カテゴリー機能は終了いたしました。まとめ作成時にはタグをご活用ください。

2019年3月の日本医大救急での講演「救急・集中治療における感染症治療のminimum essentials」の内容

2019年3月に日本医大救急で開催された第2回心肺脳蘇生Updateセミナー(旭化成ゾールメディカル後援)の講演「救急・集中治療における感染症治療のminimum essentials」の内容
敗血症 抗菌薬 プロカルシトニン カルバペネム
7
EARLの医学ツイート @EARL_Med_Tw
だいぶ前に、講演のツイートすると言いつつほったらかしにしてたぶんを今からツイートします。日本医大救急で講演させていただいた「救急・集中治療における感染症治療のminimum essentials」です。、
EARLの医学ツイート @EARL_Med_Tw
重症患者を扱うER・ICUにおいては、広域抗菌薬(あるいは抗菌薬併用)は予後改善のための武器であることは確かである。だが、同時に抗菌薬はサイレントキラーであることも認識しておく必要がある。決して無害なものではない。
EARLの医学ツイート @EARL_Med_Tw
「ERに来た敗血症の経験的抗菌薬治療は広域カバーで!」とされることが多いが、外さないためならどこまでも広域にしていいのだろうか?敗血症は緊急疾患であり、ガイドラインにおいては有効な抗菌薬を1時間以内に開始することが推奨されているが・・・
EARLの医学ツイート @EARL_Med_Tw
日本版敗血症診療ガイドライン2016の「抗菌薬を1時間以内に開始」の推奨文はワーキンググループ内の議論の末、私が作成したものである。しかしながら私個人の考えとしては、1時間以内という文言はいれたくなかったのが本音であり、「できるだけ早くに適切な抗菌薬を開始」としたかった。
EARLの医学ツイート @EARL_Med_Tw
敗血症において、抗菌薬を制限時間内に開始する研究はすべて観察研究であり、メタ解析(PMID:26121073)においては、抗菌薬投与開始が敗血症認知から1時間以内の方が1時間以降よりも死亡リスクが低い傾向がある(有意差はない)。
EARLの医学ツイート @EARL_Med_Tw
しかし、観察研究の限界であるが、抗菌薬開始の遅れは敗血症治療そのものの遅れと同期している可能性があり、抗菌薬の遅れよりも急速輸液やカテコラミン投与の遅れなどが死亡リスク増加に寄与しているのではないかとも考えられる。RCTが存在しない以上、この疑問は解決されないが倫理的に困難であろう
EARLの医学ツイート @EARL_Med_Tw
では、敗血症に対して抗菌薬を実際にどの程度の時間で現場では投与できているだろうか?後ろ向きコホート研究(PMID:23911021)では、敗血症性ショックに対する抗菌薬投与までの時間は120分であったとしている。しかし、「適切な」抗菌薬投与までの時間に限定すると188分と伸びていた。
EARLの医学ツイート @EARL_Med_Tw
ただ抗菌薬を投与するだけではなく、「1時間以内に」「適切な」抗菌薬を投与することは実臨床ではそれなりのハードルがあるため、ERに抗菌薬を保管する、ASTと迅速に連携がとれる、グラム染色や迅速キットの利用などの様々な工夫が必要である。
EARLの医学ツイート @EARL_Med_Tw
適切性と1時間以内を達成するために「じゃあとりあえずすぐにカルバペネムでいいじゃん」というわけではない。経験的治療でカルバペネムが適応となる状況は実は非常に少なく、せいぜい以下の状況くらいである ・市中感染症では壊死性軟部組織感染症のみ ・FN等の免疫不全患者 ・医療関連感染で重症
EARLの医学ツイート @EARL_Med_Tw
また、カルバペネムを使う以上、カルバペネムが効かないものも知っておく必要がある。 ・MRSA/MRCNS ・腸球菌(E. faecium) ・MBL産生菌 ・KPC ・S. maltophilia ・B. cepacia ・レジオネラ,マイコプラズマ,クラミジア ・C. difficile ・ウイルス,真菌,寄生虫
EARLの医学ツイート @EARL_Med_Tw
第108回医師国家試験にこのような問題が出題された。診断としては肺炎球菌髄膜炎であるが、問題は選択肢である。メロペネムは正解選択肢とされているが、私はこれは不適切問題と考えている。少なくとも感染症医であればメロペネムは選ばないのではないか。 pic.twitter.com/J1ThHnWr7U
 拡大
EARLの医学ツイート @EARL_Med_Tw
細菌性髄膜炎診療ガイドライン2014では確かに、免疫能正常な若年市中感染の細菌性髄膜炎ではカルバペネムが推奨されている。 しかし、日本では肺炎球菌の約5%がカルバペネム耐性であり、セフトリアキソンよりカルバペネムが優先する推奨は疑問視せざるを得ない pic.twitter.com/5ygaBAcqhv
 拡大
EARLの医学ツイート @EARL_Med_Tw
免疫不全ではカルバペネムが適応となるケースは確かに増えるが、免疫不全も様々で、カルバペネムでは外すこともある。免疫不全で重要なのは 「何が原因で免疫不全になって」 「どのような免疫系が異常で」 「どのような微生物の感染が生じるか」 であり、それに応じた抗微生物薬が必要となる。 pic.twitter.com/VqQueMuaip
 拡大
EARLの医学ツイート @EARL_Med_Tw
グラム染色に関しては海外ではあまり重要視されていない。海外研究ではグラム染色の使用に関する研究結果は芳しくないが、そもそも海外の研究はグラム染色でグラム陽性・陰性、球菌・桿菌の4パターンしか見ていない。Sanford Guide(熱病)に至ってはグラム染色による原因菌絞り込みが考慮されていない pic.twitter.com/v0xBuiMiNZ
 拡大
EARLの医学ツイート @EARL_Med_Tw
感染症医や微生物検査技師レベルでなくとも、グラム染色で肺炎球菌、連鎖球菌、黄色ブドウ球菌、腸球菌(慣れればfaecalisとfaeciumの区別も可能)、インフルエンザ桿菌、アシネトバクターなどは判別可能である。ERでの検体取扱いの関係上、感染対策をしっかり行った上でERでのグラム染色は有用である
EARLの医学ツイート @EARL_Med_Tw
グラム染色ネタでの症例報告。特に海外渡航歴のない23歳女性。発熱、咳嗽、呼吸困難で受診、胸部X線で肺炎と診断。喀痰グラム染色は画像の通り。さて、原因菌は? pic.twitter.com/H844G6sJo5
 拡大
EARLの医学ツイート @EARL_Med_Tw
グラム陽性と陰性、球菌と桿菌が混在。この特徴はアシネトバクター。本患者はAcinetobacter baumanniiによる市中肺炎であり、入院後25時間で死亡している。
EARLの医学ツイート @EARL_Med_Tw
これは、A. baumanniiによる劇症型市中肺炎であり、環太平洋亜熱帯地域からの報告が多く、急激な転帰をたどる新興感染症で、死亡率は6割前後。温暖化に伴ってか日本でも報告がでてきており、死亡率はやはり非常に高い。抗菌薬感受性は非常に良好であるにもかかわらず予後不良であり、劇症化要因は不明
EARLの医学ツイート @EARL_Med_Tw
市中肺炎患者の喀痰グラム染色でアシネトバクターを見つけた場合、劇症化を想定し、人工呼吸器のみならずECMOまでスタンバイするくらいの覚悟で迅速に動く必要がある。培養結果まで待っていては後手に回り手遅れになりかねない。
EARLの医学ツイート @EARL_Med_Tw
敗血症っぽいけど原因菌(というより感染巣)が分からないケースを経験したことはないだろうか?このようなケースでは抗菌薬の選択はかなり迷うことになる。場合によっては非感染性疾患かもしれない。そのようなケースを検討した報告がある(PMID:27816060)
EARLの医学ツイート @EARL_Med_Tw
本研究では、敗血症性ショックが疑われた508例のうち、24時間以内に感染巣まで確定診断できたのが3/4程度であった。24時間以内に確定診断できなかった残り1/4の特徴は、24時間以内群と比較して、糖尿病が多い、体温が低い、GCSが低い、CRP・プロカルシトニンが低い、であった。
EARLの医学ツイート @EARL_Med_Tw
さらに、この24時間以内に確定診断に至らなかった患者のうち、約1/4は遅れながら感染巣の診断に至った一方、約1/2は敗血症性ショックに類似した非感染性疾患(Sepsis mimickers)であった。また、最後までショックの原因が特定できなかったのが1/4であった。
EARLの医学ツイート @EARL_Med_Tw
24時間以降に遅れて感染巣が特定できた患者の感染巣のトップ3は肺、尿路、腹部であり、一般的な敗血症の疫学トップ3と同じであった。つまり、初期に感染巣が同定できなくともやはりこのメジャーな臓器はおさえておかねばならなず、一度は否定しても再度見ておく必要がある。
EARLの医学ツイート @EARL_Med_Tw
一方、敗血症性ショックのように見えて実は違ったSepsis Mimickersで特に多かったのは、薬剤性(メトホルミン、降圧薬、プロポフォールなど)、腸管虚血、悪性新生物であった。
EARLの医学ツイート @EARL_Med_Tw
ERでの敗血症以外でERの先生方が経験する感染症はICU入室中の患者の医療関連感染症である。「ICU患者の二次感染では耐性菌リスクを考慮して広域カバーで」というのははたして適切であろうか?
残りを読む(39)

コメント

コメントがまだありません。感想を最初に伝えてみませんか?