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コ・ソンナム@イナゴ身重く横たわる(고성남@메뚜기는 무겁게 짓누른다) @3Tf8Yj3Rb20pjdL
【コ・ソンナム論文】中国音韻学における中古音の推定音価と日本漢字音に照らした、朝鮮漢字音に寄せる比較検討
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Ⅰ.朝鮮漢字音の特性・朝鮮語の音韻体系 断続的な流入という歴史的背景から呉音・漢音など複数の発音がある日本漢字音と違い、中国と陸続きであった朝鮮漢字音は一字一音を原則としている。
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しかしながら朝鮮語においては表音文字の確立時期が比較的遅く、李氏朝鮮時代の世宗皇帝期、訓民正音(ハングル)の制定(1446年)まで待たなければならない。 従って、現在確定的に述べることができる朝鮮漢字音は、古くとも15Cのものであり、それ以前の漢字音などについては不明な点も多い。
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また、訓民正音の制定当時は子音17、単母音11であったが、現在では子音14(他に濃音=各自並書5。激音は子音扱い)、単母音10(他に複合母音11)に収斂している。
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従って現在の朝鮮語の音価は、表記上は母音21×子音19の399音である。ただし21の母音の中には現在、区別が失われているものが「e」二種類、「ye」二種類、「we」二種類乃至三種類あるため(母語話者でも区別なし)、実際の母音数は18乃至17である。従って実際に用いられる音価は、323又は342音である。
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日本の五十音における子音の分類が五音の影響を受けている事実とパラレルで論ずることもできるが、訓民正音の制定時にも、中古音における五音が子音の記号制定に深く関わっている。
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日本語の子音と五音の関係は以下の通り(歌舞伎十八番「外郎売」、1718年成立より。構造主義の観点から、あえて当時の文芸作品に典拠を取った)。 ア行:喉音 カ行:牙音 サ行:舌音、歯音 タ行:舌音 ナ行:舌音 ハ行:唇音 マ行:唇音 ヤ行:喉音 ラ行:舌音 ワ行:喉音
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これに対して朝鮮語では、訓民正音において以下の制字原理によって「音価」の定義が決まった。 一、初声・中声・終声(閉音節、パッチム)の三要素 二、初声字の基本子音17字+各自並書6字、計23字は五音と対応 三、終声は母音たる中声ではなく、子音たる初声字をもってこれに宛てる
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朝鮮語未習者に分かりやすく喩えると、例えば「東方不亮 西方亮(毛沢東)」と言うときの「亮」の現代音価はliangの4声である。 この場合、l(声母)+i(介音=韻頭)+a(主母音=韻腹)+ng(韻尾)と分解することができる。
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朝鮮語における初声・中声・終声は、中国音韻学ではそれぞれ声母・介音及び主母音・韻尾に相当する。
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ただし、韻尾のうちconsonantで終わるものがn及びngに限られる現代中国語に対し、朝鮮語の終声は全てconsonantであり、-p/-t/-kと言った、中古音から現代音に到る過程で、中国語では失われた入声韻のconsonantが朝鮮語の終声、こと朝鮮漢字音では今も面影を遺している点を指摘しておく(合、屋など)。
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中国漢字音の声母・韻母に対し朝鮮漢字音の初声・中声・終声という対立概念をもって分析に当たる手法、及び五音三十六字母との対応関係は訓民正音の2年後、1448年成立「東国正韻」で詳らかにされている。
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その中で15C以前に伝来した朝鮮漢字音を「訛り」として否定し、中国漢字音に人工的に沿わせる「東国正韻式漢字音」というものが提唱された。
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結果としては自然言語である伝来の朝鮮漢字音が勝ち、「東国正韻式漢字音」は朝鮮漢字音の歴史では失敗となった。この経緯は興味深いものではあるが、本稿は朝鮮漢字音修得という語学上の実用を目的とし、その手段として中国音韻学・日本漢字音を参照するに過ぎないものであるから、ここでは割愛する。
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朝鮮語の子音と五音の関係は以下の通り。五音と字母は「二」で述べた二十三子音に対応する二十三字母が「東国正韻」にて示されている(消滅した子音や各自並書の濃音は省略、朝鮮語未習者向け音価は便宜的に福井玲東京大学准教授式のローマ字にて代用)。
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ㄱ(キヨク):g:牙音 ㄴ(ニウン):n:舌音(ナ行に相当) ㄷ(ティグッ):d:舌音 ㄹ(リウル):r:半舌音(ラ行に相当) ㅁ(ミウム) :m:唇音(マ行に相当) ㅂ(ピウプ):b:唇音 ㅅ(シオッ):s:歯音(サ行に相当) ㅇ(イウン):φ:喉音(ア行・ヤ行・ワ行に相当)
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ㅈ(チウッ):j:歯音 ㅊ(チウッ・激) :c:歯音 ㅋ(キウク・激):k:牙音(カ行に相当) ㅌ(ティウッ・激):t:舌音(タ行に相当) ㅍ(ピウプ・激):p:唇音 ㅎ(ヒウッ) :h:喉音(ハ行に相当)
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以上のように比較すると、朝鮮語の五音と江戸時代初期の五音では「ハ行」の音価を巡って五音のうち喉音(朝鮮語)であるか唇音(日本語)であるかの相違のみが見られるが、これはかつて日本語のハ行がファ行のように発音されていたことで説明が可能である。
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なお、日本語のヤ行及びワ行は、朝鮮語の音韻体系ではyやwといった子音が付属するものではなく、母音の一種として処理されるため、そもそも初声はア行と同様、空集合のㅇ(イウン)をもって示される。従って全て喉音として、日本語・朝鮮語の間で一致が見られる。
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最後に、「筆」の上古音の声母がplと推定されることと、現在の「筆」の朝鮮漢字音がpirであることについてだが、朝鮮語の音韻体系では日本語と同様、rとlの区別は存在せず、実際の発音としては舌先が上顎につくことから、むしろ英語のlに近いものであるという事実を参考として補足しておく。
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Ⅱ.日本漢字音の語尾と朝鮮漢字音の対応原則と例外 朝鮮漢字音の学習においては、日本語の音韻体系では「ん」の発音がnであろうがngであろうが同じ表記という特性から、ニウン(n)とイウン(ng)を終声に持つ漢字音を暗記する際、どちらがどちらであるのか混同するという現象が初学者には見られる。
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例えば「上」という漢字は、朝鮮語の音価では「sang」である。しかしながら「サン」と日本語の音で覚えてしまった場合、終声がnであるのかngであるのか、確信をもって運用できないというケースが代表として挙げられる。
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これに関しては、日本語の音読みが「イ」または「ウ」で終わるものは終声がイウン(ng)となり、「ン」で終わるものはニウン(n)となるという原則(合/hapなどが例外の代表例。これは入声のp韻尾が残ったものと、中国音韻学の知見から説明がつく)を覚えておけば、(続
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「n/ng」の混同問題の殆どが解決できる(音/wumのようにmとなるものも存在するが、朝鮮語学習者にとっての関門はあくまで「n/ng」の混同問題であるので、m終声については摘示に留める)。終声がngとなるものが日本漢字音において「イ」「ウ」で終わるという法則については、(続
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すでに中国語学の知見において中古音の流入に際する現象であると原理は解決ずみであるであるので、繰り返し論ずることは避ける。
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