茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート「A´」

脳科学者の茂木健一郎さんの5月14日の連続ツイート。 他人との関係性について、新しい自分が生まれることについて
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茂木健一郎 @kenichiromogi

A’(1)「自分探し」という言葉が流行ったが、「本当の自分」がどこかにいるわけではない。「自分」というものは、社会的に構築されるものであり、関係性によって変化する。他者が自分をつくってくれるのである。だから環境によって自分は変わる。

2011-05-14 07:59:52
茂木健一郎 @kenichiromogi

A’(2)幼い子どもでも、お兄ちゃんといる時、妹といる時、お母さんといる時、お父さん、近所のおじさん、先生、同じ年の子どもと、誰と一緒にいるかで異なる自分が引き出される。pretend play(ごっこ遊び)のような変容が、他者によって生まれるのだ。

2011-05-14 08:01:20
茂木健一郎 @kenichiromogi

A’(3)AはいつもAであるわけではない。Bに向き合えばA’になる。Cに向かえばA’’になる。A’−>B、A’’−>C、A’’’−>D。他者に向き合い、その人とコミュニケートしようとすることによって、新しい自分が自然に生まれてくるのだ。

2011-05-14 08:02:32
茂木健一郎 @kenichiromogi

A’(4)「自分」というものの首尾一貫性を求めるのもいいが、他者の存在、置かれた文脈によってどんどん変わってしまってもいい。むしろ、他者との向き合い、環境との出会いを、自分を変えてしまう、新しい自分が生まれるきっかけとして使ってしまえば良いのである。

2011-05-14 08:03:38
茂木健一郎 @kenichiromogi

A’(5)青い眼をした外国人に流暢な日本語で道を聞かれた時にだけ出現する「自分」がいる。日本語が達者なのだから、普通に日本語で答えればいいのに、ついつい「それはですね」と外人っぽい日本語になってしまう。その時、Aではなく、A’になっているのだ。

2011-05-14 08:04:57
茂木健一郎 @kenichiromogi

A’(6)タクシーに乗って、運転手さんと会話する時にだけ出現する自分がいる。「景気はどうですか?」「今年は巨人は弱いねえ」「大相撲は、どうなるんだろうね」などと世間話する。タクシーを降りた時、はっとしてほっとして、さっきまでの自分は何だったのだろうと思う。

2011-05-14 08:06:44
茂木健一郎 @kenichiromogi

A’(7)自分自身が変わることが創造性の精華だとすれば、そのきっかけは他者、そして他者の集合体としての環境によって与えられる。だからこそ、他力本願でいい。積極的に出会って、飛び込めばいいのだ。

2011-05-14 08:07:43
茂木健一郎 @kenichiromogi

A’(8)「自分探し」をするために旅に出る。「本当の自分」というものはいないけれども、結果として見つかることも多いのは、新たな環境に自分を置くことで、自分の中から新しいA’が生まれるから。他者に誘引されて生まれた自分自身との出会いがあるのである。

2011-05-14 08:09:20
茂木健一郎 @kenichiromogi

A’(9)自由は、私たちが吸う空気のようなものである。自由は自己完結するのではない。自由は関係性である。砂漠での自由と、ニューヨークでの自由は異なる。自由とは、関係性を通して、今までの自分とは異なる自分になる、変容へのきっかけである。

2011-05-14 08:10:32
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、関係性において新しい自分が生み出されること、A’についての連続ツイートでした。

2011-05-14 08:11:00