バイオアベイラビリティと第三世代経口セフェムについて
せっかく細菌を攻撃する抗菌薬を口から飲んでも、最近のいるところに届かなければ望ましい効果は得られませんよね。
2019-08-03 11:12:40BAとは摂取した薬剤がどの程度、全身の循環血に移行するかを示した値です。仮に、点滴で直接血管に薬を入れると100%ということになります。
2019-08-03 11:14:59例えば、病院でよく処方されるレボフロキサシン (クラビット®︎)はほぼ100%のバイオアベイラビリティがあるため点滴で体に入れても、内服薬で体に入れてもほぼ変わらない効果が期待できます。
2019-08-03 11:15:29しかしながら、腸からの吸収が悪い薬も中には存在します。 例えばBA50%の薬は半分は吸収されず、便と一緒に体の外に出て行ってしまうわけです。
2019-08-03 11:17:00ここで抗菌薬に話を戻したいと思います。 風邪の80-90%はウイルスによるものであり、抗菌薬は不要である可能性が高い、という内容を以前お話ししました。
2019-08-03 11:17:50しかしながら、抗生剤が処方される例がとても多いことが問題となっています。 そして高確率で処方されるのが、第三世代の経口セフェムではないでしょうか。フロモックス®︎、セフゾン®︎、メイアクト®︎などがそうですね。
2019-08-03 11:19:19これらの抗菌薬は近年、我々の業界では、「だいたいウンコという大変不名誉なあだ名をつけられている薬剤たちです。検索するとすぐに出てくるので私が勝手に言っているわけではないので悪しからず・・・
2019-08-03 11:20:38結論から言いますと、これらの第三世代のセフェムの内服薬はBAが低いものが多く、使用しないほうが良い、という声が年々大きくなっています。実際、米国の権威ある感染症の学会、IDSAでも第三世代経口セフェムは使わないようにという推奨がされています。 academic.oup.com/cid/article/55…
2019-08-03 11:26:25第三世代のセフェムの吸収率は こんな感じです。 セフジニル(セフゾン®︎)16% セフジトレン(メイアクト®︎)16% セフポドキシム(バナン®︎)50% セフカペンピボキシル(フロモックス®︎)詳細不明だが20-30%くらいと言われている
2019-08-03 11:30:06ただし、すべての経口抗菌薬がダメというわけではなく、比較的BAの良いものも存在します。 第ペニシリン系のアモキシシリンは80%程度吸収されるとされていますし、テトラサイクリン系のミノサイクリンは90%程度吸収されると言われています。(サンフォード感染症ガイド2013参照)
2019-08-03 11:35:08私があげたような第三世代のセフェムを多用するDrには一度しっかりと話し合った方が良いのかもしれません。 一般の方は、勉強不足の医師を見分ける一つの指標になるかも・・・(コホン
2019-08-03 11:36:35効かないなら、大量に飲めばいいじゃん、と思ったそこのあなた、大きな間違いです。 腸の中には抗菌剤が届くため、不用意な大量投与は、腸内フローラを破壊し、下痢の原因になることもありますし、最悪、偽膜性腸炎などと言った厄介な疾患の原因となります。
2019-08-03 11:39:01医療者のみなさんは抗菌剤の適正使用をお願いします。 一般の人は、適当に抗菌薬を飲む、譲る、などの行為は絶対にやめてください。
2019-08-03 11:40:02今日のまとめです。 ①薬は腸からすべて吸収されるわけではない。 ②第三世代の経口抗菌薬はだいたい便になってしまう。 ③過量投与で腸内フローラが壊れることがある。
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