@FXMC_によるハーレム系作品30年"超"略史
私が前々からいわゆるオタク評論で不満に思ってるのは、美少女系・萌え系作品を、時間軸的に長く、メディアに広い、歴史的視点で語れていないこと。体系化されてるのはエロゲ史くらい? 無いなら自分でってことで「うる星からISまでのハーレム系作品30年"超"略史」をやろうと思います
2011-05-16 18:01:21もちろんツイッターでやる以上"超"がつく略史。日本を4つの楕円で描くレベル。二部構成の前編が『美少女文化が二次元の覇権を握るまで』で、こっちはまずまず整理できてる。後編は、作品数が増えるので専門で切って『ハーレム系作品の現状』。こっちは先のためのスタブレベル。じゃ次から
2011-05-16 18:01:39オタクの父は富野由悠季、母は高橋留美子だって言うやん。機動戦士ガンダム(79)とうる星やつら(78)が始まった'80年前後が、今の二次元文化の原形が固まった時期。少年漫画界で、少年キング次いでチャンピオンが没落しジャン・マガ・サンの三強体制ができたのもこの頃
2011-05-16 18:02:01少年漫画に、うる星・タッチ(81)・翔んだカップル(78)・気まぐれオレンジロード(84)など恋愛要素や、マカロニほうれん荘(77)・奇面組(80)・あ~る(85)などゆるい学園要素が持ち込まれる。その日常性や恋愛・三角関係要素を含むロボットアニメがマクロス(82)。
2011-05-16 18:02:2180年代末になると流れが変わる。ロボットアニメはガンダムの時代からワタルの時代に。少年漫画はサンデーがコケてジャンプ一強が固まるバトル漫画全盛期。SF・思弁系だろうが日常ラブコメ系だろうが、「オタク的なもの」が二次元の娯楽の本流から外れてしまう
2011-05-16 18:02:44美少女系の作品は傍流に追いやられることで、内容的にはむしろ純化して発展する。アダルトゲームで同級生(92)、OVAで天地無用(92)、青年誌でああっ女神さま(88)などが出てくる。少年誌でも桂正和や、旧サンデー系的な作風にバトル要素もあるGS美神(91)は残ってる
2011-05-16 18:03:0590年代中盤には、その成果が徐々に本流に帰ってくる。同級生はときメモ(94)・サクラ大戦(96)・ToHeart(96)に発展し、角川のTV進出でOVA的な作風のTV版天地(95)やエヴァ(95)やナデシコ(96)、キッズ系の作風に美少女要素を合わせたあかほり作品などが出てくる
2011-05-16 18:03:38女神さまの影響を受けた漫画もいっぱいあるけど、直接的に同居モノなのは、赤松健のAiとま(94)と、中期ガンガンの看板作品守護月天(96)かな。80年代サンデーや少女漫画のような恋愛要素とゆるい日常性で先行した中期ガンガンの歴史的意義はもっと注目されるべきだと思う
2011-05-16 18:04:0390年代末~ゼロ年代初頭は、日本アニメ苦闘の時期だった。作品数増加と予算低下で作画脚本とも大荒れ。意欲的な佳作は頭に「知られざる」がつく運命。その中でCCさくらやToHeartのアニメ化、ブロッコリー諸作品やシスプリのようなメディアミックス企画など美少女系は健闘
2011-05-16 18:04:21美少女漫画では赤松のラブひな(98)があり、週刊ではチャンピオンが組織的な導入に先行。ななか(00)、エイケン(01)など。これはほぼ編集の伊藤純ひとりの功績で、のち彼の異動に伴いRED・RED桃組と島流しされることに。月刊では角川系列、特に電撃のあずまんが(99)を挙げとく
2011-05-16 18:04:47エロゲはたぶんこの頃が最盛期で特にKanon(99)と同人の月姫(99)が重要。ラノベは富士見がいまいち伸び悩み、電撃が台頭しつつある。阿智(98デビュー)作品やまぶらほ(00)は学園+美少女ってスタイルの原形。フルメタ(98)も入れていいか。コバルトのマリみて(98)もあったね
2011-05-16 18:05:04ジャンプは90年代中頃に主力が次々連載終了して暗黒期を迎えるんだけど、ゼロ年代初頭には次の世代が台頭してくる。ワンピ(97)、NARUTO(99)、BLEACH(01)とか。暗黒期後のジャンプバトル漫画は前の世代と違って普通に戦うヒロインがいる。この辺は格ゲーの影響かもしれない
2011-05-16 18:05:4202年頃、二次元美少女文化が他ジャンルと驚異的な悪魔合体を始める。+喫茶店=メイド喫茶 +学習参考書=もえたん(03)→萌え学習書・事典 +パチンコ=海物語(99年に第一作。02年の新海物語はそれ以上のヒット作) +STG=東方(紅魔郷02年) +ミステリ=ひぐらし(02)
2011-05-16 18:05:54余談。02年頃の美少女文化の拡大を象徴する5傑――メイド喫茶・もえたん・新海物語・Win版東方・ひぐらしを見ると「ビジュアル的に美少女であることは重要でない」とわかる。訴求しているのは美少女の概念的イメージでビジュアルではない。鍵や型月だって絵師はアレだ
2011-05-16 18:06:25この頃から、美少女文化、世間的に言われるところの「萌え」が、アニメなどの二次元文化の本流であるかのように語られるようになる。これは萌えオタである私としても、必ずしもいいことなのかは疑問。無視される代わりに、誤解・反発されるようになっただけのような気がしないでもない。
2011-05-16 18:06:4602年以降は「美少女文化の普及・拡大」というくくり方すると作品が多くなりすぎて私の能力と紙面に余るので、専門のハーレム系(美少女ゲーム的方法論を用いた複数ヒロイン作品)に限った形で各メディアごとにざっと概略を。
2011-05-16 18:09:59ゼロ年代中盤以降、週刊少年誌にも美少女要素が強調される作品があるのは当たり前のことに。ジャンプならいちご100%(02)、ToLoveる(06)。マガジンならスクラン(02)、ネギま!(03) サンデーならハヤテ(04)、絶チル(05)など。
2011-05-16 18:10:14しかし、これら美少女漫画が週刊少年誌の「看板」になってしまう状況はどうかと。キャラ萌え・コメディ・ストーリー志向の間の分裂(スクラン・ハヤテ)、萌え漫画が売れると干す悪習(ToLoveる・チャンピオン萌え漫画の島流し)など、週刊少年誌の萌え漫画の運用には問題も多い
2011-05-16 18:10:43月刊誌・エロ漫画では、萌え系・ハーレム系は山ほどあるんで個別に論じないけど、メディアミックスなら角川系、オリジナルではヤングガンガン――瀬戸花・セキレイが安定かな。エロ漫画の新要素導入は普通A5版が主導するのに、独占ハーレム志向だけB6先行なのがちょっと特殊
2011-05-16 18:11:33ラノベはシャナ・ハルヒ以降学園モノが主流になる。伝奇要素の取り込みと複数ヒロインのラブコメ。ま、エロゲっすな。電撃も一応れでぃばと・俺妹あたりがあるけど、ガチで取り組んだのはMF、その最も徹底された成果がIS。他レーベルも05年頃にはだいたいハーレムラノベは標準装備に
2011-05-16 18:11:45官能小説。元々凌辱や不倫が主流だったけど、90年代末から誘惑系が伸び出す。若い作家には二次元的な想像力の影響を受けてる人も多い。イラスト付のジュブナイルポルノも、ゼロ年代前半は凌辱系が強かったけど和姦系主流に移行。単独ヒロインでなければ、だいたいハーレムエンド安定
2011-05-16 18:11:59アニメは、作品の過半が深夜帯で放送されるようになり、オタクへの訴求力の強い美少女要素は外せないものに。でも、媒体自体の俯瞰的な性質のせいか、美少女アニメは群像劇が中心となり、主人公中心の良作はあまり出ない。オリジナルで特筆すべきはマクロスFくらい?
2011-05-16 18:12:23原作付は、ハルヒはSFとして処理された面があり、ハヤテもギャグ扱いの部分が強かったり、素直に萌え特化にいかない。ハーレム全開で大ヒットってーと、ToLoveる・ISでようやくって感じ。美少女ゲーム原作も、キャベツ・空鍋・ヰミキス・アイマスって惨状で、成功しだしたのはここ数年
2011-05-16 18:12:47エロゲは05年頃が現状最後の大きな波。Fateマブラヴは主題的にスルー。つよきすでツンデレ、おとボクで男の娘など新属性普及を先導。Navel8月など絵師主導メーカーはハーレム感ある日常シーンがよし。かぐやSelenlilithなど抜きゲメーカーの萌えエロ系はハーレムエチましまし
2011-05-16 18:14:49