かき氷屋にて
- fumizuki_sei
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確かにかき氷屋に来たからと言って、必ずしもかき氷を頼まないといけないという決まりはない。しかしである。 ジータは真向かいに座るサンダルフォンを見つめた。ジータとルリアの前にはかき氷があった。それぞれ色の違うシロップがかけられている。そしてサンダルフォンはただアイスコーヒーを手
2019-07-25 20:09:45に座っていた。 「初めて見たときは『アイスコーヒーなんて邪道だ!』なんて騒いでたくせに」 「これ以外選択肢がなかったのでな」 この珈琲狂いめ、とジータは心の中で呟いた。飲み物ならジュースがいくらでも種類があったはずだ。ジータはひとつため息をついた。あまり無理強いはできるものでは
2019-07-25 20:10:07ない、とジータは諦めた。ここまで来させるのだって一悶着あったのだ。 気を取り直してジータはかき氷を口に含んだ。心地よい冷たさが喉を伝ってジータを慰める。やはり暑い夏にはかき氷である。景気良くかき氷を口に運んでいるとやがてキーンと頭が鳴り響いた。これもまた夏の風物詩である。ジータ
2019-07-25 20:10:37は頭に人差し指を当て、しばしその感覚に耐えた。 ルリアはと言うとそんな感覚とは無縁なのか、ハイペースでかき氷を消費していた。お代わりが入りそうな気配である。 そして再びジータが正面を向くとサンダルフォンと目があった。彼は無言で二人を注視していた。ふと思い立ってジータはかき氷をス
2019-07-25 20:11:00プーンで掬った。それは自分で食べるためではない。ジータは掬ったかき氷をサンダルフォンの口元に差し出した。 「はい、あーん 騙されたと思って食べてみてよ、おいしいから」 にこにことジータが笑みを浮かべた。しばらく差し出されたかき氷とジータの笑顔を見つめていたサンダルフォンだったが
2019-07-25 20:11:27、最後は観念してスプーンを口に含んだ。 「どう?」 「…悪くない」 そんな二人のやり取りを横で見ていたルリアはその頬をうっすらと染めた。 (はわわ! これは間接キスと言うものなのでわ!) ジータが一人で先に大人の階段を登って行ったようで、置いてきぼりを食らったような悔しいよ
2019-07-25 20:11:58うな悲しいような気持ちにルリアは襲われた。 「ジータ! 私にも ”あーん” して下さい!!」 ルリアはかき氷を食べているジータの肩を揺さぶった。 「別にいいけど… 何? 羨ましくなっちゃんた?」 ジータは何の衒いもなくかき氷をスプーンで掬ってルリアの口元に差し出した。 「あーん」 「あ
2019-07-25 20:12:24ーん!」 パクリとルリアがスプーンのかき氷を飲み込む。今度は私も!とルリアはジータにあーんを仕返した。そのやり取りにルリアは大変満足して、心の中で胸を反り返した。 (えっへん! これで私も大人の仲間入りです!) 幸いにもルリアの心の中にまで突っ込みを入れる奇特な人物はこの場
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