どろろ冒険王版とは何か

1969年アニメ版と同時に連載が再開されたどろろ。だが冒険王誌上で連載されていたものは当初現行とは設定が異なっていた。その紹介。
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紅葉倫子 @rinkomomiji

いわゆる冒険王版とは何か。 どろろは小学館刊行の週刊少年サンデーで連載終了後、アニメ化に合わせて秋田書店の冒険王で連載を再開している。秋田書店での再開時、少年サンデーで連載したものは「別冊少年サンデー」や「別冊冒険王」として他の作家の漫画と共に合本という形で纏められては

2019-05-22 23:54:46
紅葉倫子 @rinkomomiji

いたものの、どろろ単独の単行本化はされていなかった。当時を知る方の話によるとその頃は小学館は連載漫画の単行本化を行っていなかった、との事であった。 さて、冒険王版といえば「どろろは百鬼丸の奪われた48箇所を使って作られた人間であり、どろろを殺せば百鬼丸の身体が一度に全て戻る」

2019-05-22 23:55:13
紅葉倫子 @rinkomomiji

という設定が有名である。今の現行の単行本ではこの設定は全て削除され、「なかったこと」になっている。例えばミドロの巻では現行では醍醐影光のところに戻るので危ないから一緒にいられないと百鬼丸がどろろに説明するのですが、 pic.twitter.com/b7MAnksMw1

2019-05-22 23:56:09
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初出は「おまえを殺すなんてとてもできやしねえ だがまたヒョっと そんな気になると いけねえから ここで別れよう」というものである。もちろんその後のやり取りも現行版とは違う。初出ではここでどろろが刀をいただくよと言う発言をし、腐れ縁が始まる。 pic.twitter.com/H0aubqaSEF

2019-05-22 23:57:13
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なお、冒険王第1話と第2話は少年サンデーで連載された「発端の巻」「百鬼丸の巻」「無残帳の巻」「万代の巻」のセルフリメイクである。そのほぼ全てが現行版ではカットされ、後に発売されるトレジャーボックスまで永らく一般の目には触れない作品となった。唯一残されたものは醍醐影光の願掛け部分、

2019-05-22 23:57:46
紅葉倫子 @rinkomomiji

あれは冒険王からのものである。サンデー版では少々コミカルに描かれていた。トレジャーボックスが出る前はその第1話を読むために国会図書館に赴くと、無残にどろろが破りとられた冒険王が残されているというものであった。しかも残り後半部分は付録という形で収録していたため、 pic.twitter.com/vS025ii2c8

2019-05-22 23:58:24
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永らくそれらには何万円ものプレミアがついていたという。 閑話休題。 セルフリメイクではあるので、現行版との違いが少々見られる。たとえば 1、みおにセリフがある 2、1969年アニメオリジナルキャラクターである犬のノタが居る 3、百鬼丸が寿海をパパと呼ばずおとうさんと言っている pic.twitter.com/DfrW1YPJU7

2019-05-22 23:59:52
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紅葉倫子 @rinkomomiji

4、どろろが刀泥棒をするシーンが追加されている(1969アニメ版と同じ) 5、百鬼丸の心境がセリフで語られている。「おれはもう なにも残ってねえ ・・・みおも・・ともだちも・・・からだも・・・・いっさいがっさい奪われたんだっ さむらいめっ!!」 pic.twitter.com/1WhRYK0pcT

2019-05-23 00:00:59
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紅葉倫子 @rinkomomiji

大雑把にこれらが見受けられた。 後は、最後のやり取り、どろろをを殺そうとするが殺せなくて悩む百鬼丸である。結局彼はどろろを殺さず妖怪を一匹づつ倒していくことにするのだった。しかし、その設定だと一匹づつ倒すとどろろが逆に身体を失うという理屈になるのだが、そこは描写されていない。 pic.twitter.com/Sp7cRLaa2h

2019-05-23 00:01:54
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紅葉倫子 @rinkomomiji

以降は現行版にも収録されている「みどろの巻(初出は妖馬みどろの巻)」「どんぶりばらの巻」「四化入道の巻(初出は死毛入道の巻)」「ぬえの巻」である。 細かい修正や編集はまだまだあるが、きりがないので割愛する。本当に手塚先生はファン泣かせだ。 いや!ひとつ大事な変更がある。

2019-05-23 00:02:44
紅葉倫子 @rinkomomiji

現行版では最終ページでその後の百鬼丸のモノローグが語られているが、初出ではこのページはなかった。後に追加されたものである。このページがあるのとないのとではかなりその後の展開を想像するファンの心境も違ってくるのではないだろうか。

2019-05-23 00:04:39
紅葉倫子 @rinkomomiji

補足画像 永らくプレミアアイテムだった冒険王1969年5月号付録。(これは複写) pic.twitter.com/hYafoudwhP

2019-05-23 16:56:05
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紅葉倫子 @rinkomomiji

再アニメ放送開始とほぼ同時に売り切れた「手塚治虫トレジャーボックス どろろ」国書刊行会、2013年発行。雑誌初出時のものが収録されており、現行の単行本では編集されてしまって存在しない扉絵や削除ページ、カラー絵、紹介した冒険王版のどろろのや雑誌に掲載されたおまけページが収録。 pic.twitter.com/P9afqJs7hX

2019-05-23 16:56:47
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紅葉倫子 @rinkomomiji

そしてこの冒険王版設定を上手く活かしたシナリオのプレイステーション2版どろろと復刻版冒険王第1話の付録。(差別用語は修正済み) pic.twitter.com/FzgdNm5F44

2019-05-23 16:57:22
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紅葉倫子 @rinkomomiji

トレジャーボックスは売切れてしまったが、2019年3月31日発行のサンエイムック「手塚治虫怪奇マンガの世界」株式会社三栄書房発行、にカラー扉やおまけページ、そして各種媒体のどろろについてかなりページを割いて詳しく紹介がされている。また新アニメの設定画も掲載されている。 pic.twitter.com/FdH9fDOtih

2019-05-23 16:57:53
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紅葉倫子 @rinkomomiji

「どろろトレジャーボックス」、今は絶版ですが、復刊ドットコムにお願いを続けたら重版されるかもしれません。 『どろろ (手塚治虫トレジャー・ボックス)(手塚治虫)』 投票ページ fukkan.com/fk/VoteDetail?… @fukkan_comさんから

2019-05-25 06:02:52
紅葉倫子 @rinkomomiji

「冒険王版」と合わせて「辻版小説どろろ」もかつてはここで署名が行われ、ここだけの成果ではないかもしれませんが、復刊を果たしてきました。 また、購入できなくても近くの図書館が所蔵している可能性もあります。 日本最大の図書館検索「カーリル」 calil.jp

2019-05-25 06:03:11