都合のいい幽霊

死者が幽霊になって、会いに来るという映画、小説は多い。その時、感じる違和感について書きました。 「死者を道具にするな!」と思うのです。
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山田あかね @aka720

最近、死んだひとが幽霊になって会いに来る…的な話、多いなー。前からとも言えるけど。震災以後、ますます増える予感がするけど、この「幽霊になって会いに来る」という構造の作品のなかで、嫌いなところについて書きたい気持ちがある。多くの、心優しい人を敵に回すけど…。

2011-05-19 23:46:57
山田あかね @aka720

幽霊になって会いに来る1)誰でも大切な人を失った経験はある。すると何か会った時、その亡くなったひとが「守ってくれる」とか思ったりする。自分もそうだ。昨日、ちょっといいことがあって、その時、「あーこれはミニからのプレゼントだな、まだ、映画で頑張れと言ってくれているのだな」と思った。

2011-05-19 23:48:37
山田あかね @aka720

幽霊になって2)ミニは犬だけど、亡くなった大切なものという意味では同じ。映画とミニは関係ないけど、そういう風に思ったりする。なのでそういう気持ちがあることは否定しないんだけど、作品にしたとき、どうしても気になることがある。それは、「都合のいい幽霊」についてだ。

2011-05-19 23:50:13
山田あかね @aka720

幽霊になって3)「都合のいい幽霊」とは、生きている自分にとって、都合よく現れる奴のことだ。つまり、「生きているボク」を無条件で助ける。よくあるのが、先に死んだ妻が残された夫のためにやって来て、家事をやったり、世話をしたり、励ましたりするやつ。「死んでまで、夫の世話をするのか」

2011-05-19 23:52:28
山田あかね @aka720

幽霊になって4)「死んでまで夫の世話をする妻」タイプの作品は結構多い。死ぬのも女性が多いのだ。四谷怪談のように、幽霊とは女性が似合うのかもしれないけど、最近の幽霊は恨まず、男の世話をしにやってくる。しかもたいてい、その男はたいしたことない奴なんだな。

2011-05-19 23:54:00
山田あかね @aka720

幽霊になって5)「死んでまで僕のことを心配してくれる君」という理想があるのかもしれない。しかも、相手は死んでいるので、こっちは新しい女子を捜すことも許されているし、一方で、相談にも乗ってくれたりして、とても都合がいいのだ。そこが不満なんだ、私は。

2011-05-19 23:55:27
山田あかね @aka720

幽霊になって6)先に死んだモノには、彼女なりの後悔ややり残したことがあるだろう。それが「男の世話」ばっかりなの?好きだった男の行く末を心配することだけなの?彼女の無念はどうなるんだろう…幽霊として戻ってくるには、そういう主婦タイプじゃないとダメなのか?

2011-05-19 23:56:45
山田あかね @aka720

幽霊になって7)もし、私が死んで戻ることができたら、好きだったひとの世話もするかもしれないど、幽霊になってなにかできるなら、やり残した仕事をするかもしれないし、もっと広く助けられるひと(及び、犬)を助けるかもしれない。なので、幽霊ものが苦手なんだ。

2011-05-19 23:59:05
山田あかね @aka720

幽霊になって8)結局、「都合のいい幽霊」は、その主人公の願望を手軽に叶えるための道具になってしまう。死者を道具にすることに私は戸惑う。死を受け止めることはきついことだから、幽霊や甦りを想定することで、気持ちをなだめる…というのはわかる。宗教の始まりとして。

2011-05-20 00:02:20
山田あかね @aka720

幽霊になって9)でも、やっぱり、死者を物語の道具にするのはいやだ。もし、幽霊を描くなら、幽霊そのもののためであってほしい。先に死んだものの無念をはらすようであってほしい。「生きているボク」の都合のいい道具であってはいけないのだ。それは死者への冒涜であると思う。以上です。

2011-05-20 00:05:11
山田あかね @aka720

幽霊になって10)震災後、死があふれているなか、死者の思いを語るようなのって、すごく、どうしても、立ち止まってしまう。それを作品にすることは、そこからなにかをもらうことだ。死者から、すでに死んで無念なモノからさらになにかをもらおうとすることに謙虚でありたいと思う。

2011-05-20 00:07:21