kemofureさんの最近のアニメやゲームのよしあしについての鋭い連続ツイートまとめ

最近のアニメやゲームに疎い私にとってたいへんにいい勉強になりました。
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古川 @furukawa1917

いいか、ラーゲリでは手に職のある奴が生き残る。所長室に飾れるような絵を描ける奴、歌の上手い奴、楽器を弾ける奴、そういう連中は有利だ。新入り、あんたは娑婆で何をやっていたんだね?……哲学?…………そいつはご愁傷様

古川 @furukawa1917

だいたい、よい白人がわるいインディアンをガンガンぶっ殺してハッピーエンドなんて話が現代で許容されるはずがなく、それを踏まえて差別や偏見におもねらずどうやって物語を成立させていくかが現代の創作者の腕の見せ所なんじゃないですか

2019-06-15 18:22:33
kemofure @kemohure

まさにその通りで、敵にも理由はあるはゲームでもどんどん導入されるようになってきていて(DQ11等もそうですね)、「主人公達の行動が社会全体を良くする」感じの作品はゲームにはかなり色濃く残っていると思いますが、深夜帯アニメ等だとそれはかなり弱って、ミーイズムに撤退している感はします。 twitter.com/furukawa1917/s…

2019-06-15 23:12:51
kemofure @kemohure

ミーイズムがサブカルチャーに強く出てきたのは近年のことではなく、かなり前からで、主人公達が能動的に良い行動をすることで周囲や社会に良い影響を与えるというのが、描き辛くなっている感じで、ゲームは何とかそれをまだ維持できている感はあります。ネット発のシニシズムの広がりがあるのかなと。

2019-06-15 23:17:28
kemofure @kemohure

ゲームの場合、凄く単純な善の返報性がゲームシステムと組み合わせやすく(人助けのクエストをこなして感謝されて成長するビルドゥングスロマンがシステムと組み合わせやすい)、他ジャンルはそれが、「ダサい」ってな感じでお洒落ではない、斜に構える作風がお洒落とみなされるというのはあるように思う

2019-06-15 23:21:49
kemofure @kemohure

勿論、プリキュアとかワンピース(最近読んでないので昔の)とか、善の返報性を重視してなりたっている作品もあるんだけど、熱血系よりも、ある種の個人性と斜に構えて社会を見渡すタイプの作品(進撃の巨人とか)の方が「深みのある作品」としてより受け入れられるようになっているというのはあるかなと。

2019-06-15 23:26:19
kemofure @kemohure

>「ダサい」ってな感じでお洒落ではない、斜に構える作風がお洒落とみなされる ゾルゲさんが述べられていた、昔、ジャリ番(子供向け番組)にあった何かを渡し損ねたという後悔もこれなんじゃないかな。全体的な希望みたいな言葉にし辛いようなものですね。少年向け漫画等も今も頑張っていると思う

2019-06-15 23:31:46
kemofure @kemohure

セカイ系において社会や主人公と関係のない人々(モブ)が後景化するということは、笠井潔さんとか前島賢さんも書いていましたね(テロルとゴジラ等)。DQを小説化した久美沙織さんが、セカイ系のそれらを批判したのも印象深い。セカイ系という括りは極めて大雑把で何とも捉え難い感がかなり強いですが...

2019-06-15 23:46:57
kemofure @kemohure

全体としてシニシズムの侵食によって、社会全体にとって良いことを意志しようとする各人のモチベーションが、物語の動因としては薄れて、その流れとしてセカイ系と呼ばれるタイプの作品も生まれたが、セカイ系というカテゴリに留まらず、全体としてはもっと大きな流れとして起きていることかなと。

2019-06-15 23:51:06
kemofure @kemohure

後景化については、RPGやオープンワールドのゲームだと後景化し辛いというのもありそうな気がします。セカイ系の主人公達は、主人公達以外の社会やモブ(人類)が消えてもあまり気にしない(とされている、実際は完全に気にしない作品はないと思うけど)、それに比べるとゲームはモブ達とも話せるので。

2019-06-15 23:55:40
kemofure @kemohure

余談ですが、日日日さんの映画化もされた傑作「ちーちゃんは悠久の向こう」は、本書も素晴らしく面白いけど、久美沙織さんの書いた解説が、こういったセカイ系におけるシニシズムや後景化の問題についても考えさせられる名解説なので、ぜひ読まれて欲しいな...。

2019-06-16 00:06:13
kemofure @kemohure

久美沙織さんは「何かを為す為にコミットメント(関与)することには、リスク(何かが犠牲になる可能性)は常に孕まれて、それを孕んだ上で先に進むしか、物事をより良くすることはできない」的な実存の考えで、それが小説にも現れていて(ゲーム「マザー」のノベライズ等)、その観点から分析していますね

2019-06-16 00:09:47
kemofure @kemohure

余談ですけど、近年の作品で、「セカイ系」だなあと感じた傑作アニメは「残響のテロル」ですね。人体実験で超人になった子供達が、隠蔽されたその非道な実験の真実を社会に知らしめる為に示威行為として核兵器テロを行うという話。筋的にS・キングのファイアスターターに似ているんですけど(続)

2019-06-16 01:25:57
kemofure @kemohure

(続)ファイアスターターだと、米国の諜報機関に追われるチャーリーは最後は新聞社に頼って、全てをマスメディアを使って明らかにすることで、惨劇を終わらせる。権力の横暴に対抗するものとして新聞社(マスメディア)に対する信頼がある訳です。一方、「残響のテロル」だとそれがいきなり(続)

2019-06-16 01:28:24
kemofure @kemohure

(続)核テロが起きれば世界中が大騒ぎになるから、騒ぎの中心である人体実験のことを誰も隠蔽できなくなるという極端な発想からテロへと結びつく。そして物語世界自体もそれを肯定している。権力の横暴に対し合法的に戦う(ペンの力の新聞社等)のではなく、いきなり核兵器に行ってしまう訳です(続)

2019-06-16 01:31:57
kemofure @kemohure

(続)セカイ系においては、中間にあって和解するもの、社会との仲介者になるものが存在せず、いきなり世界とダイレクトに対峙する形として物語が形成されるというのを、「残響のテロル」はありありと示した作品だと思いましたね。新聞社とか国際機関とか、そういった仲介者に対する極端な不信の形成(続)

2019-06-16 01:35:35
kemofure @kemohure

(続)言ってみれば社会全体に対する極端な不信(社会は何も信じられない、信じられるのは直接的に繋がった人々と直接的な力だけ)が、セカイ系的な作品の前提としてあるというのを物凄く見事に描いた傑作だと思います。この全体に対する不信は作品と視聴者間でループする形で増幅していると考えていますね

2019-06-16 01:39:26
kemofure @kemohure

ちなみに近年、セカイ系とは逆に社会にコミットしているアニメで面白いなと思ったのは「えんどろ〜!」ですね。DQをベースにしたJRPGパロディアニメでして、DQ等でも話題になる「勇者が世界を救う者ならば、魔王などの魔の者も救うべきではないか」というテーマを上手く作品に活かしている傑作(続)

2019-06-16 02:24:38
kemofure @kemohure

(続)「魔の者も救ってこそ勇者ではないか」というのは、DQでも、DQ4リメイクとかDQ9とかDQ11でもテーマになっていて(DQ10バージョン5もこれがテーマとなる模様)、「えんどろ~!」は、「勇者と魔王が戦う世界のシステム自体を変えよう」となって勇者と魔王が協力して変えてゆくのが凄く面白い。

2019-06-16 02:27:07
kemofure @kemohure

これは本当に堀井雄二さんの功績だと思っていて、DQの場合は勇者がRPGにおけるただの強者や英雄ではなく、「世界を救う為に戦う善の存在」として位置づけられているので、社会に対するコミットメントの要素を必然的に含むんですね。DQ系JRPGパロディも社会も巻き込んだ話に必然的になっていく。

2019-06-16 02:32:56
kemofure @kemohure

「えんどろ~」の第九話なんかも異文化における理解し難いものであっても、それを多様性として如何に許容するかという文化人類学的な話で、海外で物凄く高い評価受けていて、上手いなあと思いましたね。

2019-06-16 02:36:46
chitose @kasega1960

@kemohure 一連のツイート、最近のアニメやゲームに疎い私にとって非常に勉強になりました。ありがとうございます。

2019-06-16 02:43:23
kemofure @kemohure

海外だと上流階級(富を持つ層)ほど長生きで、貧困層(富を持たない層)ほど寿命が短くなるというのがコンセンサスだけど、日本だと高度経済成長期以降は中流幻想が強いからこういったデータが出てこなくなっている感じ。

2019-06-19 14:34:55
kemofure @kemohure

>テルパドールの砂漠のど真ん中でビアンカと 久美沙織さんののDQ5小説の主人公夫婦の初夜シーンは、リュカ(DQ5主人公)の奴隷時代に傷つけられた傷痕を見て怒ってその傷痕一つ一つに口付けするシーンが名シーンで凄い。ビアンカは奴隷時代一緒にいなかったとかそういう批判を吹き飛ばすパワーがある。

2019-06-19 14:56:48
kemofure @kemohure

エロティックすぎて今回の映画では採用されないだろうけど、映画監督のゴダールが『映画にいて愛を示す時にエロティック描写が絶対に必要になる時があります』(ゴダール、デュラス対談)って言っていたのを思い出す。

2019-06-19 15:00:14