編集部イチオシ

映画「クレヨンしんちゃん新婚旅行ハリケーン」がここ10年で1、2を争う面白さだった件 -「母と父」と「男と女」-

興味が湧いた人は是非映画館へ。
110
あでのい@夏コミ新刊委託通販中 @adenoi_today

さて、今日見て来た「クレヨンしんちゃん新婚旅行ハリケーン」の感想覚書。例によって例のごとくネタバレバリッバリなので見に行く予定の人は小一時間ミュート推奨。

2019-05-12 23:41:34
あでのい@夏コミ新刊委託通販中 @adenoi_today

ストーリー自体は結構シンプルで、ぶっちゃけ大筋としてはCMで読み取れる以上の内容はほぼ無いオーソドックスな「行きて帰りし物語」って奴。

2019-05-12 23:44:12
あでのい@夏コミ新刊委託通販中 @adenoi_today

一応最低限の内容だけ書いとくと、野原一家が格安パックを利用してオーストラリアのとある島(勿論架空)に旅行しに行ったのだけど、そこで現地の原住民がとある儀式の為にひろしを攫い、そんなひろしをひろし除く野原一家が取り戻そうと奮闘するという内容。

2019-05-12 23:50:17
あでのい@夏コミ新刊委託通販中 @adenoi_today

シンプルなストーリーの中に「家族愛」という普遍的テーマを巧みに混ぜ込み、エンタメとして高いクオリティでまとまってた。構成の完成度で言ったらここ10年ではロボとーちゃんと1、2を争う出来だったと思う。割と誰にでも自信を持って勧められる作品。

2019-05-12 23:50:29
あでのい@夏コミ新刊委託通販中 @adenoi_today

去年の「カンフーボーイズ」テーマも深い内容でストーリーも複雑で凝った作りにした結果、映画として破綻気味になってた(のだが逆に半ばサイケ映画として異様な迫力と魅力があった)のとは対照的。

2019-05-12 23:53:05
まとめ 『クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ~拉麺大乱~』が無茶苦茶変な映画だった件。 このまとめGW前に作っておくべきだったなと反省 25038 pv 26 4 users
あでのい@夏コミ新刊委託通販中 @adenoi_today

クレしんの映画で「家族愛」がテーマなのは割と毎度のことで、クレしんの場合体感で2年に1回は家族が中心テーマになってるくらいで、そうでない時も何がしか家族や親子の描き方がキーポイントになってる場合が多い。

2019-05-12 23:55:04
あでのい@夏コミ新刊委託通販中 @adenoi_today

で、その中で毎回色々とオリジナリティを出してくるのがクレしんな訳なんだけど、今年はそこに加えて「夫婦愛」、さらに言えば「家族愛と夫婦愛の両立の難しさ」がテーマになってた。

2019-05-12 23:55:13
あでのい@夏コミ新刊委託通販中 @adenoi_today

ストーリーの筋書き自体はシンプルと述べたけど、一方で実は構成の方が少しだけ特殊で、「ひろしが攫われる」という所謂「事件の始まり」に至るまでかなり時間がかかってる。映画前半部使って「野原一家の普通のオーストラリア旅行」をかなり時間割いて丁寧に描いてるのだ。

2019-05-12 23:58:27
あでのい@夏コミ新刊委託通販中 @adenoi_today

で、そんだけ丁寧に時間使って何を描いているかという話なんだけど、そもそも今回の旅行はタイトルにもある通り「新婚当時に金銭関係でできなかった新婚旅行を落ち着いた今改めてやろう」という趣旨で、そこがテーマ的にもポイントになってる。

2019-05-13 00:00:50
あでのい@夏コミ新刊委託通販中 @adenoi_today

ひろしとみさえはお互いに「一生に一度の新婚旅行」を思い出に残るロマンチックなものにしようと自分達なりに頑張るのだが、タイミングが合わずどうにも上手くいかない上手くいかない理由は明白で、2人とも「夫婦」よりも「父母」としての立場が先行するからだ。

2019-05-13 00:02:35
あでのい@夏コミ新刊委託通販中 @adenoi_today

家庭の事を考えなくちゃいけないからみさえは旅行先でもお金のことを気にしてロマンチックに浸りきれないし、ひろしは息子達の前で「好きだよ」「愛してる」と臆面なく言う事に躊躇してしまう。

2019-05-13 00:02:51
あでのい@夏コミ新刊委託通販中 @adenoi_today

夕飯時レストランで、周りのカップルを見たひろしは「みさえに恋人らしい事をしてあげよう」と意を決するが、その矢先にひまわりが泣きだし、世話をするためみさえは席を立つ。「パパはしんちゃん見てて」と告げるみさえに、ひろしは寂しそうに苦笑いしながら「パパ、ママか」とポツリつぶやく。

2019-05-13 00:04:03
あでのい@夏コミ新刊委託通販中 @adenoi_today

この映画の前半ではコメディ調でやんわりとではあるが、確実に「『父と母』が『男と女』を楽しむためには子供が、家庭が邪魔になる」という事実を執拗に描きつづける。

2019-05-13 00:04:16
あでのい@夏コミ新刊委託通販中 @adenoi_today

その後ひろしとみさえは些細な勘違いがきっかけで大喧嘩してしまい、ひろしは不貞腐れて1人になるのだけど、そこでひろしが改心してホテルの部屋に戻る決心をするシーンが無茶苦茶良いんですよ。

2019-05-13 00:05:06
あでのい@夏コミ新刊委託通販中 @adenoi_today

1人になったひろしは何の気無しに、みさえのポーチの中身をテーブルに広げるのだが、みさえが普段持ち歩いている定期入れの中に、4人で玄関の前で撮った家族写真の裏に、結婚前のデートの時のひろしとのツーショットが大事にしまわれているのを見つける。

2019-05-13 00:06:06
あでのい@夏コミ新刊委託通販中 @adenoi_today

このシーン、明示的には「喧嘩した相手が自分との思い出を大事にしている事を写真で知る」という割とオーソドックスなシーンなのだけど、その直前の「テーブルに散らばったポーチの中身」がかなり重要な要素になってて、

2019-05-13 00:06:55
あでのい@夏コミ新刊委託通販中 @adenoi_today

ポーチの中に入ってたのはしんのすけが愚図った時用のお菓子や、ひまわりのオムツを替える時に使うウェットティッシュとか、母親をやるための道具ばっかりで、そこにみさえ個人だけの私物なんて一つも入ってないんですよ。

2019-05-13 00:07:18
あでのい@夏コミ新刊委託通販中 @adenoi_today

そこには「二児の母」をやる専業主婦の大変さが表出していて、そして「家族の写真=母として家族を大事に思う心」の後ろにヒッソリと「恋人の写真=妻として夫を愛する心」が隠されている事が描かれる。

2019-05-13 00:08:48
あでのい@夏コミ新刊委託通販中 @adenoi_today

この多層的な表現がセリフやキャラクターのアクションでなく、「散らばった荷物の中身」という絵の力だけでサラッと表現される。映画館の中は(当然ながら)俺以外ほぼ幼児連れの親子だったのだが、あのポーチの中身に心刺された親御さんは結構多かったのではないかと思う。

2019-05-13 00:09:57
あでのい@夏コミ新刊委託通販中 @adenoi_today

ドラえもんの映画は基本「親子で楽しめる」系の総合エンタメを志向してるけどクレしんの映画は「親と子で別の楽しみ方になる」を目指してる節が結構ある。

2019-05-13 00:10:41
あでのい@夏コミ新刊委託通販中 @adenoi_today

で、改めて「ちゃんとロマンチックな新婚旅行にしよう」と決心してヒロシはホテルの部屋へと向かう。ホテルに帰る途中でひろしが原住民に攫われて、ここから「野原一家の冒険ストーリー」がようやくスタートするのだが、実は前半だけでも家族モノとして完結してたりするのだ。

2019-05-13 00:13:28
あでのい@夏コミ新刊委託通販中 @adenoi_today

後半はゲストヒロインキャラのトレジャーハンター・ジュンコとひろし除く野原一家とが協力してひろしを取り戻すためにジャングルの中を突き進む、という流れ。

2019-05-13 00:13:48
あでのい@夏コミ新刊委託通販中 @adenoi_today

後半戦ではジュンコみさえ「宝(夢)を追う独り身の若い女」「子持ちのオバサン」として終始対比されながら話が進む。この対比がまた無茶苦茶素晴らしいのだが、そっちの方はここでは詳しく書かないので是非映画館で。

2019-05-13 00:14:13