【シナリオ】スライム娘⑧

研 @akuochiken

対象と戦うことにより戦闘データを蓄積させ、時には相手を取り込むことによって能力を増強させることのできるスライム娘が、ダンジョンの各箇所に自らの身体を分離させて形作った数々の種類の魔物を配置して冒険者を迎え撃ち、最深部にたどり着いたところでこれまで冒険者に倒させた分身を回収する。

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魔物は彼女がこれまで得た知識や能力を元に手慰みに作ったオリジナルの魔物であり、それを冒険者に倒させることによって様々な角度から冒険者の能力を吸収していくのが狙い。 冒険者にダンジョンを踏破させることで十分なデータを回収することができたスライム娘がダンジョンの主として立ちはだかる。

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確かに、このダンジョンの魔物たちを倒すと、全てが液体となってどこかへ流れ去っていった。 そうしてどこかに消えていった液体が、ダンジョンの最深部で不敵な笑みを浮かべて君臨するスライム娘の周囲から湧き出し、彼女の元へと集っていく。 小さい液体の塊から始まり、大きな液体の塊まで、皆。

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大小様々な、彼女が作り出した魔物だった自身の分身、液体の数々が、彼女の足元から、ずずずと両脚の表面を伝うように上昇し、そして表面から彼女の身体の中へと溶け込んでいく。 スライム娘は恍惚な笑みを浮かべながら、液体たちを吸収するごとに嬌声を漏らす。

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だが、とっくに彼女の身体の容積を超える液体を吸収しているにも関わらず、彼女の身体が変化することはなく、彼女は全ての液体の吸収を終えた。 いま、彼女の身体の中で、吸収した液体が持っている知識や能力が混ざり合って、新しい力へと昇華されている。 彼女が目をキッと見開いたのが完了の合図。

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透き通る液体で構成されている彼女の全身が脈動し、彼女を新しい身体へと形作っていく。 彼女の身体に、色が付く。 服を纏い、鎧が装着され、髪の毛の一本一本までを絞り出していく彼女は、やがてヴァルキリーと呼ぶに相応しい翼を生やした戦士へと変形していった。