「NGT48民事裁判・暴行犯との和解」について、法律知識を弁護士 深井剛志先生から学びましょう
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他人の権利を勝手に処分することはできない
他人の権利を勝手に処分することはできません。会社が従業員の権利を無視して勝手に第三者と和解などしても、従業員の権利が消えることはありません。
2019-05-01 14:22:20裁判には刑事裁判と民事裁判がある
裁判には刑事裁判と民事裁判があります。刑事裁判は、犯罪の嫌疑を受けた者に対し犯罪事実があるか認定し、法律を適用し、刑罰を科すかどうか審理する裁判です。 民事裁判は、個人間の権利義務関係に関する紛争について、法律を適用して、解決を図る裁判です。
2019-05-02 20:23:23例えばAさんがBさんを刺してしまったという事件があったとして
例えばAさんがBさんを刺してしまったという事件があったときに、Aさんを傷害罪で処罰できるかどうかというのは、刑事裁判で決めることになります。一方、Bさんが刺されたことにより、治療を受けた治療費、慰謝料などをAさんに請求するのは、民事裁判です。
2019-05-02 20:23:56刑事裁判を起こすかは検察官が決める(例外として検察審査会)
刑事裁判を起こすかどうかを決められるのは、検察官だけです。検察官は、様々な事情を考慮して、Aを刑事裁判にかけるかどうかを検討し、どうするかを決めます。裁判にかけるのが妥当と判断した場合、検察官は「起訴」をします。逆に裁判にかける事が不適切と考えた場合「不起訴」処分をします。
2019-05-02 20:24:22起訴するかを決める権限は検察官にしかないので、被害者がどれだけ裁判にかけてほしいと思っても、起訴されないこともあります。不起訴処分になったときに、被害者がどうしても起訴してほしければ、検察審査会という機関に申出をすれば、起訴をすべきかどうかの審査をしてもらう道が残されています。
2019-05-02 20:24:55Bが自分で起こせるのは民事裁判
Bが自分で起こすことができる裁判は、民事裁判だけです。貸した金を返せとか、代金を払えとか、損害を賠償しろとかは、全部民事です。民事では、上記の例でいうとBからAに対する賠償請求権があるかだけが判断対象であり、Aの罪や刑罰が認定されることはありません。
2019-05-02 20:25:22Bのように他人に刺されたり、交通事故にあったりというような身体に対する侵害がある場合に請求するのは、通常は、治療費、傷害を受けたことによる慰謝料、傷害のせいで働けなくなったことでもらえなくなった収入(休業損害)、あと、もし後遺症が残ったら、それに基づく損害です。
2019-05-02 20:26:23Bの勤務先C社がAに何かを請求できるか
B個人がこれを請求することは何ら問題はないのですが、例えばの話ですがBがC社に勤務しており、刺されたことでBさんが入院を余儀なくされ、Bが中心になって進めていたC社のプロジェクトが破談になって、多大な損害が生じたという場合に、その損害をC社がAに請求できるかという問題があります。
2019-05-02 20:27:22一応、裁判例の中には、BがCと経済的に同一であると認められる場合には、Cの損害をAに請求できるとしたものもあります。しかし、このときにCがAに請求するのは、あくまでも、「Cが被った損害」であって、「Bの損害」ではありません。
2019-05-02 20:27:50CがAを訴えた裁判は、Bに影響しない
CがAを訴えた裁判で、Cが負けようと、何らかの和解をしようと、そのことは、なんらBの権利に影響を与えません。また、Cが訴えた裁判の判決の中で認定された事実に、Bさんが拘束されることもありません。Cが、Aの権利を代理して行使することも当然できません。
2019-05-02 20:28:18Bは、自分の権利が時効で消滅するまでは、いつでも、自分の損害をAに対して請求することができます。Cの裁判の終結前にやっても終わってからやっても全く問題ないです。
2019-05-02 20:28:44しかし、CがAを訴えた裁判で、直接の被害者あるBの証言は当然重要になります。被害の大きさや行為態様をAが争った場合には、BがCからAへの裁判の重要な「証人」になります。ですので、そちらの裁判にBが駆り出される可能性は高いです。
2019-05-02 20:29:04AとCが証人としてBを呼ばなければ、Bは裁判に出れない
追記 この裁判で、AもCも、Bを証人として呼ぶことを要請しなかった場合は、普通は呼ばれることはありません。 裁判所が職権で呼ぶことも可能ですが、呼んだケースはほとんどないと思います。
2019-05-24 23:48:26