独占禁止法・下請法違反の疑惑に対するクリエイターの対抗策は

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すずき @michsuzu

現地現場に突撃するレポーター。新しいことやゲーム、データ分析、秋葉原が大好きです! エンタメから政治経済まで、データを動画にする動くグラフVTuber。株主総会マニアで、電子書籍『株主総会に行こう! すずきの潜入ドキュメント』も出版。アイコンは浅葱くるみさん作。人間っぽいアカウントのフォローはお返しします

michsuzuki.hatenablog.com

すずき @michsuzu

Q 『けものフレンズ』のたつき監督が「脚本料や脚本印税を1円ももらっていない」と昨年9月に発言。脚本担当者は放送開始時には田辺茂範名義でしたが、たつき名義に変更されています。脚本担当者と認めたにもかかわらず、脚本料や脚本印税などを支払わないのは下請法違反では #テレビ東京株主総会 pic.twitter.com/jK2zMrTmHb

2019-06-25 11:37:00
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すずき @michsuzu

→ また『けものフレンズ2』の制作は本来たつき監督に依頼されていたそうですが、たつきさんが所属するアニメスタジオの福原慶匡プロデューサーによると制作途上で突然、製作委員会から降板を宣告されたそうです。これは独占禁止法や下請法に違反しているのでは #テレビ東京株主総会

2019-06-25 11:37:00

このツイートを見て考えたのですが、下請けが元請けに嫌がらせや不利益を受けた場合、下請けが泣き寝入りをしないためにはどのような対処が必要なのでしょうか

師走トオル @SiwasuToru

物書き、ライター、漫画原作。 主な著作:『火の国、風の国物語』 『僕と彼女のゲーム戦争』 『無法の弁護人』『フリーランスが知らないと損する お金と法律のはなし』等(既刊52冊)。ゲームシナリオ10作。電ファミニコゲーマーに不定期企画記事を掲載中。 詳しい履歴・お仕事のご依頼窓口はこちら↓

december.sblo.jp/category/64589…

師走トオル @SiwasuToru

フリーランスの告発が度々話題になりますが、弁護士さんに聞いたこの話は知っておくといいかも。 「こんな被害受けました!」 ではなく、 「●●という企業から独占禁止法に違法する行為を受けました。公正取引委員会に報告するため、同じ被害を受けた人を探しています」 という方向にすることです

2019-06-26 16:22:04
師走トオル @SiwasuToru

まずこういった告発の場合、よく問題になるのが「職務上知り得た秘密」を公にしてしまうという、いわゆる守秘義務違反になるリスクがあることです。

2019-06-26 16:24:51
師走トオル @SiwasuToru

ただ一般論として、「違法行為の立証に必要な情報」を公にして守秘義務契約に違反したとしても、裁判で負ける可能性は非常に低くなるんだそうです。 注:あくまで一般論です。ケースバイケースです。

2019-06-26 16:24:51
師走トオル @SiwasuToru

ちなみに発注企業を下請法で公取委に報告した際、発注企業が報復と受け取られかねないような行為をすることは禁止されていることも覚えておくと役に立つかも。報復措置の禁止(第4条第1項第7号) jftc.go.jp/shitauke/shita…

2019-06-26 16:30:28
師走トオル @SiwasuToru

で、なんで「同じ被害受けた人探してます」という方向ならいいのか、という話になりますが。たとえばフリーランスが発注企業から、 ・ギャランティが支払われない、減額された ・納品後、60日以内に支払いがない ・受け取りを拒否された、案件を一方的にキャンセルされた といった被害を受けた場合、

2019-06-26 16:30:28
師走トオル @SiwasuToru

適用されるのは独占禁止法の「優越的地位の濫用」になります。ややこしいこというとケースによっては下請法の方が先に適用されるんですが。 また優越的地位の濫用に一番詳しいのはこのPDFでしょうか・・? jftc.go.jp/hourei_files/y…

2019-06-26 16:30:28
師走トオル @SiwasuToru

で、独占禁止法の「優越的地位の濫用」を公正取引委員会が認めるかどうかのポイントの一つに、「行為の広がり」があります。つまり一つの会社による違法行為の被害者が一人ではなく、より広く行われていると判明した場合、「優越的地位の濫用」を認められやすくなるわけです。

2019-06-26 16:31:24

つまり、同一の企業が複数のクリエイターに対して不利益を与える行為をした場合、発覚するに応じて訴訟リスクが高くなるということですね

師走トオル @SiwasuToru

なので、「独占禁止法違反を公取委に報告したいので、この会社のこれこれいう案件で同じ被害を受けた人を探しています」という違法行為立証の形を取れば多少のリスクが減らせるというわけです。

2019-06-26 16:31:24
師走トオル @SiwasuToru

ところで、この一連の話には極めて重要な大前提があります。 お気付きの方もいるかもしれません。気付いたあなたは鋭い。 それは「受けた被害が、本当に違法行為に該当するかどうか」です。

2019-06-26 16:32:12
師走トオル @SiwasuToru

厄介なのは、「自分が受けた被害が違法行為に該当するかどうか」です。しかしこれを素人が判断するのは極めて危険です。まず弁護士さん、ないし下請駆け込み寺に相談しましょう。zenkyo.or.jp/kakekomi/

2019-06-26 16:32:13
師走トオル @SiwasuToru

ところが専門家に聞いたとしても、「あなたが受けたのは違法行為です」とは言ってくれません。「あなたが受けたのは違法行為である可能性があります」ぐらいになります。仕方ないんです、片方から聞いた事情だけで判断できることでもないので。なお最終的に認定するのは公取委か裁判所。

2019-06-26 16:35:27
師走トオル @SiwasuToru

つまり、ある程度のリスクはあります。でも「これは間違いなく違法行為だ!」と断定でき、他に取れる手段もなく、泣き寝入りするぐらいなら公開SNSでの告発に踏み切るのも手段の一つとは言えるかもしれません。でも事前に専門家に相談しよう!

2019-06-26 16:35:27
師走トオル @SiwasuToru

ただ、個人的に一番言いたいのは↓コレでして。 仮にギャランティの不払い行為があった場合、まずは 「ギャランティ支払って頂けないのなら御社の違法行為を公正取引委員会に申告し、また違法行為立証に必要な範囲で守秘義務契約を破棄させて頂きます」 と交渉するのがオススメ。

2019-06-26 16:35:27
師走トオル @SiwasuToru

なお、ここに書いたことは大体この本執筆のために弁護士さんに取材した話です。amazon.co.jp/dp/4800720621

2019-06-26 16:38:30