ギア・ウィッチクラフト #7

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
0
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「残念だ! イヤーッ!」セレクションは翳した手に力を込めた。「グワーッ!」コルヴェットは背中をそらし、白目を剥いた! ギンカクが震動し、コルヴェットには到底制御され得ぬ大量の思念がニューロンに押し寄せてくる!「アバーッ! アババババババーッ!?」0

2019-05-15 21:45:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

コルヴェットはエビぞりになり、血泡を吹く!「アババババーッ! アババババーッ!」セレクションはしかしその手を緩めはしない! コルヴェット……0101001……爆発四散……000101……爆発四散……0100101……001……爆発四散を留めたのは0101……「……!」……銀の浜辺に、彼は立っていた。 0

2019-05-15 21:46:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

大空洞は今や銀の火によって禍々しく照らし出され、チュートン騎士立像の抽象的な姿は恐るべき啓示めいてモノクロであった。「何だ……?グワーッ!」ほんのコンマ一秒の隙を突かれ、フェイタルは高く弾かれた。ブラックヘイズは反射的に防御姿勢を取った。直後!「グワーッ!」 1

2019-05-15 21:50:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ンンンンン……!ひれ伏すのだカタナ・オブ・リバプール」燃える銀のローブで身を覆った邪悪な存在は超自然反重力で宙に浮かび上がり、凄まじいカラテを全方位に放出した。「グワーッ!」「アババーッ!?」カタナ企業戦士の何名かはカラテの直射を受けて吹き飛び、地面に影の染みとなった。 2

2019-05-15 21:52:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何だ!あれは!」チュートン・オジゾウの陰に咄嗟にカバーリングしたシュルツは呻き、宙に浮かんだギュンター博士……であったもの……を絶望的に見上げた。震える手でIRCコールを試みる。ザリザリ……もはやノイズばかりだ。「ドーモ」燃える銀のニンジャはアイサツした。「セレクションです」 3

2019-05-15 21:54:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

一方、吹き飛ばされてウケミし、体勢を立て直したブラックヘイズの通信は、問題なく確立されていた。彼の用いる機器はカタナの最先端技術によって支えられているのだ。「モシモシ。応答せよ」『モシモシ……大丈夫ですか?』アキナが応じた。『凄まじい電磁反応です』「ギンカクで、ちと問題が発生」4

2019-05-15 21:57:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『一体?』「敵性ニンジャだ」『ヤナマンチのフェイタルではないようですが……』「まあ、そいつもいるがな。もう少し厄介そうだ。例のギュンター博士がギンカクから何らかの力を得た。奴はニンジャであり、その力で俺達に反逆したな」『解析を急ぎます……』「急げ。だが差し当たり」『何です?』 5

2019-05-15 22:02:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「論理トリガのリミッタを解除しろ」『解除ですか』「出来る筈だ。ゼロにしろ」『……』数秒の沈黙。『承認が必要です』「直接繋げ。俺が話す。いや、もう聞こえているだろう。聞こえているな?」『……モシモシ。ブラックヘイズ=サン』いつもの、ゆったりと見下すような声が返る。「聞こえたな?」6

2019-05-15 22:04:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『うむ。論理トリガのリミット解除の件だが……』「然り。ギュンター博士の反カタナ行為をこの場で完全阻止する。抹殺だ。だが、これほどの圧力はロンドンですら経験していない。正直なところ、レイテンシーがあれば戦果は約束できん」『成る程』「教えを冒涜する存在だ。聖なる加護を頂きたい」7

2019-05-15 22:07:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『ブラックヘイズ=サン、君は……』「許せんのだ!」彼はセレクションを睨み、怒りに満ちて叫んだ。放射されるカラテから逃げ遅れた企業戦士がまた倒れた。「奴は邪悪だ。ギンカクは正しく管理せねばならん。カタナによって!」『君の愛社精神は信仰によって支えられている。……認めよう』 8

2019-05-15 22:09:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『承認!』アキナが示した。クン……。ブラックヘイズの聴覚は、己のニューロンとサイバネティクスが噛み合うオカルティックな音を聴いた。彼は莞爾と頷いた。「イヤーッ!」セレクションはカラテ放射!カバーリングした石碑が砕けた時、ブラックヘイズは既に飛び出していた! 9

2019-05-15 22:12:09
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

残像を伴うほどに速く、だが滑らかに、彼は走った。セレクションは銀の眼光を燃やし、その姿を追った。「イイイイイヤアアーッ!」BOOOOM!圧縮されたカラテが地を裂き、ブラックヘイズのもとへ瞬時に届いた。ブラックヘイズの残像が真っ二つとなり、その奥でカタナ兵がゴア死した! 10

2019-05-15 22:14:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ブ、ブラックヘイズ=サン!?」シュルツが目を見開いた。「たまらん!このフランク・シュルツ、なんたるブザマか!す、すくんでおるわ……!」腿を殴りつける!「エイッ!エイッ!」その頭上を飛び越えるのはフェイタル!「AAAAARGH!」 11

2019-05-15 22:17:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」セレクションはカラテ衝撃波をブラックヘイズを目掛け立て続けに放った。一度、二度はブラックヘイズは効果範囲外に旋回して躱した。三度目はそうはいかなかった。彼は身体を折り曲げ苦悶し、背後の壁がえぐれた!「グワーッ!」そして四度目!「イヤーッ!」 12

2019-05-15 22:19:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「AAAARGH!」セレクションの狙いは逸れ、壁を半球状にへこませた。セレクションのローブに、白い獣が喰らいついていた。フェイタルだ。「イヤーッ!」「グワーッ!」撥ね飛ばす!セレクションの身を覆う炎はその勢いを弱め、超自然炎は今、布めいていた。彼はギンカクを再び脈打たせた。 13

2019-05-15 22:22:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ZMZM……ZMZMZMZM!すると、ナムサン!今やギンカクに張り付けめいて叩きつけられていたコルヴェットは再び苦悶し始めた!「ぐ……グワ、グワーッ!アアアアア!」セレクションが再び燃え始める!「AAAAARGH……!」010100010101 14

2019-05-15 22:24:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

010010101……01001……0……「ア……ア……。ア……ア」コルヴェットは我に返った。彼は銀の浜辺に立ち、足元は波の飛沫に現れている。「……ア……?」「もうダイジョブだ。少なくとも、今は平気だ」彼の肩に手を置いて、謎めいた男が囁いた。「……誰だ」コルヴェットは当然の問いを口にした。15

2019-05-15 22:26:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「俺か?俺はな……」男は銀の装束を身に着けていた。セレクションに似ていたが、全く違うアトモスフィアの持ち主だった。コルヴェットは訝しんだ。「俺は、グレイハー……いや、いいか」謎の男は独り呟き、それから名乗った。「俺はシルバーキーだ」 16

2019-05-15 22:29:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「シルバーキー……?」「ドーモ」彼はあらためてアイサツした。「慌てるな。ここの時間の流れはゆっくりだ。ニューロン速度ってやつでな……」「ふむ」コルヴェットは現状の把握に努める。彼は魔術師であり、こうした状況への適応能力は並のニンジャよりよほど高い。「……コルヴェットです」 17

2019-05-15 22:33:33
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「俺はシトカに居るニンジャでな……シトカ、知ってるか?いや、いい。とにかく遠い場所で俺はアグラしてる。オヒガンに接続して、観察してる」「観察だと」コルヴェットはシルバーキーを凝視する。「何をだ」「世界をさ」彼はやや気取った調子で、コルヴェットの前を歩いた。「暇なんでな」 18

2019-05-15 22:38:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

シルバーキーは頭上を指さした。「空にキンカク・テンプル」黄金立方体を示す。コルヴェットは頷いた。そしてシルバーキーは地の下を指さした。「そしてギンカクは地の下にあり」コルヴェットはマンデルブロ・サインじみた幾何のヴィジョンを見る。「今、あンたが難儀している場所だ」 19

2019-05-15 22:43:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何者だ」「観察者。無力な」シルバーキーは厳かに答える」「ギンカクとは何だ、シルバーキー=サン」「ンン……その説明は俺の手に余る。侵してはならぬものだ。そこはシュヴァルツヴァルトだな?ネオサイタマにも一基ある。電子戦争以前に見出され、多くの犠牲を生み、鎮められ、そのままだ」 20

2019-05-15 22:46:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「幾つもあると?こんなものが?」「然り。いや、辿ればそれは同じものとも言える」シルバーキーはゆっくりと手を動かした。モデル図ホログラフじみた光の粒が幾つも浮かぶ。「ギンカクの先端は、恐らく地球上に八つ存在する。俺が知るギンカクはシュヴァルツヴァルトとネオサイタマを含め、三つ」21

2019-05-15 22:50:31