カテゴリー機能は終了いたしました。まとめ作成時にはタグをご活用ください。
0
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
コトブキはカンフーを向けた。「人語を解するカラテビーストも居る……そういう事ですか?」「待て」「覚悟してください。禍根を残してはなりません」「ノー、ノービースト」コヨーテの姿が歪んだ。一瞬後、そこに立っているのは動物ではなく、黒髪の痩せた男である。コトブキは息を呑んだ。 0
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
男は整った顔立ちをしており、痣のような薄紫の隈をもっていた。髪を後ろに撫でつけ、ヒガンバナの刺繍が施されたサテンのスタジアムジャンパーを着、口の端を歪めた笑みを浮かべている。見るからに樹液ファーマーとは違った世界の人間であり、この森の気候にもそぐわぬ姿。異様なアトモスフィアだ。 0
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「旅人よ。俺はアンタらに用があって訪れたのだ」男はかしこまって言った。言いながら、しかし、少し笑っている。コトブキはこの男を油断ならぬ存在だと感じた。「お名前は」「ああ、そこから始めたほうがいいよな。礼儀作法は大事」彼はアイサツした。「ドーモ。フィルギアです」 0
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
【エンター・ザ・ランド・オブ・ニンジャ】#3 pic.twitter.com/wrHG9UY1Go
 拡大
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「ドーモ。わたしはコトブキです」コトブキはアイサツを返した。そしてカンフー・カラテを構え直した。「よくない事を胸に抱いてわたしたちを追ってきたのなら、鉄拳制裁します」「イヒヒヒヒ……警戒心が強いってのは悪い事じゃないよな」フィルギアは笑った。「俺、この前シトカに寄ってさ」 1
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「シトカ?」「昔の仲間が居てね。キミも知ってる奴さ。スーサイドって名乗ってるだろ」「……!」「そう、そいつ。俺、十年前にアイツとネオサイタマでつるんでた。元気そうで良かったよ。俺、テレビでシトカの日蝕の天変地異を見てさ……ちょっと気になって、色々調べまわったワケなんだよ」 2
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「スーサイド=サンの事、本当ですね?」「なに?アイツの人となりかい?そうだな、コロナが好きで、いっつもイライラしてて、几帳面で口うるさい。楽しい奴さ」「ウーン……」「こんな事に嘘はつかない……俺の目を見てくれればわかるだろ」コトブキはフィルギアをじっと見た。「……わかりました」3
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「わかったの?大丈夫?ホントに?」「そうですね。わたしは節穴ではないので、害意が無い事は理解しました」コトブキはカンフーを解いた。「それで、何の御用ですか」「ニンジャスレイヤー=サンに会いたくてさ。伝えたい事が幾つかあって」「彼は面会謝絶です」「参ったね」 4
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
強い風が吹いて、赤いモミジを巻き上げた。コトブキは髪を押さえた。「立ち話もなんですから」彼女はドアを開けた。「一階になら入ってもいいですよ」「ありがたい。そこそこ長旅でさ。キミらと同じく……」 5
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
コトブキはフィルギアを座らせ、モミジのチャを淹れた。フィルギアは待たされている間、手持ち無沙汰に応接室の調度を見回した。「快適そうな家だなァ」「持ち主はもう亡くなったそうなんです。それで、使う事ができました」「ああそう。殺されたの?この国、物騒だからね」「物騒」 6
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
コトブキはチャのカップを持って、フィルギアの向かいに座った。「わたし達、シトカからずっと陸路で旅をしてきました。猛獣が黒帯を締めていて、危険でした」「ああ。タイクーンのカラテビースト。あれはタイクーンが作ったんだ。この地のモミジと同じにね。……この国の名は『ネザーキョウ』」 7
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
フィルギアの目が何らかの凄みを帯びた。それは時を経て来た者がもつ説得力とでもいうべきものだ。「タイクーンは故郷を懐かしんで、理想化された世界を作った。勝手にね」……コトブキはチャを口にした。……(何てことをしてくれた!)ヘヴィフィードの戦闘直後の情景が、村人との会話が、蘇った。8
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
……イクサが終わると、何人かが応急処置を手伝ってくれた。だが、恐怖にとらわれた者もいた。「殺ッちまった……!や、奴の兄貴が知ったら……どうなるか……!」「仲間が居るのですか」コトブキは尋ねた。「ああ、そうだ、ヘヴィフィードには血を分けた実の兄弟あり。そちらの方が偉いニンジャだ」 9
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「どうする……!」「ワシら皆、殺されっちまう……!」「おしまいじゃ!」樹液ファーマー達が言葉を交わした。「一体、どのような兄なのですか?」「残虐非道、炎を纏う恐るべきニンジャで、村一つ丸焼きにして、そこを畑にするっちうんじゃ!」「愛する弟が死んじまった事がバレたら……!」 10
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「お、お前らのせいだぞ!」取り乱した村人の一人がコトブキを指さした。「下手に刺激すッから!いや、刺激じゃ済まねえ!こんな、イッキみてえな事……!」「そうだ!」何人かが同意した。しかし、「バカモノ!」彼らを一喝したのはジェイソン氏だった。「このお二人は命の恩人だぞ!わからんか!」11
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
恐怖に駆られ、責める相手を無理に探そうとしていた者達は我に返り、恥じ入った。ジェイソン氏はコトブキに詫びた。「スミマセン。しかし、こいつらの恐れもわかってやってほしい。ワシらは生殺与奪をタイクーンとその尖兵に握られておるんです。そういう暮らしなのですよ」 12
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「ニンジャの親玉ですか」「この国の支配者です。もっとも偉い」ジェイソン氏は遠い目をした。そして尋ねた。「あなた方、どこから来なすったね。こんなところに」「シトカです。ウキハシを使ってネオサイタマに行きたいのですが……」「ウキハシ?」「ウキハシって何じゃ」村人達が囁く。 13
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「その……」コトブキは言葉を探した。「都市に行きたいのです。調べたところ、一番近い主要都市がバンクーバーで、そこまで行く事ができれば」「バンクーバーに行きなさると?ヒ、ヒッ!」奇妙な神がかりの老いた女が進み出た。「アア、キネコ=サン!怪我人はこちらじゃ」ウィッチドクターなのだ。14
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「ヒヒーッこの者かえ!」老女は痙攣じみて叫び、マスラダに駆け寄った。「ナァンニンジャ!ニンジャナァン!」「だ、大丈夫です!応急処置はわたしが行いましたから……」「スピリットの助けで治癒が倍加される!わかっておるか!ナァンニンジャ!ニンジャナァン!」祈祷!「わかりました……」 15
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
老女はドゲザ状態、合掌した手を頭の上でこすり合わせた。「ナァンニンジャ!ニンジャナァン!」「ありがとうございます……」「バンクーバー!ヒヒーッ!」彼女は急に顔をコトブキに向け、笑った。コトブキは鼻白んだ。「わたし、何かおかしな事を言ったでしょうか」 16
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「ここから南!バンクーバーまで!そんな大それた事が出来るとは思わんね、かわいらしいウキヨのお嬢ちゃん」老いた女は垂れ下がった瞼の下で瞳を不穏に輝かせた。「タイクーンの支配地を、黙って通過できるとはお考えなさるな!」「タイクーン……?」 17
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「タイクーンはこの地のカエデを好んだ。故郷のモミジに似ているとね。そして作り替えた。木を、草を、獣をね!大いなる呪いじゃァ。タイクーンは十年のうちに、すっかりこの地を歪めちまったよ。ご覧、黒漆瓦屋根の家々を。血の川も直に見える。五重塔には気をつけなされ。ニンジャの見張りがおる」18
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「五重塔?」「気をつけなされや!ウキヨ!」老女はコトブキの手を握りしめた。「暗黒メガコーポの連合軍はタイクーンのニンジャ軍と激しくイクサしておる。ヒ、ヒヒ!文明の連中はこの地の蜜に目がくらんどる。じゃが、どだい無理よ!」喉を鳴らして笑う! 19
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「すぐにわかる!燃える龍の名はオオカゲ!タイクーン御自ら鞍にまたがりィー……!」「婆さん、よせ」村人が制する。「婆さんはおかしなものを見過ぎたんだ」しかし聞き入れない。「付き従うはアケチ・シテンノ!その無慈悲なるカラテ!邪悪也!邪悪也!ま、マ……マッポーカリプス!ナァァウ!」 20
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
……「マッポーカリプス……」コトブキは呟いた。フィルギアは瞬きした。そして頷いた。「そう、言うならば、マッポーカリプスだ」「……」コトブキは我に返った。「村の方が、タイクーンの話をしていました」「うん?」「タイクーンとは何者ですか?征服者なのでしょうか」 21
残りを読む(24)

コメント

ログインして広告を非表示にする
ログインして広告を非表示にする