コールレートと市中金利を区別して、財政支出が市中金利に与える影響を考える

混乱している議論の整理目的です。
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望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

財政支出(財政赤字)と金利がどういう関係にあるか、ということを議論するにあたって、それがコールレートの話なのか、市中の均衡金利の話なのか、実際に投融資に与える影響はどうなるのか、などが完全に混乱しているように思うので、今一度整理したいと思う。

2019-05-05 06:59:03
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

コールレートと市中金利は区別して考えましょう、という話は『uncorrelated氏のMMT批判についての検討』 togetter.com/li/1326971 で既に議論したのだが、政府支出が市中金利にどのような影響を与えるかを論じ落としていたので、改めて考察してみる。

2019-05-05 07:00:31
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

まず、あまりにも当然なことだが、財政支出(財政赤字)は、民間の純利益を追加することになるので、民間全体で見て支出意欲・投資意欲は増加する。これに伴い、コールレートとは無関係に民間の市中金利(信用創造の利回り)は上がっていく可能性が高いが、それは投資の増加を反映するものであって、

2019-05-05 07:02:24
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

政府支出が民間投資をクラウドアウトしたわけではない。 ×政府支出→クラウドアウト→金利上昇→民間投資減少 ではなく ○政府支出→民間利潤増加→民間投資増加→市中金利上昇 という経路になるわけだ。 ここでは、投融資を”決定”する(予想)利潤が、徹頭徹尾名目(nominal)で決まることが重要。

2019-05-05 07:04:57
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

問題があるとすれば、政府支出増加と相乗的な民間投資増加によって、実物キャパシティが枯渇する場合である。 実物キャパシティが枯渇する場合、そこでさらに政府支出を増やすと、それはインフレとして顕出して、民間が利用可能な実物資源が減少する(政府に収奪される)ことになる。

2019-05-05 07:06:22
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

結局、突き詰めて考えると、政府支出が民間投資をクラウディングアウトするかどうかは、やはり実物キャパシティにのみ依存するのである。 政府支出それ自体はむしろ民間利潤追加を通じて、民間投資を刺激する傾向を持つ。これは支出の対応発行物が国債だろうがベースマネーだろうが変わらない。

2019-05-05 07:09:44
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

為替はこの場合どうなるか? だが、政府支出増加→相乗的民間投資増加は、基本的にインフレ圧力になり、購買力平価ベースで考えると、一般に為替には通貨安圧力がかかることになるだろう。 ただし、名目支出増加に対して実物キャパシティの発揮が”即応”する場合は、通貨安は限定的なものになるか。

2019-05-05 07:11:52
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

政府支出増加+民間支出増加によるインフレ圧力によって通貨安圧力がかかる反面、実質成長率が増加すると最終的に投融資の実質利回りが増加して、海外からの資本流入が生じ、通貨高圧力がかかるが、これは政府支出が増えようが増えまいが、実質成長が増えれば必然的に起こるので受容するしかなかろう。

2019-05-05 07:22:25