小学館の学習漫画『少年少女日本の歴史』の凄さ

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うおりゃー!大橋@最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

きのう、本屋で朝日の「マンガ日本史 第二シーズン創刊号」を立ち読みした。「まさに深夜アニメ」みたいなヤマトタケル。鮮やかなCG。ハッタリ効いたジャンプ漫画の構成。「これがイイんです!」という若い人も多いんだろうなあ。僕には合わないみたいでした。でも売れてるんなら、イイんじゃないの

2010-10-13 10:08:25
うおりゃー!大橋@最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

「マンガ日本史」が学習漫画なのかどうかは、知りませんが。「勉強に役立つかどうか」をよく考えて作ってある感じはしなかったな。親として、子供に与えたい「歴史学習漫画」としての最高峰は、「小学館版 日本の歴史」と「人物 日本の歴史」。発売から相当たってるけど、いまだに最強。

2010-10-13 10:13:37
うおりゃー!大橋@最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

「小学館版 日本の歴史」は、監修の大学の先生が、「嘘や間違いは一切許さない」と、重箱の隅つつくように監修したため、漫画なのに、「おそろしく地味」になってしまった。「漫画的魅力」に乏しい。でも、漫画家さんが、「伝統工芸士」のような熱心さで仕事していて、内容の本気度は空前絶後。

2010-10-13 10:18:00
うおりゃー!大橋@最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

「小学館版 日本の歴史」は、5〜6人の優秀なスタッフが、よってたかって、何年も費やした事業。本が出ようと出まいと、お金はどんどん出て行くわけで。どう考えても、版元が最大限に「前向きに早いうちにお金を出していかないと無理」だったはず。それに答える漫画家の責任とか覚悟も半端ない。

2010-10-13 10:47:18
うおりゃー!大橋@最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

・・・てな感じのことを頭において、「小学館版 日本の歴史」をジックリながめて見てください。絵描きならば、漫画家ならば、その「異常なひたむきさ」に驚くはず。ただ単にボーッと眺めてると、そういう凄さには気づかない。「地味な漫画だな」ってだけだと思う。

2010-10-13 10:51:20
うおりゃー!大橋@最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

まあ、とにかく「小学館版 日本の歴史」は、学習漫画の金字塔です。そのわりには「学研 ひみつシリーズ」とかに比べると、そのすごさが世の中に伝わってない。読んでいた子供たちには伝わっていたはずの「良さ」 がイマイチ。世間的には認知されてないようなとこがあり、残念に思います。

2010-10-13 11:00:22

うおりゃー!大橋@最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

学習漫画のマエストロ、あおむら純先生が亡くなったそうだ。小学館版「日本の歴史」は、「考証の確かさ」「ディテールの再現性」で、いまだに燦然と輝く金字塔。なんか、目を悪くされてる・・・とか、病気らしいとか人づてに聞いてたけど。ご冥福をお祈りします。

2011-05-16 11:36:21
うおりゃー!大橋@最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

前にも書いたが、ついでなので、またつぶやきます。小学館版「日本の歴史」は、小学館の創立なんたら周年の記念事業とかいうお題目で。80年代、バブルでやたらに景気が良かったころ、小学館が湯水の如くお金をツッこんだ「大阪城みたいな学習漫画」。

2011-05-16 11:49:47
うおりゃー!大橋@最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

監修の先生が、学習院の歴史(とくに貴族文化が専門)の先生で。「イイカゲンなものを描くのは絶対に許さない!」空前絶後の厳格な時代考証で描かれた歴史学習漫画。ありとあらゆる資料を駆使して、貴族の服の柄まで、考証して、手書きで再現している。

2011-05-16 11:53:35
うおりゃー!大橋@最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

漫画執筆の作業の前に。専門のカメラマンさんが、監修の先生の支持で全国の史跡や博物館、歴史研究家を訪ねて、丸一年だかの歳月をかけて、山のような資料写真を撮ったという話もある。お話は、監修の先生の指示により、専門のライターさんが編んだらしいのだが・・・。

2011-05-16 11:57:27
うおりゃー!大橋@最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

「文書として残っている史実」に拘って、「想像力でごまかし、無責任に盛り上げる」ようなことを、排除するような姿勢で書かれているため。全般的にハッタリやメリハリがない。印象はやたらに地味で、良く読まないと「伝わって来ない」ようなとこがある。

2011-05-16 12:00:37
うおりゃー!大橋@最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

あおむら純先生は、アニメの仕事をしていたとか、フジオプロにいた・・・とか、経歴はよく知らないのだが。この「文化事業みたいな学習漫画」の作者として、5〜6人だかの「ちゃんと漫画が描ける漫画家」のスタッフを束ねて、全巻を5年(だったかな?)かけて書ききった。

2011-05-16 12:07:35
うおりゃー!大橋@最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

小学館のほうも、仕事場を用意したり、資金を用意したり。普通じゃ考えられないバックアップ体制だったそうだ。今の時代だと「ページ○○円しか出ないよ。漫画家が自分で、ネットとかでいろいろ調べて。そっちで全てなんとかしてくれ」という、安いし、丸投げだし・・・って、そんなのばっかだが

2011-05-16 12:11:02
うおりゃー!大橋@最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

そういう「激安なデジタル環境」とはまるでちがう、「バブルでアナログで異様に手間ひまかかった」学習漫画でした。伝統工芸品みたいな学習漫画。こんなに手間ひまかけるのなら、なんでオールカラーにしなかったんだろ・・とか思うくらい。ま、そのへんは「昔」だからしょうがないけど。

2011-05-16 12:14:20
うおりゃー!大橋@最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

1ページ作るのに10万くらいかかってんじゃないのかな? まあ、お金の話はよくわかんないんだけどさ。昔はとにかく、資金面でも「本気だった」ってことだね。

2011-05-16 12:17:35
うおりゃー!大橋@最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

大事業「小学館版 日本の歴史」が終わって。集まった資料を有効活用しよう・・・みたいな感じで、切り口と、製作体制を変えて出たのが「人物 日本の歴史」。歴史上の人物の「伝記漫画」として、歴史を学ばせる学習漫画。こっちのほうが、内容はこなれてて、読みやすい。

2011-05-16 12:21:00
うおりゃー!大橋@最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

「人物 日本の歴史」を書いてるのは、あおむら先生はじめ、「小学館版 日本の歴史」に関わったスタッフの漫画家さん。今度は「よってたかって」じゃなくて、「個人個人バラで」一人ずつ何冊か分担してる。そのせいか、背景もわりとあっさり。「小学館版 日本の歴史」の異様さは引っ込んだ。

2011-05-16 12:24:02
うおりゃー!大橋@最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

ハッキリ言って、「漫画的な面白さ」で言ったら、小学館版より前に出てた集英社や学研の歴史学習漫画のほうが、面白いよ。子供読者を喜ばせようと、わかりやすくメリハリつけてるから。でも、時代考証はかなりメタメタで。戦国時代の甲冑が源平の頃の箱鎧だったり。まあ、「そんなもん」な感じでした。

2011-05-16 12:29:01
うおりゃー!大橋@最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

あおむら先生のやった「小学館版 日本の歴史」が、学習漫画のグレードとプライドのターニングポイント。「学習漫画なんか、売れない漫画家の仕事だ」という常識に、本気で抵抗し、チャレンジした・・・「学習漫画界のアントニオ猪木」が、あおむら先生でした。

2011-05-16 12:32:39