東南アジアの小さな国に、人口の5%しか話せない公用語があった。私的まとめ。

借りた本のメモ。追加あり。
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イヌノオー@ @inunohibi

山田満・編著「東ティモールを知るための50章」。明石書店の「エリア・スタディーズ」シリーズ。図書館で借りた本。なかなか興味深い内容なのだが、東ティモールという地域がマニアックすぎるのか、絶版の上、アマゾンの中古で6000円以上の値段が付いている。本を買えないので、メモっておく。

2019-07-24 18:18:24
イヌノオー@ @inunohibi

東ティモールは、大航海時代にポルトガルの植民地にされて、1975年にやっと独立できることになったが、すかさずインドネシアが領有権を主張して、同国に「併合」(占領)されてしまう。そのような苦難を乗り越えて、2002年に独立。公用語はテトゥン語とポルトガル語。

2019-07-24 18:20:37
イヌノオー@ @inunohibi

テトゥン語は、首都のディリを中心に、人口の82%が話せる現地語だが、実はポルトガル語は5%しか普及していない(111ページ)。

2019-07-24 18:21:15
イヌノオー@ @inunohibi

西ヨーロッパの中で最も貧しい国ポルトガルは、そもそも植民地に投下するだけの余剰資本がなく、また、植民地経済を育てようという意思もなかった。さらに、本国から遠く離れて小さい東ティモールは、本国の関心も低く、作られた学校の数などは極めて少なかった。

2019-07-24 18:22:25
イヌノオー@ @inunohibi

それでも、わずかに西洋式の教育を受けた植民地エリートは、インドネシアの占領に抵抗し続けた。彼らは、同じポルトガル植民地だったアンゴラやモザンビークに亡命し、ポルトガル語の国際放送で東ティモールの現状を訴えた。彼らは独立後、東ティモールの政治指導者となり、

2019-07-24 18:24:42
イヌノオー@ @inunohibi

これまでのポルトガル語圏とのつながりから、公用語に採用したらしい。しかし一方で、インドネシアの占領時代にインドネシア語を覚え、ポルトガル語を全く話せない若い世代は、ポルトガル語の普及政策に激しく反発している。

2019-07-24 18:25:29
イヌノオー@ @inunohibi

英語を話せる住民は、ポルトガル語以上に少ないが、これからは英語を重視すべきだ、という意見もある。(以上、特に第2章と第16章と第50章を参照。)

2019-07-24 18:26:16
イヌノオー@ @inunohibi

確かに、ポルトガル語には難点が多い。英語に比べて国際的な実用性がはるかに低く、ポルトガル語が公用語の国、ブラジルやアンゴラ、モザンビークは地理的に遠い。

2019-07-24 18:26:48
イヌノオー@ @inunohibi

ちなみに、山川の「ラテンアメリカ現代史 1」によれば、ポルトガル本国とブラジルのポルトガル語は、かなり方言差(違い)があるらしい。英語の場合、ネイティブとは別に、非ネイティブの間で使う「ビジネス英語」という概念もあるわけだけど、ポルトガル語の場合はどうだろう…。

2019-07-24 18:46:42
イヌノオー@ @inunohibi

第二次世界大戦において、ポルトガルは中立国だった。第3章によると、太平洋戦争でイギリス・オーストラリア・オランダの連合軍と日本軍は、勝手にティモール領内で戦闘して、ポルトガルの中立を侵害している。

2019-07-24 20:42:55
イヌノオー@ @inunohibi

ただし、名目上はポルトガルの主権が尊重されていた。日本軍は、東ティモールにおいて、「植民地支配からの解放」といったものは目指さなかったようだ。フランスの植民地政府と共同統治した、フランス領インドシナと似ているパターン。

2019-07-24 20:44:40
イヌノオー@ @inunohibi

東ティモールを知るための50章 エリア・スタディーズ 山田 満 amazon.co.jp/dp/4750323888/… @amazonJPさんから

2019-07-24 20:47:39

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イヌノオー@ @inunohibi

あ、「東ティモールってどこ?」という人がいるかもしれない。ここだよ。 pic.twitter.com/wxdhJZHx7Y

2019-07-24 22:37:35
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(帝国書院「新詳高等地図」から転載。丸印を加えた。)