If世界に迷い込んだアナスタシアのカドアナ話まとめ

2部1章を経て消滅したはずの異聞アナスタシアが、何故か「カルデアのAチーム」カドックに召喚される話、の自分用まとめ。
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くるーる @couleur2525

2部1章を経て消滅したはずの異聞アナスタシアが、何故か「カルデアのAチーム」カドックに召喚される話 そこでのカドックは、あの爆発事故を経験することなく、世界を救うために他のAチームとも協力して、人理修復を進めていた──── いわゆるパラレルワールドに来た異聞アナスタシアの話

2019-07-30 23:26:27

くるーる @couleur2525

カルデア側にいたり、終わった筈の人理修復が他ならぬAチームの手で行われようとしていたり、そして何より自分を知らないカドックに戸惑うアナスタシア。 けれども、彼が優しい笑顔を共に手を差し出すから。 「よろしく、僕のキャスター」 私のことをもう一度、あなたのキャスターと呼んでくれるなら。

2019-07-31 01:16:50
くるーる @couleur2525

それなら私は、もう一度あなたのサーヴァントとして戦いましょう。あなたが望んだ夢を、今度こそ共に叶えましょう。 「ええ、よろしく。私のマスター」 そう言って冷たい手を差し出せば、少し驚いて飛び上がる様子が、どうしようもなく愛しかった。

2019-07-31 01:16:51
くるーる @couleur2525

「Aチームのマスター」カドックは、アナスタシアのことをわからなかった。君はどんな英霊なんだ? と期待に満ちた眼差しを向けられ、アナスタシアは答えに詰まる。 Aチームのマスター達の召喚したサーヴァントは皆一流の英雄達だ。 けれど、自分は違う。この正しい世界のアナスタシアはただの娘。

2019-07-31 01:16:51
くるーる @couleur2525

この世界の私に、彼が期待するような能力に繋がる逸話はない。その期待が失望に変わるのは見たくはなかった。 だから、 「……私があなたにこの名を明かすべき時は、今ではないわ」 そう言って、誤魔化した。

2019-07-31 01:16:51
くるーる @couleur2525

「僕は信頼出来ないって言うのか」 不貞腐れた様子のマスターに、首を横に振る。全く、この世界でもあなたの卑屈さは変わらない。 そんなところも愛おしいのだけれど、と本音を隠し、肩をすくめてみせた。 「いいえ、違います。私の真名が何であれ、あなたのサーヴァントであることは変わらない。→

2019-07-31 01:16:51
くるーる @couleur2525

私は、他のどんな英霊よりもあなたに相応しいサーヴァントであると自負しています。けれどそれを、真名を明かせば、きっと誰かが否定するでしょう。私はそれが我慢ならないだけ。 だから、この旅で証明しなさい、マスター。私達は、お互いがお互いに誰よりも相応しかったと。→

2019-07-31 01:16:52
くるーる @couleur2525

誰もがそう認めるようになるまでは、私はこの名を明かさないわ」 「……訂正しよう。君は随分、僕を信頼してくれているんだな。まだ何も成し得ていない、こんな凡人の魔術師を」 自信なさげに泳ぐ彼の視線を、その頬を両手で掴み、こちらに向かせることで捉える。

2019-07-31 01:16:52
くるーる @couleur2525

「ええ、もちろん。この私が選び、そしてこの私を選んだマスターですもの。だから証明してみせて、マスター。あなたはこの私と共に、世界を救えるのだと!」

2019-07-31 01:16:52
くるーる @couleur2525

そうして、人理修復の旅が始まった。 私のマスターに、あのロシアのような危うさはない。あの時とは違って、彼の側には仲間がいるのだから。

2019-07-31 01:16:53
くるーる @couleur2525

オフェリアは、とてもとてもからかいがいのある女性だった。特に、キリシュタリアと共にいる時に、その仲を茶化すようなことを口にすると、実にいい反応をする。その表情があまりに面白くてついやり過ぎてしまい、その辺にしておけ、と、何度もマスターに諌められた。

2019-07-31 01:16:53
くるーる @couleur2525

ヒナコは隙だらけだ。彼女がいつも読んでいる本は、私のイタズラのいい標的になってくれる。 一度、彼女の読んでいた本をすり替えた時は、気がつくまでの澄ました態度と、気がついた後の慌て振りのギャップが最高だった。その後マスター共々怒られて、マスターに睨まれてしまったけれど。

2019-07-31 01:16:53
くるーる @couleur2525

あのペペロンチーノという彼(彼女? )は、あのロシアの頃から知っていた。 あの人が淹れてくれる紅茶は、決して嫌いではない。あの人がお茶会をする時は、嫌がるマスターを引きずってでも参加した。 「いいパートナーね、あなた達」 いつも褒めてくれるあの人のことは、マスター共々信頼していた。

2019-07-31 01:16:54
くるーる @couleur2525

キリシュタリアとデイビットは、よくわからない。からかいがいもないので、あまり話すことはなかった。 彼らが時々行う神話についての討論会に、マスターが参加したがっていることだけは知っていた。勉強なんて何が楽しいのか、私にはわからない。

2019-07-31 01:16:54
くるーる @couleur2525

ベリルという男だけは気に入らない。いつもマスターをからかい、その瞳を曇らせる。マスターに絡んでいるところを見るたびにその足を氷漬けにしてやっても、全く懲りていないようだった。 「愛されてるねぇ、カドック!」 なんてますますからかってくる始末だ。だから、その通りよ、と返してやった。

2019-07-31 01:16:54
くるーる @couleur2525

そういえば、8人目のあの少女がよく話題にあげる、補欠のマスターとは、一体どんな顔をしていたっけ──?

2019-07-31 01:16:54
くるーる @couleur2525

あの男以外、皆、嫌いではないのに。マスターの隣にいるに相応しい、良き人々なのに。 それなのに、どうしてだろう。彼らと穏やかに笑い合うマスターに、ほんの少し胸が痛む。 これが、この世界こそがあなたの本当に望んでいたことなのだと、改めて突きつけられる気がする。

2019-07-31 01:16:55
くるーる @couleur2525

あの行き止まりの世界で、私達が作ろうとした世界は、きっとあなたが心から望んだ世界ではないのだと、そう、自覚させられるような気がしたのだ。 そんな私の不安の理由を、この正しい世界のマスターが知るはずもない。

2019-07-31 01:16:55
くるーる @couleur2525

「キャスター? どうした、魔力が足りないのか」 それでも彼は、私のささいな表情の変化を気に留め、彼は足を止めてくれる。 その心配そうな表情を見る度に、この起こりうるはずのなかった二度目の召喚に感謝した。 サーヴァントとはいえ、気を沈ませているレディにその台詞はどうかと思うけれど。

2019-07-31 01:16:55
くるーる @couleur2525

「そうね、足りないわ。というわけで、今すぐ供給してちょうだい。キスで構わないから」 「きっ……!? ま、待て、血液でいいだろう!? ほら、その方が確実に」 「サーヴァントである私にマスターを傷つけろというの? いいから、早く」 「やめろ、待て、待ってくれ、きゃ、キャスター!?」

2019-07-31 01:16:56
くるーる @couleur2525

そんなおふざけも交えつつ、人理修復は、実に順調に進んでいく。 そうして、とうとう決戦前夜。明日、敵の本拠地に乗り込むという夜が来た。 人理修復に関わるマスター全員が、今日は早めに休むように指示を受けていた。私のマスターも例外ではない。早々にベッドに入り、その側に控える私に告げる。

2019-07-31 01:16:56
くるーる @couleur2525

「おやすみ、キャスター。……今まで、ありがとう」 「あら、それはまだ早いわ、マスター。その言葉は、世界を救ってから聞かせてちょうだい」 「……そうだな。明日、僕達は世界を救うんだ」 強気な言葉とは裏腹に、その表情は不安で満ちている。彼が待ち望んだはずの日は、すぐ側まで来ているのに。

2019-07-31 01:16:56
くるーる @couleur2525

「ええ、そうよ。そして、世界を救った暁には、お待ちかねの私の真名を教えましょう」 だから、その背を押すつもりで、そう告げた。この私の真名を知れるなんて、これ以上のご褒美はないでしょう、と。 私の言葉に、マスターはきょとんと目を丸くする。そして、ふっと優しく微笑んだ。

2019-07-31 01:16:57
くるーる @couleur2525

「そうか。やっと僕は、君に相応しいマスターになれたんだな」 「……いいえ、マスター。あなたは初めから私に相応しかったわ。あなたは、私の」 「待った、キャスター」 私の声を、マスターの細腕が制止する。 「その先は、僕から言わせてくれ」 「……ええ!」

2019-07-31 01:16:57