林真須美死刑囚は本当に冤罪なのか(冤罪派が絶対に触れない事実)

報道等で知っている人もいるだろうが、和歌山毒カレー事件で死刑判決を受けた林真須美死刑囚の長男が2019年4月からツイッターで情報発信を開始した。 その内容は自身の母親の無実を訴えるもので、それを読んだ人から冤罪ではないかという声が次々と上がっている。
2019-06-02 22:40:13
実を言うと、私も少し前までは林真須美死刑囚は冤罪だと思っていた。 しかし改めて裁判記録や当時の報道等を詳細に調べたところ、やはり林真須美死刑囚が犯人だろうという考えに変わったので、その根拠を詳述する。
2019-06-02 22:40:28
まず「冤罪の理由」として巷でよく言われているのが、警察が提出した証拠類(特にSPring-8を用いたヒ素の鑑定等)が証拠として不十分であるということ。 確かに、あの鑑定結果は林真須美死刑囚が犯人であることを決定づけているとは到底言えまい。
2019-06-02 22:40:37
しかしながら一応言っておくと、「林真須美死刑囚が犯人だという決定的証拠が存在しない」ということと、「林真須美死刑囚が犯人ではない」ということはイコールではない。 (なおそのことは冤罪派の人々に何度も言っているが、未だにノーコメントである)
2019-06-02 22:40:43
誰が犯人かを示す決定的証拠が存在しない以上、その判断は間接的証拠(状況証拠)によるしかない。 警察が状況証拠を積み重ねることで林真須美死刑囚の犯行だと立証しようとしたのもそのためだ。
2019-06-02 22:40:50
冤罪派の人々は「マスコミの報道により、警察はろくに捜査もしないで林真須美さんを犯人だと決めつけて逮捕した」と主張するが、それは事実と全く異なる。
2019-06-02 22:41:03
容疑者の自白があればまた違ったのだろうが、容疑者は黙秘を貫いており、そんな中で後になって別の真犯人が浮上したら警察のメンツは丸潰れとなるので、それを防ぐために警察は当時のヒ素の分布状況を徹底的に捜査した。 その捜査資料の枚数は二十数万枚に及んだという。(法律時報86巻10号 P98)
2019-06-02 22:41:09
また、「林家から盗まれた亜ヒ酸がカレーに混ぜられた可能性」を主張する冤罪派の人もいるが、毒物を混入しうる機会があった人物は町内会の役員主婦など5人程度に絞られており、林真須美死刑囚以外はいずれも本人またはその家族が被害に遭っていることから、その可能性も考えられない。
2019-06-02 22:41:29
(なお、犯行が可能だったのはその数人に絞られているにもかかわらず、冤罪派の人々に「誰が真犯人だと思うか」と尋ねても答えが返ってきたことは無い。)
2019-06-02 22:41:34
「林真須美死刑囚には動機が無い」ということも冤罪派の人々からよく主張される。しかし「では犯行が可能な人のうち誰なら動機があったのか?」という質問には誰も根拠を持って答えられない。 なぜなら普通に考えれば、このような事件を起こすメリットはテロリスト以外には無いからだ。
2019-06-02 22:41:40
そして過去に何度もヒ素を使って保険金詐欺をしていた経緯から考えれば、林真須美死刑囚が「ヒ素を混ぜても絶対バレない」と思い込んでいたとしても不思議は無い。 絶対にバレないと思っていれば、「通常は考えられないような軽い動機で無差別殺人を行った」という説明も、スジが通るのだ。
2019-06-02 22:41:54
またよく勘違いされているが、実際の裁判では「SPring-8の鑑定結果が有罪の決め手となった」わけではなく矛盾の可能性の排除に留まっており、どちらかと言うとその「ヒ素の所在性」と「被害状況」から林真須美死刑囚の犯行だと推認されていることは判決文を読めば分かる。
2019-06-02 22:42:01
(「ヒ素の所在性」に関して、冤罪派の人から「当時はどこの家庭にも人を殺せる量のヒ素があった」などと主張されることがあるが、そんな事実は全く無い。裁判でも「一般の社会生活に極めて希少」と認定されている。)
2019-06-02 22:42:09
確かに個人的には、警察が証拠として提出したものの中には(特に容器類など)、警察の捏造ではないかと疑われるような物も存在する。 実際、警察による証拠の捏造は過去に行われたこともあるし、「家からヒ素が見つかった」と言えば容疑者が自白すると捜査員が考えたとしてもおかしくはない。
2019-06-02 22:42:16
だがしかし、警察による証拠の捏造は許されていいことではないが、カレー事件に関して言えば二十数万枚もの捜査資料やそれに伴う4000件に上る鑑定結果が全て捏造だとは考えられない。 その意味では(たまたまではあるが)もしも証拠の捏造が明らかになったとしても判決に影響はしないだろう。
2019-06-02 22:42:21
巷でよく言われているような、「ヒ素を使った保険金詐欺や殺人未遂を過去に何度も起こしているから」というのもその1つであろうが、個人的には黙秘を貫いたことも怪しいと感じる根拠である。
2019-06-02 22:42:33
普通、冤罪で捕まった人は自分のアリバイを立証しようとする。自分はやってないのだから、どうにかしてそれを証明できるはずだと。 しかし林真須美死刑囚は2審が開始するまで黙秘を貫いた。
2019-06-02 22:42:38
もしも私が犯人なら、林真須美死刑囚と同じように徹底的に黙秘をしようと考えるだろう。 なぜなら、取り調べの段階では警察がどこまでの証拠を握っているか分からない。 もしうかつな供述などしてしまったら、それが嘘だという証拠を出されれば一気に窮地に陥ってしまう。
2019-06-02 22:42:44
よって1審が終わるまでは黙秘を続けておき、検察の出してきた証拠を全て把握できてから否認に転じるのが最善ということになる。 (完全黙秘のデメリットとしては「反省していない」と判断されかねないというものがあるが、カレー事件の場合は有罪なら確実に死刑なのでデメリットにはなりえない。)
2019-06-02 22:43:46
(また、冤罪派の人々によって「当時の容疑者は話ができないほど心身が消耗していたのだ」と主張されることもあるが、捜査員の世間話には応じていたのでそれはありえない。)
2019-06-02 22:43:53
黙秘権は憲法で保障された容疑者および被告の重要な権利であり、その事実は否定しないが、逮捕当初からの一貫した「完全黙秘」という行動が、全く身に覚えのない無実の罪で逮捕された一主婦のものであるとしたら、それが他に類を見ないこともまた事実である。
2019-06-02 22:44:01