80年代のファッション誌にみる手芸関連の記事 JJ・CanCam編
昨日、〈1990年くらいまでの少女向けファッション誌の洋裁・手芸欄〉といったtweetが流れてきたので、とりあえず手元の資料をざっくりと調べてみた。まずは 75〜89年の JJ と 82〜89年の CanCam を。
2019-05-30 23:14:02手芸に関して JJ と CanCam はじつに好対照で、JJ は「手作り派」の読者と自作を紹介するのが中心。作り方に言及する記事はほとんどなし。一方、CanCam はかなり実用的な記事をコンスタントに出していた。手芸に関しては CanCam の方が手厚い。
2019-05-30 23:16:16CanCam の手芸記事の場合、手芸の作品は 1)自分のため、2)彼のため、3)自分たちのため(ペア)、の3通りで、いずれにしても女子力の高さをアピールする意図が感じられる。ゼロ年代以降のモテ路線とおなじベクトルかね。
2019-05-30 23:17:59一方、JJ は基本的に専属モデルとファッションリーダーを前面に出す誌面作りなわけで、手芸に関しても、手作り派(この○○派というカテゴライズも JJ 好みの手法)のファッション・リーダーを前面に出すという形で、誌面全体の方向性にマッチしている。ショップの紹介記事も多い。
2019-05-30 23:19:28具体的に眺めてみると、CanCam 82年1月号(創刊号)に「大学対抗女子大生の手作りライフ拝見」という記事がある。これは JJ 的な手作り派読者紹介といったところ。 pic.twitter.com/I0CBbVGJsL
2019-05-30 23:20:48CanCam 1982年12月号、スキーセーターを編むための具体的な情報が入っている。スキーセーターの手作りというあたりに時代が出てますね。 pic.twitter.com/8HzIOgZlat
2019-05-30 23:23:00CanCam 1983年1月号は「彼といっしょのペアニット」ですよ。このころは確かに手作りペアルックという大学生カップルはけっこういたと記憶する。 pic.twitter.com/fu1IugseKo
2019-05-30 23:24:46JJ、CanCam ともに、手作りするのは着るものが多く、とくに編み物がその中心なのですが、そうでないものもあります。CanCam 1983年4月号は「らくらくベストを縫う」です。この生地もけっこう実用的ですね。 pic.twitter.com/73odQED4fX
2019-05-30 23:26:07CanCam 1983年9月号「関西の女のコの手作り感覚拝見」は編み物ではなく「洋裁」ではありますが、これは手作り女子の紹介記事で、実用的な内容はありません。 pic.twitter.com/6gtkZnq3n5
2019-05-30 23:27:3280年代半ばの CanCam は手芸関係の記事が3ヶ月に1本ぐらいあります。毎月連載ではありませんが、けっこう頻度は高いですね。84年1月号「ENDOY 手づくりライフ」は定番記事でした。これも実用的な内容です。 pic.twitter.com/KddqfWO8UC
2019-05-30 23:29:47CanCam 1984年10月号「ENJOY 手づくりライフ」の記事、これはペアルックですね。 pic.twitter.com/FBRmjr6y1w
2019-05-30 23:30:35CanCam 1984年11月号の「ENJOY 手づくりライフ」、これは自分用といった内容です。 pic.twitter.com/0Y1TpCkyKQ
2019-05-30 23:31:47CanCam 1985年2月号ですが、これはバレンタイン特集に合わせた記事です。手芸の対象が〈彼に〉というケースは、バレンタインやクリスマスに絡めたものが多いですね。 pic.twitter.com/hMqxxOW2Mt
2019-05-30 23:33:11CanCam 1986年1月号の「ENJOY 手づくりライフ」なのですが、ちょっとテイストが変わりました。それまでは「自分(たち)に似合うものを自分で作る」とう方向性があったと思いますが、これなんかはチャレンジングです。 pic.twitter.com/len48hUTvB
2019-05-30 23:35:07CanCam 1986年7月号の「ENJOY 手づくりライフ」、これもオリジナリティを目指そうというチャレンジングな方向性が見えます。 pic.twitter.com/GzF4SJkfi5
2019-05-30 23:36:07CanCam 1987年1月号のこのパーティーニットの作り方にしても、単に「手芸のできる女子力高い私」ではなく、「センスのいいものを自分で作る」という感じになっていますね。 pic.twitter.com/CCetFbribT
2019-05-30 23:37:48CanCam 1989年4月号「手づくり NOTE 10 エスニックテーストの春ニット」、これなんかもオリジナルなものを作るという感じです。 pic.twitter.com/yV5lmDk5hA
2019-05-30 23:39:00そんなわけで、80年代 CanCam の手芸関係の記事をざっくり眺めてみたところ、1)編み物中心に着るものがほとんどで、小物・アクセサリーは少ない。2)けっこう実用的な記事がある。3)85年ぐらいまでは女子力アピール、後半はセンスアピール、といったところでしょうか。
2019-05-30 23:40:5380年代後半はバブル色が強まるわけで、自分で作らなくても個性的なものがけっこう買えたわけです。そのためか、手芸の記事の登場頻度は後半ほど少なくなったような印象があります。
2019-05-30 23:41:57一方、CanCam よりも創刊が数年早かった JJ は、手芸記事は相対的に少なく、基本は「展示」です。JJ 1980年1月号は「読者の手作り作品展」で、こちらは小物なども紹介されています。 pic.twitter.com/7R6uK1jDJy
2019-05-30 23:43:10JJ 1980年9月号は手づくりスカートの紹介記事です。このころのハマトラって、巻スカートが基本だから、要するに個性的な布の選択ということですかね。 pic.twitter.com/99YGuZUQQy
2019-05-30 23:44:26JJ 1980年11月号「[関東 関西]手作り派が大集合 この店の生地で作りました」はショップの紹介です。CanCam にはこうした生地があまりありませんでした。 pic.twitter.com/WEI9XeFDIz
2019-05-30 23:45:30JJ 1980年12月号「読者の手作り プレゼント大作戦」はセーターや小物などさまざまなアイテムのリア充特集ですが、実用的な内容はなく、ひたすらアイテム紹介です。 pic.twitter.com/qLBA7932mn
2019-05-30 23:46:54JJ 1981年1月号「私の作品です 手作りの編み込みニット」、これも「手作りでオシャレをする私」の紹介が中心で、どう作るかの具体的言及はありません。 pic.twitter.com/EI76l8U92u
2019-05-30 23:48:2080年代の JJ には大学対抗的な記事がけっこう多く、手作り派に関してもやはり「関東・関西7大学競作」なんて特集が 81年2月号にあります。 pic.twitter.com/cKXCAKjkhm
2019-05-30 23:50:11