【グレる若者問題】21世紀の「サブカルチャー」が必要だ

高山直人(💉×4)(魔法天使、軍事好き、車バイク鉄道&オタク&サブカル&左翼が死ぬ程超好き) @naobotaka_magi

近頃の若者世代の個人主義の行きすぎには驚いた人が多いと思う。たとえばバイク3ない廃止にあやかる高校生。東日本大震災を機に全国的に廃止されたそうだ。もっと云うと沖縄のYouTuber。死にたくなければ学校行くなというパワーワードは有名になった。

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前者の彼らのSNSを見るとプロフィールからして精神年齢10代。いわゆる「若気の至り系」の、5ちゃんねるで書きなぐられたような書き込みが目立つ。自画像を上げてルックスの強さを自慢するツイートや、不良用語のツイートも繰り返し発信されていた。

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彼らの源流いわゆるゆとり世代で、リア充文化（自転車やオートバイ）に夢中で、インターネット上では自分のありのままの姿の書き込みばかりを延々と繰り返す。これは典型的なネト充やパリピそのものである。

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Twitter上やブログや動画サイトには、彼のようなタイプのアカウントや動画はくさるほどあるし、5ちゃんねるのいわゆるなんj系の利用者はほとんどがそうだ。

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1990年代の渋谷の若者とも重なるが、たいていこういう人は出自に恵まれなかった人である。つまり地頭がなく、学がなく、何かのきっかけで社会からドロップアウトし、孤立を深め、少年期から青年期へ差し掛かり、今このように顕在化しているわけである。まさしく「グレる若者」だ。

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おそらくネト充およびネト充に対して横並び意識やシンパシーを感じるようなしらけジュニア（ゆとり初期世代）およびその延長線上にある新人類バブルジュニア（ゆとり後期世代）の人は、仮に自覚がなくてもそのグレる若者の当事者と言えるかもしれない。

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不況育ちのため学校はいじめサバイバル状態であるし、仮にいい学校の出身者だったとしても友人にいじめ経験者がいたりする。家族国家がとっくに崩壊し、景気構造が大転換を迎えているご時世に、恵まれた地位にいた自分だっていつ当事者にされるかもわからない。

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明日うっかりいじめで同級生を殺しているかもしれない。そうしたら、昨日までリア充な生活をしていたような人でも一瞬で「不良人間」になってしまう。 こうした人々がなぜ大量出現したのか。私はそれは原因はかつての時代におけるサブカルチャー的な存在の不在があると考えている。

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YouTubeで世界ないし昭和のサブカルチャーの映像を見ると、日本の中にもう一つの別の大衆文化が存在しているかのような錯覚をしてしまうほどだ。

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サブカルチャーといえばメインカルチャーの裏面でもある。日本では1950年代に若者文化として誕生し、今のような巨大な文化に発展したのは1970年代のこと。いわゆる「戦後昭和の就職氷河期」である。

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1970年代といえば、まだまだ昭和で、地方に行けば運命共同体の地縁・血縁社会が当たり前、東京だって「三丁目の夕日」のような下町の向こう三軒両隣の付き合いがあった時代だ。つまり誰もがシガラミに属した一方、そのシガラミの存在のおかげで孤立することなく、守られた時代だ。

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新興宗教の盛んだった時代でもある。例えばSGIの彼らは、共産党の勧誘のような信者獲得などに取り組んだ。そこに社会的なつながりがあり、居場所があり、ウップンはげ口があり、人々の安定や幸福が守られたわけである。

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ところがいくら右肩上がりの時代と言えども、必ずドロップアウトする人がいる。 サブカルチャーは「負け組文化」と批判者から見下されていたこともあったという。つまり時代の恩恵にありつけることのできなかった不幸な人たちを獲得することで文化巨大化を成し遂げたのがあの事だったということだ。

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とりわけ多かった層は、学生運動に縁のあった世代だといわれている。彼の若者時代は大衆文化全盛期であるが、学生運動参加者は娯楽業界に進学することができずサブカルチャー界隈で働かされた。地元の共同体からは切り離されて、組合や宗教のような後ろ盾も充実していない。

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社会的包括から孤立した者には、居場所はなく、守るものが何もなかった。そりゃ、漫画家やアニメーターやサブカル小説家になるわけである。

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非行や犯罪は不幸の極みだが、昔はそれらに救われている者もいた。 「俺はスゴイ」「青春最高」の物語に身を委ね熱狂することはうさはらしになったし、底辺であってもギャングで居場所や役割を与えられ、成果を上げて生きて帰ってくれば称賛された。

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しかしその後、日本が先進国家になった結果、非行や犯罪によって救われていたような不幸な層が孤立してしまう問題もあった。サブカルチャーは彼らの感覚に合った居場所を与え、かつ彼らからアウトローの危険思想を脱却させる役割を担うことも成し遂げたといえる。

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そのおかげで、バブル期の日本はアメリカやロシアのように若者スラム街やストリートギャングが横行するようなことなく、社会秩序が早いうちに安定化し、社会成熟期を成し遂げることができたとも考えられる。

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そしてそのサブカルチャーは、時代が戦後昭和の比較的明るい時代であるうちは、「反戦もの」をはじめ左翼的な文化の共有に取り組むようになる。今日のサブカル界隈が日本共産党の有力支持母体とされている理由もまさにこれだ。

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時代が変わり、たとえ社会の底でもがいているような人たちであっても価値観・考え方が戦後的になっていくパラダイムシフトにうまく順応し、当時としては新しいスタイルを発信し続けたことが拡大の最大の秘訣ともいえるし、その立役者が昭和の漫画家やアニメ界だったんじゃないかと私は考える。

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そんなサブカルチャーも今では高齢化が進んでいるという。上が70代と言う今、そうなるのは当然だ。そして下の世代がついてきていない。1990年代には国際化を成功させたが、国内での若い世代の新規市民層の広がりは乏しかったのだろう。

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なぜか。それは単純な話。バブル時代崩壊後に、精神面での豊かさが芽生え始めたからである。実際にオウムの信者は精神的に貧しかった人達だった。社会人が好景気を謳歌していた一方で、学生(団塊ジュニア・ロスジェネ)が勉強・いじめ・管理教育の三重苦に苦しんでいた時代でもある。

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そして社会風刺的なものを求める人が少ない以上、サブカルチャーに縋る必要性はなくなった。市民の世代バランスが偏ると、ますます時代の感覚とズレてしまい、その後21世紀になっても、次のサブカルチャー好況には至らなかった。

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そして、若者までの時代にサブカルチャー文化までを支えたバブル世代の息子の世代が、今バイク乗り高校生の経験者になっていたり、「グレる若者」になっている世代なのである。

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つまりこのことからわかるのは、「グレる若者」対策として最も効果的なことがあるとしたら21世紀版のサブカルチャー(サブカルではない)のようなポジションを確立することである。 文化としてより、社会的な相互扶助、互助組織としてのそれが戦後日本で担った役割に改めて注目する必要がある。