム雑誌『世界文化』同人達の第一次検挙が同11月、和田自身の検挙が翌38年。改めて、当時の時代の空気を思う。 pic.twitter.com/FHx3EjkQmO

2018-06-16 01:33:39
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和田洋一『灰色のユーモア』(2018年・人文書院)。戦前の京都で、反ファシズム雑誌『世界文化』に関わり、治安維持法違反で検挙され有罪となった和田の回想録の復刊。特高の書いたシナリオに屈してゆく、育ちの良いインテリである自らの弱さをも、冷静にさらけ出し記す。タイトルの何重もの苦い含意。

2018-06-23 23:15:24
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和田洋一『灰色のユーモア』。和田ら『世界文化』関係者の容疑は、雑誌刊行や執筆がコミンテルンの指示に基づくと云うでっち上げであった。結局特高の意向に沿った供述の手記を作成した和田は、後に旧知の元特高の刑事から「先生が共産主義者でないのは明白なのになぜ戦わぬ」と逆に説教される。苦い。

2018-06-23 23:27:36
座散乱木 [zazaragi] @zazaragi

和田洋一『灰色のユーモア』。和田は警察署で取調べ中、特高の部屋で手記執筆中は、検挙された知人と言葉を交わすことも出来、部屋に出入りする様々な市井の人々を観察し、時に警官に付き添われて散歩も許されており、意外であった。勿論未決囚となってからは、ひたすら独房内の日々となるのだが。

2018-06-24 00:05:24
座散乱木 [zazaragi] @zazaragi

和田洋一『灰色のユーモア』。和田は留置場と未決拘置所で合わせて1年半を過ごしたのち、治安維持法違反で懲役2年、執行猶予3年の判決を受け、1939年に再び社会に戻る。1945年8月の敗戦までを、見かけは転向者として、息を潜め、灰色の時代を生き延びる。本書が敢えて復刊された意味は分かる気がする。

2018-06-24 00:18:58
座散乱木 [zazaragi] @zazaragi

和田洋一『灰色のユーモア』。和田はあくまで共産主義者ではなくクリスチャンの自由主義者であった。当時、同じインテリでありながら共産党の非合法活動へ走った清水三男が理解出来ず、いずれ特高に捕まり転向することになるのに(大意)と思った由。清水は和田の予想通りのルートを歩み、転向してゆく

2018-06-24 01:00:45
座散乱木 [zazaragi] @zazaragi

和田洋一『灰色のユーモア』。「反ファシズム」は云えても「戦争反対」は既に口に出せぬ時代。欧米の反ファシズム動向を紹介する『世界文化』は、インテリ達のせめてもの抵抗運動であり、和田も職を抛つ覚悟があった。しかし治安維持法違反の検挙は予想外だった自分の甘さも、和田は淡々と振り返る。

2018-06-24 08:29:27
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