【でも、きょうは】福間健二 #k2fact224
総合商社、いらない。口で言ってみて、新しい岸辺を構成していると思った。まず口で、と教えてくれたのはだれだったか。その大きな花束は何を隠していたか。雨は予報よりも早くあがり、心配事とか関係なく赤い壁。前にも来て痛い目にあっている。でも、きょうは。(でも、きょうは1)#k2fact224
2019-05-15 11:45:29角を曲がると黒い影が立っていていきなり質問してくる。その対処法。身だしなみ、笑顔の仮面、そしてだれかの詩では駅の名前を隠している花束。あとで火に投げ込んですむこともあるが、よく燃えないこともある。小さな島の、仲よくならない部分。遅いよ、猫かぶり。(でも、きょうは2)#k2fact224
2019-05-16 10:41:20雲、フワフワと夏のようだが、心配事。きょうは、自分の力の及ばないところで、ある人が、あることをちゃんとやってくれるかどうかだ。やってくれと祈るしかない。戦争も飢えも貧困も暴力もなくならない世界で、これだけを祈りながら、次の窓。きれいに拭いてある。(でも、きょうは3)#k2fact224
2019-05-17 11:50:00入れものをよく洗うこと。人並み。それもさまざまだ。入れる中身、出たがる中身、ソウルってどっちだろう。次の爆発までは、飼うこともできない羊、馬、首かしげる妖精。いつも午前十一時くらいになるとニューヨークや東京に棲む「大いなる悪魔」の話。聞きあきても。(でも、きょうは4)#k2fact224
2019-05-18 12:05:18いいシャツ着たときにかぎって。よいことの裏には。おなじような反省を何度もして洗いきれない空の下。自分にはできないこと、またひとつ。何が吐きだしたのか。灰色の煙がのぼっていくのを見た。久しぶり。うれしそうな人。見るからにうれしそうな人がやってくる。(でも、きょうは5)#k2fact224
2019-05-19 09:43:17もうそんなに生まれなくていいから。目で音のない朝を吸い込んで、何が。井上尚弥のノックアウトや大谷翔平のホームランじゃない。「なんだ、そんなこと」だとしても、ひとりなのに天使の兄弟といるみたいで、すれちがう人たち、とくに営業の人をおどろかせたのだ。(でも、きょうは6)#k2fact224
2019-05-20 10:11:47うれしいことも。苦しまぎれの分類では。赤い壁。小さな赤い虫がぎっしり這っているのだった。目を閉じた顔。何を受け入れてしまうのかと思うと怖くなる。学校の話。病院の話。自転車の二人乗りで橋をわたった話。そんなこと。空気、もっと入れておけばよかった。(でも、きょうは7)#k2fact224
2019-05-21 08:56:02悲しい知らせとはげしい雨のあと。洗われた窪みにすべりこむ光をうまく遇せない。でも、どうぞ。かれらは話さないで見ている。百年前ではなく、きょうは徐々に何ができあがるか。同性の目でもちがう緑の濃さ。実際におこることを見ていなくても、気づいて道を譲りあう。(でも、きょうは8)#k2fact224
2019-05-22 12:04:50写真を見せられた。どう欺されたらいいのか。夜明けのように見えるが、たぶんそうじゃない空。地上には、昼が怖い住民たち。いつも心配ごとがあって、きっと夜も怖い。不機嫌さ、それぞれの振動があるはずだ。植物。ゆらめく炎。内緒にする理由もなくて気温があがる。(でも、きょうは9)#k2fact224
2019-05-23 12:05:53きのうよりは調子がいい。それを積み重ねて、ここがどういう国なのか、見抜いてきたという手足の生意気さ。写真に写らない岸辺にも立った。怒りつづける人にとってだけでなく、決定的に遅れていることがある五月。天気の話も、後方、きのうの自分の外に出てからだ。(でも、きょうは10)#k2fact224
2019-05-24 10:19:35