『スペースシャトルで、露の偵察衛星を回収』 ~アメリカ合衆国の陰謀~ ※実現せず

オービターの形状に影響を及ぼし、ヴァンデンバーグ空軍基地に射点が造られ、イースター島を緊急着陸地点に設定するに至った経緯。
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@OnWinterOrbit

昨日、ヴァンデンバーグからの打上げが、と書きましたが、これについてもう少し説明します。現在スペースシャトルが打上げられているケネディ宇宙センターは、米国東海岸のフロリダ州ケイプ・カナヴェラルにあります。一方でヴァンデンバーグ空軍基地は、西海岸のカリフォーニア州に位置しています。

2011-05-15 09:58:54
@OnWinterOrbit

ヴァンデンバーグ空軍基地は、南に海が大きく開かれた場所に位置している為、ロケットから分離された部品を棄てても問題が少なく、地球を南北に回る軌道(極軌道)に人工衛星を打上げるのに適しています。逆にケイプ・カナヴェラルの南には南アメリカ大陸がある為、極軌道打上げは事実上不可能です。

2011-05-15 10:09:48
@OnWinterOrbit

その事から、デルタやアトラスのようなロケットは東方向に打ちたい場合はケイプ・カナヴェラルから、極軌道へ打上げたい場合はヴァデンバーグを使用しています。シャトルは現在では国際宇宙ステーションに、昔でも東方向に打つ事しかありませんでしたから、ケネディ宇宙センターばかり使われています。

2011-05-15 10:15:13
@OnWinterOrbit

しかし、シャトルの開発当時は、シャトルの極軌道への打上げが計画されており、特に米国防総省は、シャトルを極軌道に打上げ、ソヴィエトの偵察衛星を回収するという事すら計画していました。実際にシャトルの組立施設や発射場も造られ、1986年10月15日には初の打上げも計画されていました。

2011-05-15 10:23:32
@OnWinterOrbit

ところが1986年1月28日、チャレンジャーの事故が起き、その後ヴァンデンバーグ空軍基地からのスペースシャトル打上げ自体が中止となります。現在、ヴァンデンバーグに造られたシャトル用施設群は、それぞれ解体もしくは改修され、デルタIVロケットの発射台として使用されています。

2011-05-15 10:27:26
@OnWinterOrbit

ちなみに前述の米国防総省の(無茶苦茶な)要求は、スペースシャトルがあのような巨大な翼を持つに至った要因の一つでもあります。巨大な翼は大気圏再突入時に飛行経路を大きく変更する事が出来る為、打上げてソヴィエトの偵察衛星を回収後、即米国の飛行場に帰還という運用が可能になるからです。

2011-05-15 10:32:06
@OnWinterOrbit

そのような経緯があり、極軌道への打上げ時の緊急着陸地点にイースター島が指定されるも一度も使われなかったどころか(使ったら使ったで問題ですが)、そもそも極軌道への打上げ自体行われず、その為に造られた射場は、本来シャトルが引導を渡すはずだった使い捨てロケットの打上げ基地になりました。

2011-05-15 10:37:25