【おじぎしなかったよ】福間健二 #k2fact223

福間健二 @acasaazul

船に乗らない。船の写真を見ている。人を好きになるってどういうことか。帰ってきたんじゃない。出ていく船だ。この世界の一部であるために。鳥、ジャック・プレヴェールの鳥。子どもの日。立ち入り禁止でも、入ってくる子がいる。指の輪ゴム、はずしてなかった。（おじぎしなかったよ１）#k2fact223

福間健二 @acasaazul

一緒にいたいと思う人がいる森には。やさしさの鳥、日々の自分のどこを機械にしても。帰りのバスの停留所の、人の列。小説的には、草花をビニール袋に入れてさげている男女が必ずいて、タバコを吸う場所は見つからない。輪ゴム、忘れてはいけない約束があったはず。（おじぎしなかったよ２）#k2fact223

福間健二 @acasaazul

さっきまでだれがいたのか。ふとわかった気がした。愛じゃなくて、愛情。注ぐのではなく、拭う。夢のスクリーン。画は残り、言葉はどこかに行った。求められ、タッチを調節して、保存方法を考えた。座り心地のよくない椅子。アジサイの鉢をもった男が来てすわった。（おじぎしなかったよ３）#k2fact223

福間健二 @acasaazul

戻らない言葉に未練をもたない。メモなんかとらない吉岡実式。アジサイ、青は愛情。ピンクは元気な女性。白は寛容。大西洋に浮かぶアソーレスで知った花言葉。バスタオルを丸めて坐骨の下に。ないと言い切れるかな。飢えて死ぬこと、退屈で死ぬこと、恋で死ぬこと。（おじぎしなかったよ４）#k2fact223

福間健二 @acasaazul

「天」のマークを下にして平気な顔でなにか食べている。甘やかされて育つのも悪いことばかりじゃない。たとえばこの子を片隅において浮いた「地」は灯りがついたり消えたりする。解釈するな。姉のつましさと知恵もしまっておく。むしろ迷う能力をこその五月の夜だ。（おじぎしなかったよ５）#k2fact223

福間健二 @acasaazul

まちがえる。それでかえってよかったこともある。春と夏のあいだはとくに。西多摩、あきる野市まで来て座ってポカンとしていた。死んだら、と思った。風になる。墓には入りたくない。まわれ、まわれ。目をつむって分解した自分を空気にする。光にする。時間にする。（おじぎしなかったよ６）#k2fact223

福間健二 @acasaazul

時間になりたい。うるし山千尋という人の詩集のタイトルだ。うるし山さん、女性だと思って読んでいてあるとき男性だとわかった。調べてそれを伝えてくれた人がいた。すまなそうに。おじぎしなかったよ。だれがだれにしなかったのか。甘いもの、あれば少しください。（おじぎしなかったよ７）#k2fact223

福間健二 @acasaazul

背後の、上の方。自分から出てそこに。そしてそこから自分とまわりにあるものを見る。死から生還する人はだいたいそれをやっている。いい声を出す。そのたびにそうする人もいて、チャイナタウン。消えてもまた姿をあらわす。すぐのことも時間が流れてからのことも。（おじぎしなかったよ８）#k2fact223

福間健二 @acasaazul

おじぎしなかった子ども。広告の、お祝いにと売りつけられる赤い下着を笑った。どうせ行く先は決まっていて、だれとでもよかった「美しい季節」からの、列車の旅。リメイクしているだけ。夜と戦争についての嘘で、きのうを。中間地帯を。つまりは、傷つくのが怖い。（おじぎしなかったよ９）#k2fact223

福間健二 @acasaazul

ジャック、フィリップ、ジャン＝リュック。それぞれのジャンプ、秘密の作り方、汚れたシャツの洗い方。学んだことにしての、帰り道。使われていない線路におりると立会人ばかり。現在進行形でなにか言われたくない。発芽して伸びるもの。ここから時間がいるんだね。（おじぎしなかったよ10）#k2fact223