2019年6月29日

水族館におけるイルカの飼育に関する論点整理

水族館とイルカとの関係は、イルカを飼育すること、ショーをすることだけでなく、追い込み漁に代表されるような「調達」の方法について批判的な指摘があります。 今回は、そんな水族館におけるイルカの飼育に関する論点をまとめました。 答えを提示するつもりはなく、議論の材料になれば幸いです。 なお、水族館全体に関する論点については、こちらをご参照ください。 続きを読む
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Harasawa.K @AaarcherK

第12回の『日米の事例から考えるイルカショーのこれから』は、イルカショーをいくつかのタイプに分類。そして、媒体の特性を踏まえ、ここでは「ショーのあり方」に焦点を当てた上で、多様なマーケティング・経営スタイルの可能性に触れるにとどめた。 ikimonoaz.ikimonopal.jp/article/43238

2019-06-19 21:59:21
Harasawa.K @AaarcherK

さて、水族館におけるイルカ(鯨類)飼育に関する主な論点は、主に①飼育の是非、②ショーの是非、③調達方法の是非の3つにあると考えています。これらは関連しているのですが、混線すると議論が進まなくなるので、それぞれ区別しながら議論すべきと思います。

2019-06-19 22:00:03
Harasawa.K @AaarcherK

水族館でのイルカ飼育に関する考え方のポジションを簡単にまとめたマップがこちらです。かなり単純化してはいますが、どの問題についてどの方向へ向かうべきか、どの点について理論武装が必要か、といった大きな論点を整理する際の参考になればと思います。皆さんは①〜⑧のどのスタンスでしょうか?? pic.twitter.com/tbXfjVlvvJ

2019-06-19 22:01:30
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Harasawa.K @AaarcherK

はじめに、この手の議論で一番多いと感じるのが「動物の権利」と「動物福祉」との混合です。概念的に似てると言われますが、理論としての区分は比較的明快で「動物の利用を前提とする」のが動物福祉です。ですので、家畜や動物園水族館の文脈で「動物の権利」を持ち出すと、議論が停止しがちです。

2019-06-19 22:02:15
Harasawa.K @AaarcherK

もちろん、動物の権利の観点から水族館の廃止を訴える人がいても言論の自由だと思いますし、そういう議論も真摯にすべきですが、ちゃんとステージを分けて議論すべきと思います。今回の議論は、水族館はどうあるべきか、の議論をすることが目的ですので、基本的に水族館の存在を前提にします。

2019-06-19 22:03:06
Harasawa.K @AaarcherK

イルカを飼育することの是非(論点1)としては、確かに飼育自体を禁止する方向にある国もありますが、まだ多数派とまでは言えない状況です。飼育は認めても「ショー」はダメ、というのは欧米でも共通する議論であって、現に「飼育」の延長でトレーニングや保全の様子を「見せる」水族館はあります。

2019-06-19 22:03:32
Harasawa.K @AaarcherK

ショーの是非(論点2)では、飼育はOKが前提ですので、エンタメ的な魅せ方の議論とも言えます。この辺りから、動物園寄りの発想の方の中には、否定的な人が増えてくると感じます。ここでは、パフォーマンスを行うことにどのような意義・目的があるかを、きちんと説明することが求められます。

2019-06-19 22:04:42
Harasawa.K @AaarcherK

飼育もショーも、突き詰めると、それを通じて「何を実現するのか?」という点が重要で、保全、教育、研究などの伝統的な説明を含めて、水族館側は説得力をもって説明できるようにしなければいけないと思います。とりあえず日本では、飼育自体を問題視する議論はまだ少ないですね。

2019-06-19 22:04:59
Harasawa.K @AaarcherK

その上で、批判を受けやすいショーについては、より細やかな説明が必要と思います。実際がどうかは分かりませんが、適度な刺激がエンリッチメントに資する、教育効果が高い、保全が進みやすい、などがあれば説得力はありそうですね。その意味で、効果測定と開示がより一層求められると考えています。

2019-06-19 22:06:34
Harasawa.K @AaarcherK

そして、飼育やショーの是非とは別に、調達に関する議論(論点3)が存在します。この調達方法の問題については、動物園と水族館の関係者の中でも意見が割れやすく、口論の場面も目にしてきました。。なお、調達方法の議論は飼育を前提になりますので、議論の際には混合しないよう注意が必要です。

2019-06-19 22:07:01
Harasawa.K @AaarcherK

端的には、主にコストの問題で繁殖よりも野生からの導入が選択されてますが、これは実は動物園水族館の根源的な論点に繋がります。つまり、水族館関係者は「持続可能であれば野生からの導入は是か」をよく議論しなければならないと思います。これは鯨類に限らずあらゆる生物の調達に共通のテーマです。

2019-06-19 22:07:39
Harasawa.K @AaarcherK

つまり、それが生態系に影響を与えないという前提において(絶滅危惧種をどんどん捕獲するのは論外ですので)、水産物として消費することとの違いを論理的に説明するのは意外と難しいです。しかし、現実には今回のニュースの通り、食用より飼育用というロジックが選択され、批判の対象になりました。

2019-06-19 22:09:29
Harasawa.K @AaarcherK

これは、たくさんいるのになぜ?という漁師の素朴な声との対話でもあります。これを「世界の流れ」で説明するとナショナリズムを煽るだけなので、冷静な論理が求められます。現実の問題として、世論の否定的な感情に対して、水族館側も調達責任としてきちんとした説明をすることが必要かと思います。

2019-06-19 22:09:51
Harasawa.K @AaarcherK

なお、誤解無きように申し添えますと、理論は理論で考えつつ、私の実務的なスタンスとしては、鯨類については繁殖による調達(園館での融通を含む)のための投資を行うべきであり、それを実現するためのステップとして、経営学という立場から収益力を高める仕組みや方法を提起しています。

2019-06-19 22:10:04
Harasawa.K @AaarcherK

最後に、改めてマップを振り返ると、全否定の①に対して、欧米の水族館(WAZA)も②〜④と一枚岩でなく、福祉が提供しきれないという理由で②を選択するのは日本には無い流れだと思います。日本では、経済的現実路線として⑤⑥があり、⑦や⑧は特にたくさんの論点に囲まれているという状況ですね。 pic.twitter.com/Qwbs5qtZ5v

2019-06-19 22:10:47
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コメント

Nina Z @ninazrdl 2019年6月29日
飼うのは教育にいいと言うならそうかもしれないけど(野生のイルカを見に行けない子供もいるから) ショーでしか見れない、普段のイルカの生活とかも見れないのはどうかと思う
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denev @_denev_ 2019年6月29日
牛を殺して牛肉を食うことが倫理的に許されるなら、動物を見世物ショーでコキ使うのなんて倫理的に何の問題もないでしょう。
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