万有引力の法則(逆2乗則)の逆問題を幾何学的に証明してみた

ケプラーの第1法則(楕円軌道)から、万有引力(逆自乗)の法則を導くことを「順問題」と呼び、万有引力の法則からケプラーの第1法則を導くことを「逆問題」と呼びます。 逆問題は微積を使った証明が一般的で、当のプリンキピアのように、幾何学の言葉で書かれた証明は少ないので、ここにまとめてみました。
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小嶋 徹也 @coJJyMAN

#プリンキピア 逆ニュートン問題〜別解の再挑戦(長文スレ) (0-1)向心力が距離に比例する物体の軌道は、比例定数が負の時には楕円になる。その運動は長軸方向と短軸方向に分解すれば、それぞれが異なる振幅で同じ周期を持つ単振動となっている。

2019-06-30 23:09:58
小嶋 徹也 @coJJyMAN

それぞれの単振動は等速円運動の射影とみなせるので、この物体の運動は、2つの等速円運動を機械的に合成して再現することが常にできる。 (0-2)距離に依存する向心力を受けて運動する物体の軌道は、速度の方向が力の方向と垂直になった場所と力の中心とを結ぶ直線を軸として、必ず線対称になっている。

2019-06-30 23:09:58
小嶋 徹也 @coJJyMAN

これは、運動の第2法則が時間反転に対称であることからあきらかである。 (0-3)距離の2乗に逆比例する力を受けて運動する物体の軌道が、ある限られた領域内にある場合、力の中心を挟んで遠日点と近日点が存在し、軌道は同じ曲率半径を持つ。

2019-06-30 23:09:58
小嶋 徹也 @coJJyMAN

なぜなら、向心力による運動は面積速度一定であり、速度の方向が力に垂直の時は、加速度は(速度)^2÷曲率半径に等しいからである。

2019-06-30 23:09:59
小嶋 徹也 @coJJyMAN

①物体FがSから距離の2乗に逆比例した力を受けて運動しており、近日点はB、遠日点はAだったとする。 ある瞬間に物体FはPにあり、微小な時間にQまで運動したとする。 pic.twitter.com/AwavJyn4ms

2019-06-30 23:12:50
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小嶋 徹也 @coJJyMAN

近日点と遠日点の中間をCとし、Cからの距離に比例したを力を受けて運動している別の物体Gが、同じくPからQまでを物体Fとおなじ面積速度で運動していたとする。 (注:この想定は常にできる。CPに比例した力をうけて、初期位置がPで初速度が物体FのSR/CTであるとした周期運動をしているとみなせばよい)

2019-06-30 23:12:51
小嶋 徹也 @coJJyMAN

②すると、プリンキピア命題7系2&3より、面積速度が同じなので、物体Fにかかる向心力÷物体Gにかかる向心力=SP^2×CP÷CZ^3。ここで、F=定数a/SP^2でG=定数b×CPより、CZはPによらない定数となり、それはCAと常に等しい。

2019-06-30 23:18:36
小嶋 徹也 @coJJyMAN

したがって物体Gは物体Fと等しい面積速度をもって、点Aを通過する楕円軌道を描いて運動する。

2019-06-30 23:18:36
小嶋 徹也 @coJJyMAN

③ここで、上の議論は物体FがPとは別の場所P’にあるときでも全く同じように成り立ち、そこでP’Q’の微小区間を物体Gと別の物体G’が、同様の力=定数b×CP’で同じ面積速度(物体FはPでもP’でも面積速度一定)のとき、この物体G’も地点Aを通過する楕円軌道を描いて、Gと同じ運動をする。

2019-06-30 23:18:37
小嶋 徹也 @coJJyMAN

④したがって、物体Fの軌道を無数の区間に分割して、ぞれぞれの場所で別々の物体G.G’,G’’,,がFと同じ位置で同じ面積速度の初期条件で、点Cに向かって(定数b)×(Cからの距離)の力で運動したとき、すべての物体Gは地点Aを通りおなじ面積速度で全く同一の楕円軌道上を運動している。

2019-06-30 23:18:37
小嶋 徹也 @coJJyMAN

⑤以上より、距離の2乗に逆比例する力をうけて運動する物体Fは、初期条件によって軌道が唯一に定まり、それが閉じた領域内であれば、その軌道は必ず楕円になる。

2019-06-30 23:18:37
とある高専卒業生 @subarusatosi

@coJJyMAN 証明、読みました。 ➁でCZがCAになるというのが分かりませんでした。 何故ですか? (CZがPによらない理由もまだ分かっていません)

2019-07-01 00:08:20
小嶋 徹也 @coJJyMAN

@subarusatosi ありゃ、すみません!②の記述の分子と分母がでした! 「②すると、プリンキピア命題7系2&3より、面積速度が同じなので、物体Gにかかる向心力÷物体Fにかかる向心力=SP^2×CP÷CZ^3。」 が正解です。

2019-07-01 00:30:38
小嶋 徹也 @coJJyMAN

@subarusatosi それで、F=定数a/SP^2でG=定数b×CPより、G÷F=(b/a)×SP^2×CPこれがSP^2×CP÷CZ^3に等しいということなので 「角ACPが任意の角度の場合でも、(b/a)=1/CZ^3が成り立つ。」 と言いたかったのでした。

2019-07-01 00:40:11
とある高専卒業生 @subarusatosi

@coJJyMAN (b/a) = 1/CZ^3なのは分かりました。これはP付近でCZが一定という事を言っていると思います。 疑問は2つあって、 (1)なぜCZ = CAか? (2)bはPによるのではないか? です。 よろしくお願いします。

2019-07-01 01:19:01
小嶋 徹也 @coJJyMAN

@subarusatosi (2)bはPによるのではないか?ですが、これは「PとP'でもbは共通とする」仮定して考察していますので、そもそも除外です。 それで、「これはP付近でCZが一定という事を言っていると思います。」ですが、PとP'が離れていても(b/a) = 1/CZ^3=1/CZ'^3なのでCZ=CZ'です。

2019-07-01 01:26:31
小嶋 徹也 @coJJyMAN

@subarusatosi 以上から、仮にPが直線SCの延長上にあったときは、図のPはAにあり、ZとPとTとRは一点に集中するので、CP=CZ=CAとなります。

2019-07-01 01:37:10
とある高専卒業生 @subarusatosi

@coJJyMAN プリンキピア命題7系2&3を使うためには、bを上手く調節する人があると思います。1点Pで調節する事が出来るのは分かりますが、別の点P'で同じbを取った時、プリンキピア命題7系3が使える状況になっている保証がないと思います。

2019-07-01 01:37:16
小嶋 徹也 @coJJyMAN

@subarusatosi bはうまく調節する必要がなくて、物体G'が点P'でうける力が「b」×CP’のときに、(b/a) = 1/CZ^3=1/CZ'^3となるという論理なので、これでいいです。 これが使える保証は、「力がどのようなものであれ、物体Gの初期条件は任意に取れる」ので、物体FのPでの状態を初期条件にできるからです。

2019-07-01 01:53:14
とある高専卒業生 @subarusatosi

@coJJyMAN 返信ありがとうございます。 初期条件が満たすべき式を考えました。 Pの座標を(x_0, y_0)とし、そこでのGの速度を(v_{x,0},v_{y,0}), 速さをv_0とします。 与えられた面積速度をLとすると、 L = x_0 v_{y,0} - y_0 v_{x,0} であり、Pでの(Fの軌道の)曲率半径をR_0とすると、 v_0^3 = b R_0 L

2019-07-01 15:54:46
とある高専卒業生 @subarusatosi

@coJJyMAN 曲率半径を求めるのに画像の式を使いました。 2つ目の等号で運動方程式を使い、3つ目の等式で角運動量保存を使いました。 ところで、(v_{x,0}, v_{y,0})平面の原点と直線 L = x_0 v_{y,0} - y_0 v_{x,0} との距離は v_min = L/√(x_0^2 + y_0^2) です。 v_minはv_0 = (b R_0 L)^{1/3}以下でないと、 pic.twitter.com/R4EcjmU05D

2019-07-01 16:09:50
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とある高専卒業生 @subarusatosi

@coJJyMAN 連立方程式 v_0^3 = b R_0 L L = x_0 v_{y,0} - y_0 v_{x,0} が解をもちません。 bを適当に大きく取れば、v_{x,0}, v_{y,0}は常に解をもちそうな気がします。

2019-07-01 16:12:51
とある高専卒業生 @subarusatosi

@coJJyMAN 小島さんの証明は確かに証明になっていそうですね。 プリンキピア命題7系3が強力なのですね(これのおかげて、Fの位置によらずGの軌道が同一の楕円だと分かる)。 確かのこの証明はプリンキピア的だと思います。

2019-07-01 17:39:41
とある高専卒業生 @subarusatosi

プリンキピアでは、 【順問題】楕円軌道→逆2乗則 は証明されていますが、 【逆問題】逆2乗則(+軌道が閉じている)→楕円軌道 は(明確には)証明されていません。 ファインマンは逆問題を証明しました。 また、一昨日、 twitter.com/coJJyMAN/statu… で、逆問題のプリンシピア的証明が発見されたようです。

2019-07-02 22:37:29