「魔法少女まどかマギカ」はエヴァを超えたのか　私論③　さしあたって最終話まで一気見した感想

karedo @susumu_karedo

まどか、最終話までちゃんと見た……。二度目。つか１．２回目くらい。一回目はかなりいい加減に見てた。うーん……飲み込んで解釈するにはまだ時間かかるけど。

karedo @susumu_karedo

かるくまとめておこうかな。

karedo @susumu_karedo

１．話の流れ 魔法少女の紹介（1話）～マミ死亡（3話）までが序盤　さやかが魔法少女に（4話）～杏子と心中(10話)までが中盤　ほむらの話題になる10話からが本論

karedo @susumu_karedo

２．結末に向かうエネルギー論～再構築された世界はけっこう怪しい。一番ここがしっくりこなかった。

karedo @susumu_karedo

３．概念まどかはどこへ 「過去、現在、未来の魔女を生まれる前に自分の手で消し去る」というのはつまり、魔女を生み出さない仕組み＝浄化しきれなくなったソウルジェム＝魔女を滅ぼす概念が「まどか」となる。それはマミが概念の中で言ったように「永遠に戦い続ける」こと。

karedo @susumu_karedo

つまり、魔女を違う世界へと放り込んで、そこで浄化者としてのまどかが処理する、ということなのかな。それをマミは「戦う」と表したが、画面で現れたまどかの「処理」は、イエスの「救済」のごとく、よりそい、汝救済されりとつぶやく事だった。

karedo @susumu_karedo

旧世界では宇宙の寿命を延ばすために、「感情」のエネルギーを捕獲するため、QBが魔法少女を家畜として牧場を作ったわけだが、

karedo @susumu_karedo

「新世界」ではほむらが言う「魔女が生まれなくなった世界でも、人の世の呪いが消え失せるわけではない。世界のゆがみは形を変えて、今も人々を狙っている」というのが今ひとつわからん。

karedo @susumu_karedo

QBたちも因果律を少し変える程度のエネルギーは持っていて、それで牧場を構築したんだろうが、まどかはそれを遙かに超えた。ただ、それでもベストな解決を導き出せるほどのものではなく、宇宙の因果律を超えるのは一部でしかない、ということなのか。

karedo @susumu_karedo

しかし、それにしてもやっぱりモヤモヤする。エヴァもまどかも同じ「主人公の決断により再構築された世界」であるけれど、旧劇エヴァが生の衝動へシフトしつつ死への衝動によって終わった事に僕は納得できた。

karedo @susumu_karedo

TV版も「シンジの救済＝世界の救済」という所にまで落とし込まれていった事さえ納得できるなら理解できる。あれはあくまでも誰かに救済されるのではない。自分で自分を救済したものがたりだったんだ。

karedo @susumu_karedo

そういう意味では、旧劇はTV版よりずっと底意地が悪くて、自己を救済しえたからといって、他者を救済はできない、という皮肉めいた終わり方だったという解釈もできる。

karedo @susumu_karedo

ふりかえってまどかは、まどか個人の救済は何もかもがおざなりで、「魔法少女たちの救済すること自体が彼女の救済」という、実に物語上の都合のいいファクターでしかない気がする。

karedo @susumu_karedo

ちなみにLainの相似を指摘する人もいたが、確かに世界を再構築する、という事では似ているけれど、Lainは神になったのではない。（その辺は作中で彼女の鏡像が「なっちゃいなよ」と誘うのを、彼女本人が否定していたはず）

karedo @susumu_karedo

Lainは、ワイヤードを舞台装置に、「つながる」事によって現在・過去・未来、あらゆる概念や事象そのものが共在化（作品では偏在と言っていたか）する中で生まれた、「エゴ（自我）」＝象徴がLain、という話だった。

karedo @susumu_karedo

あえて言えば、まどかは誰かを救済するために、自己を犠牲として、理不尽な世界を構築し直し、救済までやってのけたキリスト教的な救世主。Lainは、条理のワイヤードと不条理のリアルワールドの接点をはからずも超越してしまったが、それでも自己を伝えようとした、神のなりそこない。

karedo @susumu_karedo

だからまどかという少女を「見た」人は、彼女を救世主として崇める事はあっても、Lainは偏在するだけ、きっと今もそこにいるんだろう。と認識する程度。

karedo @susumu_karedo

少しずつすっきりしてきた。結局俺は自己犠牲からくる救済、あるいは不完全な救済が嫌らしい。いや、自分では好きだと思っていたが、いざ目の前に提示されると、すごく不愉快な気分になるとは。

karedo @susumu_karedo

宇宙の有り様そのものを変えられる云々言っていたまどかが、最終的に変えなかった／変えられなかったものは「少女達の自己犠牲の構図」だった、と言うところも頭にとどめておきたい。これは非常に底意地が悪い。物語の悲劇性を維持するためであるなら、はっきり言って卑怯だ。

karedo @susumu_karedo

まどかはエヴァを超えたか、という理屈でいくつか書くつもりだったけれど、フタをあけてみたら、エヴァが唾棄し、嘲笑し、エヴァがとうとう最後まで報われなかったものを、まどかは何の衒いも無しに作り出した、というのを語るには、僕はあまりにも汚れすぎている。

karedo @susumu_karedo

懲りずにまどかの事について。何より類似しているのはLainでもなくキリスト教。それも遠藤周作の「キリストの誕生」。旧約の苛烈な神と新しく契約した「新約」の物語。そしてその救済は「そばに寄り添う」という事。

karedo @susumu_karedo

エヴァはもがき苦しみながらその救済を求め、しかし得られず、けして見えぬ自個を見つめ続けるうちに物語の外へと飛び出していった。むしろ、まどかに希望して生き、まどかに絶望した若い子たちを救うのは旧TV版エヴァなのかもしれない。