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2019年5月23日

日向倶楽部世界旅行編最終話「それぞれの海へ」

第一部「世界旅行編」完結。 物語は次の海へと続いていく……
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三隈グループ @Mikuma_company

「随分長く居た気がするな」 「ノワキがガッツのある奴だから」 「これからミテラに向かう」 「現在もモートルド王国です」 「そういえば、日向さんは?」 「貴女は何も聞いてないんでしょう?」 「君は、何者なんだ?」 「ヒューガリアン、出港です!」 日向倶楽部、この後21:00! pic.twitter.com/Z3zsiI6ciz

2019-05-21 20:44:50
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三隈グループ @Mikuma_company

【前回の日向倶楽部】 扶桑です。 大会が終わり、ブルネイ泊地も落ち着いて来ました。私達は他の船との渋滞を避ける為、もう少し滞在してから出発する事としています。 もう一月程ここに居ますが、そろそろ船旅を恋しくも思います。次の目的地はどこになるのでしょう、出発の日が楽しみですね。

2019-05-21 21:00:03
三隈グループ @Mikuma_company

【前回の日向倶楽部その2】 激闘を終え、勝利した足柄は一人、歩いていた。彼女は安息の地を通り過ぎ、何処までも歩き続ける。 一人、黄昏の空下を歩く彼女の背中は、何を語っていたのだろうか。振り向いた時、一瞬の微笑みに何を思っていたのか。その答えは、誰も知らない。

2019-05-21 21:01:35
三隈グループ @Mikuma_company

日向倶楽部 〜世界旅行編〜 最終話「それぞれの海へ」

2019-05-21 21:02:29
三隈グループ @Mikuma_company

〜〜 大会の閉会式が終わった翌日、ブルネイ泊地の港は忙しなかった。 参加者の多くはブルネイに留まっていた、大会が終わった今、それらは皆この地を旅立つのである。故に港は人でごった返している、それは大会の活気とはまた違う様相を表して居た。

2019-05-21 21:03:17
三隈グループ @Mikuma_company

「リンガ行きが出たぞ!」 「日本に行くなら空路の方が良いんじゃないのか?」 「艤装の積めるトラック泊地行きを探してるんだけど…」 案内所も大変な騒ぎ、何せこの様なイベントは初めてだった為、この混雑の様な想定外の事も多いのだ。まだまだブルネイの地は忙しい。

2019-05-21 21:04:20
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と、そんな混雑した案内所の中に、ATMの様な機械がある。野分、長門、そしてローズハルトの三人はその機械の前にいた。 「長距離船護衛…戦艦娘一名、駆逐艦娘一名、その他一名、報酬不問…」 長門はピッピとその機械のパネルに触れ、必要な情報を入力する。

2019-05-21 21:05:42
三隈グループ @Mikuma_company

この機械は、ワタリ艦娘向けの仕事を斡旋する、言ってみれば簡易職安の様なもの。 ワタリ艦娘はその名の通り各地を転々としており、彼等は艦娘としての力を使った仕事を求めている。 一方で、海賊や未だ少なからず居る深海棲艦を警戒し、艦娘の護衛を希望する企業や個人事業主も存在する。

2019-05-21 21:06:37
三隈グループ @Mikuma_company

そんな彼等を繋げるのが、ここブルネイ泊地の様な大きな拠点に置かれたこの機械である。機械が無い場合は窓口に行かなくてはならないのだが、ブルネイはその点進んでいる拠点であった。 「…よし、三時間後に出港する客船の護衛だ。」 長門は印刷されて来た紙を見て言う。

2019-05-21 21:07:51
三隈グループ @Mikuma_company

それを覗き込み、ローズハルトは頷く。 「ふーむ、規模も大きいし良い条件じゃないか、流石に大きい拠点は良い仕事が多いな。」 「そういうものなんですか?」 関心するローズハルトに野分が訊ねると、彼は笑って答える。 「ああ、末端に集まる仕事は中々厳しいんだぜ、無茶なのも多い。」

2019-05-21 21:08:55
三隈グループ @Mikuma_company

そういう仕事があるのを知ってて彼が今ここにいるというのは、要するにそういう事である。 その会話の流れで、野分は彼に訊ねる。 「でも、良いんですか…?その、着いて来て貰って…」 ローズハルトとの出逢いはたまたま、ブルネイに来たのも目的地が同じだっただけの話だ。

2019-05-21 21:09:58
三隈グループ @Mikuma_company

にも関わらず、彼はしばらく野分と行動を共にすると言っていた、不思議だ。そう思う彼女に、ローズハルトは笑って訊き返す。 「ノワキは、俺の事不審に思ったりしないかい?不審者とか、変質者みたいな、そういう。」 客観的に見れば、ローズハルトの行動には怪しさがあった。

2019-05-21 21:11:04
三隈グループ @Mikuma_company

確かにそうだと思いつつ、野分は少し考える、そして口を開いた。 「…でも、ハルトさんは私の事を二度も助けてくれました…。…だから、その、お礼じゃないですけど、信じます。」 愚直とも言える程、あまりに純朴で真っ直ぐな答えに、隣で聞いていた長門が呆れた様に溜息を吐く。

2019-05-21 21:12:03
三隈グループ @Mikuma_company

一方のローズハルトは、楽しそうに笑う。 「ハハハッ!そうか、そこまで正直に言われると、なんだかこそばゆいな。」 彼は金髪の頭をぽりぽり掻いて言った。そして、穏やかな笑みを浮かべて続ける。 「俺はなノワキ、何か目標に向かって頑張る奴を見たり、その助けになるのが好きなんだ。」

2019-05-21 21:12:55
三隈グループ @Mikuma_company

力強く大きな影と、穏やかで優しい目が野分を見つめる。 「だから、一人とはいえ傭兵みたいな仕事をしてるし、ノワキにもついて行こうと思ったんだぜ、ノワキがガッツのある奴だからな。」 「が、ガッツ?そ、そんな…」 彼の言葉に、今度は野分がこそばゆさを覚え、視線を逸らして俯く。

2019-05-21 21:14:03
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そして、彼女はボソッと呟いた。 「その、ありがとうございます…」 ストレートに褒められた気がして、視線を合わせるのがなんだか恥ずかしい。それを見て、ローズハルトはまた楽しそうに笑った。 「あんまり気を遣わなくって良いぜ、俺はやりたい事、思った事をしてるだけだからな。」

2019-05-21 21:14:56
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そんな風に二人が話していると、長門が少し躊躇いつつ横から口を挟んだ。 「…話の途中で悪い。何があるか分からないから早めに準備をしておきたい、先に行って構わないか?」 「おっと悪いな、俺達も行くぜ。」 長門の言う通りだと、ローズハルトと野分は彼女の後に歩き始める。

2019-05-21 21:15:59
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その途中、ローズハルトは野分に振り返って言った。 「ノワキが何を目指してるのか、何になりたいのか…正直、他人の俺には分からない。でも手伝いは出来ると思う、しばらくよろしくな。」 「あ…はい!」 野分が戸惑いながらも返事をすると、ローズハルトは微笑んでまた歩き始める。

2019-05-21 21:16:59
三隈グループ @Mikuma_company

その背中を追う様に、野分もトコトコと歩き始める。 (…なんだか、楽しいな。世界には色々なものがあるし、色々な人がいるんだ…) 暗澹たる気持ちでトラック泊地を飛び出し、暗中を彷徨っていた野分。だがその旅には、徐々に光が射し込み始めていた。 〜〜

2019-05-21 21:17:59
三隈グループ @Mikuma_company

〜〜 ピンクの髪をした二人組、大会をベスト8で敗退したサザナミとシラヌイは、未だブルネイ泊地に滞在していた。 「ケケケッ、ちっと少ない気はするが、これだけ賞金がありゃあホテルの豪勢なメシに手ェ出しても良いなァ」 15万ブルネイドルの賞金を手にしたサザナミは、ニヤつきながら呟く。

2019-05-21 21:19:12
三隈グループ @Mikuma_company

そこへ、隣を歩くシラヌイが無機質に言う。 「必要な食事は十分に取れているはずです、不要な行動は避けるべきかと」 「るせえなぁ、必要な事だけして生きててもしゃーねーだろうが。不要な事を沢山した奴が人生の勝者なんだよ、オメーには絶対分かんねえだろうけどな」

2019-05-21 21:20:17
三隈グループ @Mikuma_company

シラヌイの小言に苛立ちながら、サザナミはぶっきらぼうに返す。だがそう言われても、シラヌイは全く気にしていない様子だった。 そんな彼女に、サザナミは舌打ちしながら言う。 「美味いもん食ってくるけどよ、どうせオメーは食わねえんだ、とっととどっかで時間潰してな」

2019-05-21 21:21:07
三隈グループ @Mikuma_company

シッシと手をやるサザナミ、しかしシラヌイは横を歩く。 「貴女は無駄な行動を多くする、目を離すのは任務に支障が出ると私は判断しています。」 「ケッ、お目付役ね…好きにしな。二人分食わしてもらうだけだからよ。」 サザナミは顔をしかめながら、肩を竦めて言った。

2019-05-21 21:21:58
三隈グループ @Mikuma_company

と、その時、サザナミの懐が振動し始めた。それを感じながら、サザナミは眉をひそめる。 「このパターン…」 彼女はそう呟くと、街灯の影にもたれかかる。 「おいヌイクソ、妙な奴が居ねえか一応見張っとけ。」 「分かりました」 シラヌイはサザナミの指示に従い、近衛兵の様に彼女の傍に立つ。

2019-05-21 21:23:03
三隈グループ @Mikuma_company

それを確認すると、サザナミは懐から携帯を取り出し、通話に出た。 「…もしもし、私だよ。」 彼女は低い声で答え、通話相手の言葉を聞く。その間、彼女の眉間には皺が寄りっ放しであった。 「…ああ。時間は?……なるほど、分かった。長電話は嫌いだ、切るぜ。」

2019-05-21 21:24:02
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