「反緊縮経済政策Q&A」Q23 今増税して国の借金を返さないと、将来世代に負担を残すのではないですか?A23 いまムリに増税して国の借金を返そうとすると、むしろ将来世代の負担が増える可能性が高まります。
- the_rose_mark
- 1006
- 23
- 0
- 36
Q23 今増税して国の借金を返さないと、将来世代に負担を残すのではないですか? A23 いまムリに増税して国の借金を返そうとすると、むしろ将来世代の負担が増える可能性が高まります。 「反緊縮経済政策Q&A ver.1」rosemark.jp/2019/02/18/01-…
2019-05-05 19:09:02ひとつの世代を全体合わせて考えてみましょう。この場合、誰かの支出は同世代の誰かの収入であることに注意してください。また話を簡単にするために、この世界では、現在と将来の二世代があるものとします。
2019-05-05 22:32:03まず、増税しても消費が減ることがなく、たとえ消費が減っても不況になったりしない、とても理想的なケースを考えてみましょう。
2019-05-05 22:32:20この世界では、いま増税しなければ、百兆円の遺産と70兆円の国の借金が将来世代に遺されるとしましょう。世代をまたぐときの利率が1割だとすると、将来世代は、110兆円の遺産と77兆円の国の借金を手にします。
2019-05-05 22:33:09この将来時点で増税をして国の借金を全部返すと、将来世代は33兆円を自由にできます(110-77=33)。他方、現在のうちに増税して70兆円の国の借金を返したとしましょう。これによって70兆円のおカネが吸い上げられますので、そのぶん遺産が減って、将来世代には30兆円の遺産しか遺されません(100-70=30)。
2019-05-05 22:34:10でも、将来になると、利子がついて、将来世代はやはり33兆円を自由にできますので、さきほどと同じ状況になります。 ですから、税金の効果によって、世代内部の損得は変わってくるでしょうけど、世代全体を合わせれば、いま増税しても将来増税しても、結果は同じです。
2019-05-05 22:34:34この理屈は将来世代の人口がどんなに減っても変わりません。人数が減ると将来増税したときの一人当たりの税金の負担は重くなりますが、一人当たり遺される遺産もその分多くなりますから、負担と遺産の関係は変わらないのです。
2019-05-05 22:34:56でも、みんなお金持ちで遺産をたくさん残せる人たちだったら、そんなに将来世代のことが心配なら、たとえいま増税しなくても、将来増税される世代のことを考えて、政府に取られずとも自発的に消費を減らして遺産を増やせばいいだけです。
2019-05-05 22:35:52その結果は、やはり現在増税しようが将来増税しようが変わらなくなります。 ですから、現在増税した方が将来世代の負担が小さくなるのは、極端に言えば、次のような場合です。
2019-05-05 22:36:42ひとつの世代の中でも、もっぱら、遺産を残す余力がもともとない貧しい人たちばかりに課税する場合です。この場合には、増税してもしなくても、この人たちが将来世代に遺す遺産はゼロで変わりませんので、いま増税して借金を返した方が、たしかに将来世代は楽になります。
2019-05-05 22:37:10将来世代に負担を残さないためにいま増税するということは、極端に言えばこのようなひどい税制を推奨することを意味します。なるほど消費税というのはこれに近い性質を持っていますね。
2019-05-05 22:37:28しかし、以上のお話は、消費が減っても不況にならないという前提に依存しています。現実には、増税して現在の生産活動にも将来の生産力にも影響しないなんてことはあり得ません。
2019-05-05 22:37:55だからまだ景気が万全でないときに増税すると、消費税のようなケースではとりわけそうですが、人々が消費しなくなって総需要が落ちて不況になります。不況になれば、失業してしまう人たちが増え、その人たちは、子どもを作らなくなり、作っても十分な教育を受けさせる余裕がなくなります。
2019-05-05 22:38:20企業も設備投資をしなくなります。だから将来に遺される人材や機械や工場などの生産能力が少なくなります。そうすると、将来世代が受け取る遺産は、増税で直接減らされる場合よりももっと少なくなりますし、現在増税しなかった場合と比べて将来の所得も少なくなります。
2019-05-05 22:38:35