茂木健一郎(@kenichiromogi）さんの連続ツイート第2260回「日本の総与党体質と、NHK政治部報道」

茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート２２６０回をお届けします。文章はその場で即興で書いています。本日は、感想です。

茂木健一郎 @kenichiromogi

今回のG20の報道もそうだったようだけれどもNHKの政治部の報道姿勢がひどい（ジャーナリズムになっていない）というのは多くの人が指摘するところで、私もそう思う。社会部や国際部の報道には見るべきものが多くあるけど、政治部は見る価値があまりないことが多い。しかいこれはNHKのせいというよりも

茂木健一郎 @kenichiromogi

構造問題だと思う。NHKの政治部は、特に志が低いのではなくて、日本の社会の政治、文化状況に「適応」しているだけだと思う。つまりは「優等生」なのだ。日本は戦後政権交代が著しく少ない。２００９年は例外だったが、それは「失敗」であり野党は「悪夢」だったことになっている。このような印象は

茂木健一郎 @kenichiromogi

論理性もエビデンスもなく、「やっぱり野党には任せられないからねえ」というような井戸端談義のような論調で行われるのが常であるが、結果として政党支持率を見ても、与党が圧倒的に多いという「総与党体質」になっている。自分が与党側だと思っていれば安心なのだ。このような状況では、政権交代の

茂木健一郎 @kenichiromogi

現実的な可能性は低く、NHK政治部としても考えざるを得ない。予算は握られているし、番組内容や人事にも口を出されるし、先日の放送とネットの融合などの法案も通してもらわなければならないし、与党に睨まれたら、何しろ政権交代の可能性が著しく低いわけだから、NHKの組織防衛上も与党に忖度した

茂木健一郎 @kenichiromogi

報道をしなくてはいけないという本能が働く。番組などで前面に出て解説する人も与党や官邸に受けの良い人を使っていれば「安全」であって、睨まれることもない。こんな状況では今のNHK政治部のような惨状になるのは生物の適応戦略として当然のことだろう。つまり、NHKの政治部が特に志が低いのではなく

茂木健一郎 @kenichiromogi

単に「適応」しているだけなのである。誠に情けない話ではあるが。与党の幹部の方も、自分たちの政治的な権力を、メディアをコントロールしたり影響を与えたりしてはいけないというような見識や留保があればいいのだが、必ずしもそうではないことは過去の事例を見ても明らかなことである。

茂木健一郎 @kenichiromogi

NHKの政治報道の惨状は、つまり、与党が異常に強く、政権交代の可能性が低く、世論の中にも、与党ならば安心、野党はひどすぎて任せられないという論理もエビデンスも関係ないいわば情緒的な「総与党体質」があるという日本の構造問題の結果なのだと思う。NHKにいたらそうなるのだろう。仕方ない。

茂木健一郎 @kenichiromogi

結果として、私はNHKの政治報道や評論は、あまり見る意味がないと感じている。BBCなどがたまに日本の政治について取り上げるときのほうがよほど批評性があって、参考になるのでそっちを聴いている。本来、日本の議会制民主主義が機能しなくなっていることについてはメディアの責任も大きいはずだが、

茂木健一郎 @kenichiromogi

NHKだけに責を追わせるのは気の毒だと思う。最後に、やっぱり与党が安心、野党は信用ならない、という「総与党体質」の中で「与党」側に属していると安心している国民のみなさん、だから日本は停滞してイノベーションが起こらない国になっているんじゃないですかと、少し自問していただけたらと思う。

茂木健一郎 @kenichiromogi

繰り返し書いているけれども、ぼくは特定の政党を支持するということはなく、むしろ政権交代支持派なのである。与党と野党の立場を両方経験することで、政治家の方々も鍛えられて、新陳代謝が進む。およそ議会制民主主義を標榜している国で、政権交代がここまで少ない、また可能性も低い国が他にあるか

茂木健一郎 @kenichiromogi

与党だけが安心、野党は信用ならないという謎の「総与党気質」が、結果として国を沈滞させ、NHK政治部報道の惨状を招いているのだと私は考える。国益を残っていること、甚だしい。日本はもっとイノベーションを起こして、成長できる国になれるはずだ。

茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート２２６０回、「日本の総与党体質と、NHK政治部報道」をテーマに、１１のツイートをお届けしました。